ファシリティマネジメント
設備と環境を整える活動を知り、停電や災害からシステムを守る備えと、どこまで備えるかの決め方を説明できるようになります。
ねらい
システムを支える設備と環境の管理を学びます。このレッスンを終えると、電源や災害への備えの種類を説明でき、どこまで備えるかをどう決めるかが分かるようになります。
建物と設備も、システムの一部です
ファシリティマネジメントは、建物・電源・空調・配線といった設備と環境を、最適な状態に保つ活動です。
どれだけ良いプログラムでも、電気が止まれば動きません。サーバ室の温度が上がりすぎれば機器は壊れます。設備は、システムが動くための土台です。
電源への備え
停電への備えには、役割の違う2つがあります。
- UPS(無停電電源装置)… 電池で、数分から数十分だけ電力を供給します。狙いは動かし続けることではなく、安全に終了させる時間を作ることです。処理の途中で電源が切れると、データが壊れます。
- 自家発電装置… 燃料で発電し、長時間の停電を支えます。動かし続けることが狙いです。
この2つは、どちらか一方ではありません。停電した瞬間から自家発電が立ち上がるまでには時間がかかるため、その間をUPSがつなぎます。
そのほか、電源の品質を保つ工夫もあります。同じ回路に多くの機器をつなぎすぎない、電力の使用量に見合った容量を確保するといったことです。
災害と物理的な安全への備え
- 耐震・免震… 機器が倒れないよう固定し、揺れを逃がします。
- 消火設備… 電気機器に水をかけられないため、ガス消火設備が使われます。
- 入退室の管理… サーバ室に入れる人を限り、いつ誰が入ったかを記録します。IDカードや生体認証を使います。
- 監視カメラ… 記録として残します。
セキュリティは、ネットワーク上の話だけではありません。機器を持ち出されれば、どんな暗号化も無意味になります。物理的に入れないことが、最も確実な対策です。
事業を止めないための計画
災害や事故が起きたとき、どの業務をどれだけの時間で再開するかをあらかじめ決めておく計画をBCP(事業継続計画)といいます。
決めるのは次のことです。
- どの業務を優先して再開するか。すべてを同時には戻せません。
- どれくらいの時間で戻すか。目標とする復旧時間です。
- どこで再開するか。別の拠点、別のデータセンター。
- 誰が何をするか。連絡網と役割分担。
ポイント
備えには費用がかかるので、どこまで備えるかは業務の重要度で決めます。止まると事業が続けられない業務には厚く備え、数日止まっても困らない業務には薄く備えます。すべてに厚く備えるのは、費用の使い方として適切ではありません。
まとめ
ファシリティマネジメントは、設備と環境を保つ活動です。停電には、安全に止める時間を作るUPSと、動かし続ける自家発電装置を組み合わせます。物理的な入退室の管理は、ネットワーク上の対策と同じく重要です。どこまで備えるかは、業務の重要度から決めます。
理解の確認
サーバ室にUPSを設置してあるので、長時間の停電が起きても業務を継続できると考えている担当者がいます。この理解の誤りを指摘してください。
答え: UPSは長時間の運転を支える装置ではありません。UPSが供給できるのは電池による数分から数十分程度であり、その目的は業務の継続ではなく、処理を安全に終了させ、システムを正常に停止させる時間を作ることです。処理の途中で突然電源が落ちるとデータが壊れるおそれがあるため、その回避を狙っています。長時間の停電中も業務を続けたいのであれば、燃料で発電する自家発電装置が必要です。実務では、停電の瞬間から自家発電装置が立ち上がるまでの空白をUPSがつなぐ形で、両方を組み合わせて使います。
分からなかった点・気になった点
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