G検定(ジェネラリスト検定)
ようはいりょこじんじょうほう
要配慮個人情報
Special Care-required Personal Information
要配慮個人情報は、個人情報保護法第二条第三項が定める個人情報の一種です。人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実など、本人が不当な差別や偏見などの不利益を受けないよう、取扱いに特に配慮を要する記述等を含むものを指します。法律が示す類型に加えて、施行令第二条が心身の機能の障害、健康診断等の結果、保健指導や診療・調剤、刑事手続、少年保護事件の手続という5つの類型を定めています。
詳しい説明
定義
要配慮個人情報は、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)第二条第三項で定められた、個人情報の一種です。前提として、個人情報とは、生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるものをいいます。要配慮個人情報は、その個人情報のうち、特に慎重に扱う必要がある記述等を含むものとして区別されています。
第二条第三項の条文は次のとおりです。
本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報
この条文の趣旨は、情報の取扱い方によって本人が不当な差別や偏見などの不利益を受けないようにすることです。条文は、法律自身が挙げる項目と、政令で定める記述等の2つから成り立っています。
法律自身が挙げる項目は次の6つです。
- 人種
- 信条
- 社会的身分
- 病歴
- 犯罪の経歴
- 犯罪により害を被った事実
制度の要点
法律と政令の役割分担
法律の条文には、6つの項目のあとに、その他政令で定める記述等という文言があります。これは、具体的な範囲の一部を政令に任せる、政令委任の形です。この委任を受けて、個人情報の保護に関する法律施行令第二条が、追加の類型を定めています。
つまり、どの情報が要配慮個人情報にあたるかは、法律の条文だけでは分かりません。法律本文と施行令第二条の両方を合わせて読む必要があります。
施行令第二条が定める類型からは、本人の病歴又は犯罪の経歴に該当するものが除かれています。病歴と犯罪の経歴は法律本文ですでに挙がっているため、施行令の類型は、それらにあたらない情報を補う位置づけです。
施行令第二条が定める5つの類型
1. 心身の機能の障害があること(一号)。身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の、個人情報保護委員会規則で定める心身の機能の障害があることです。障害の具体的な範囲は、さらに個人情報保護委員会規則に委ねられています。
2. 健康診断その他の検査の結果(二号)。医師その他医療に関連する職務に従事する者により行われた、疾病の予防及び早期発見のための健康診断その他の検査の結果です。
3. 保健指導や診療・調剤が行われたこと(三号)。健康診断等の結果に基づき、又は疾病・負傷その他の心身の変化を理由として、医師等により行われた、心身の状態の改善のための指導又は診療若しくは調剤です。
4. 刑事事件に関する手続(四号)。被疑者又は被告人として、逮捕・捜索・差押え・勾留・公訴の提起その他の刑事事件に関する手続が行われたことです。
5. 少年の保護事件に関する手続(五号)。少年法に規定する少年又はその疑いのある者として、調査・観護の措置・審判・保護処分その他の少年の保護事件に関する手続が行われたことです。
一号は、法律から政令へ、政令から個人情報保護委員会規則へと、2段階で具体化されています。法律が大枠を示し、政令と規則が具体的な範囲を定めるという、三層の構造を読み取ることができます。
法律本文と施行令の対応
| 定めている場所 | 主な内容 |
|---|---|
| 法律第二条第三項 | 人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実 |
| 施行令第二条一号から三号 | 心身の機能の障害、健康診断等の結果、保健指導や診療・調剤 |
| 施行令第二条四号と五号 | 刑事事件に関する手続、少年の保護事件に関する手続 |
施行令の類型を見ると、一号から三号は心身や健康に関わる情報、四号と五号は刑事や少年の手続に関わる情報という、2つのまとまりに分けて整理できます。病歴や犯罪の経歴とは別の形で、健康や手続に関する情報が補われているとも読めます。
AIとの関わり
AIの開発や運用では、学習用のデータや推論の入力として、個人に関するデータを大量に扱うことがあります。そうしたデータの中に、要配慮個人情報にあたる記述等が含まれている場合があります。
- 医療や健康の分野。診断支援や健康管理のAIでは、健康診断の結果や診療の記録など、施行令第二条二号や三号の類型に近い情報を扱う可能性があります。
- 人事や採用の分野。応募者や従業員のデータに、病歴や障害の有無、犯罪の経歴などが含まれていないかを確かめる場面が考えられます。
- 自由記述のテキスト。問い合わせ文や投稿文のように、書き手が自由に書いた文章には、想定していない要配慮個人情報が紛れ込んでいる場合があります。
一般的な留意点としては、次のような観点が挙げられます。
- 扱うデータに要配慮個人情報が含まれるかどうかを、法律本文だけでなく施行令第二条の類型も参照して確認する
- 条文の趣旨である不当な差別や偏見などの不利益を踏まえ、AIの出力や判断が特定の人を不利に扱う結果につながらないかを検討する
- 取扱いの具体的なルールについては、法律と関係する政令・規則の該当する条文にあたって確かめる
個別のデータや利用場面が要配慮個人情報の取扱いにあたるかどうかは、事案ごとに判断が分かれうるものです。実務では、該当する条文や所管する機関の示す考え方を確認することが大切です。
試験で問われること
G検定
- 要配慮個人情報の定義が、個人情報保護法第二条第三項に置かれていることを確認しましょう。
- 法律本文に挙がる6つの項目(人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実)と、条文の趣旨が不当な差別や偏見などの不利益を避けることにある点を確認しましょう。
- 法律の政令委任を受けて、施行令第二条が5つの類型(心身の機能の障害、健康診断等の結果、保健指導や診療・調剤、刑事事件に関する手続、少年の保護事件に関する手続)を追加していることを確認しましょう。
- 施行令第二条の類型からは本人の病歴又は犯罪の経歴に該当するものが除かれていること、一号の障害の範囲はさらに個人情報保護委員会規則に委ねられていることを確認しましょう。
最終更新日: 2026/09/23