G検定(ジェネラリスト検定)
えいぎょうひみつ
営業秘密
Trade Secret
営業秘密とは、不正競争防止法第二条第六項が定める、秘密として管理されている、事業活動に有用な技術上または営業上の情報で、公然と知られていないもののことです。
詳しい説明
定義
営業秘密は、不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)の第二条第六項で定義されています。条文は、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの、としています。
この条文から、営業秘密として認められるには、次の3つの要件をすべて満たす必要があるとされています。
1. 秘密管理性: 秘密として管理されていること
2. 有用性: 事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること
3. 非公知性: 公然と知られていないこと
有用性の要件にあるとおり、対象は技術上の情報に限られません。条文は生産方法のような技術上の情報と、販売方法のような営業上の情報の両方を挙げています。また、情報が有用であるだけでは足りず、秘密として管理されていることと、公然と知られていないことも同時に求められます。3つの要件は、どれか1つを満たせばよいのではなく、そろって初めて営業秘密の定義に当たる、という関係です。
制度の要点
不正競争防止法は、営業秘密そのものの定義と、営業秘密をめぐってどのような行為が不正競争になるかを、別々の規定で定めています。定義は第二条第六項、行為の類型は第二条第一項第四号から第十号です。
行為の類型は、大きく不正取得・不正使用・不正開示に整理できます。主な号の内容は次のとおりです。
- 第四号: 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段で営業秘密を取得する行為と、そうして取得した営業秘密を使用または開示する行為
- 第七号: 営業秘密を保有する事業者(営業秘密保有者)から営業秘密を示された者が、不正の利益を得る目的、または営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用または開示する行為
- 第五号・第六号・第八号・第九号: 営業秘密の不正取得や不正開示が間に入っていたことを知りながら、または重大な過失で知らずに、営業秘密を取得・使用・開示する行為
- 第十号: 営業秘密の不正使用行為によって生じた物の譲渡などの行為
このように、第四号は不正な手段による取得から始まる類型、第七号は正当に示された営業秘密を不正な目的で使用・開示する類型というように、情報がどのような経路で手に渡ったかによって類型が分かれています。
学習のうえでは、営業秘密とは何かという問い(定義の3要件)と、営業秘密に対してどのような行為が不正競争とされるかという問い(行為の類型)を、別の規定の話として区別して整理しておくことが大切です。
AIとの関わり
AIの開発や利用では、学習に使うデータ、学習によって得られたモデルのパラメータ、開発や運用のノウハウなど、事業活動に使われる情報が数多く生まれます。こうした情報も、第二条第六項の3要件、つまり秘密として管理されていること、事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること、公然と知られていないことを満たせば、営業秘密として不正競争防止法の保護を受けうる、という位置づけになります。
ただし、ある情報が営業秘密に当たるかどうかは、3要件に照らして個別に判断されるものです。AIに関わる情報であるという理由だけで営業秘密になるわけではなく、特に秘密として管理されているかどうかが要件の1つとして問われます。
また、経済産業省はAI・データの利用に関する契約ガイドラインを公表しており、データを提供する契約の中で営業秘密をどう扱うかも、AIに関わる契約の論点の1つになっています。
試験で問われること
G検定
- 営業秘密の3要件である秘密管理性・有用性・非公知性を挙げ、それぞれが何を求めているかを説明できますか。
- 営業秘密の定義は不正競争防止法第二条第六項に、営業秘密をめぐる不正競争行為の類型は第二条第一項第四号から第十号に、別々に定められていることを確認しておきましょう。
- 不正取得・不正使用・不正開示という行為の類型と、第四号(不正な手段による取得)と第七号(示された営業秘密を不正な目的で使用・開示)の違いを説明できますか。
- AIの学習データやモデルのパラメータ、ノウハウが営業秘密として保護を受けうるのはどのような場合か、3要件と結びつけて説明できますか。
最終更新日: 2026/09/23