G検定(ジェネラリスト検定)
きょうそうせいげん
競争制限
Restriction of Competition
競争制限とは、独占禁止法が私的独占と不当な取引制限の両方に共通して定める要件で、公共の利益に反して一定の取引分野における競争を実質的に制限することを指します。
詳しい説明
定義
競争制限は、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)で、事業者の行為が市場の競争に与える影響を表すときの考え方です。
独占禁止法の第二条第五項は私的独占を、第二条第六項は不当な取引制限を定義しています。2つの定義はどちらも、次の同じ文言で終わります。
公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること
つまり独占禁止法は、競争を実質的に制限することを、私的独占と不当な取引制限の両方に共通する要件としています。行為の形がどうであっても、最後にはこの要件を満たすかどうかが問われる、という構造になっています。
この文言は、次の3つの部分に分けて読めます。
- 公共の利益に反して
- 一定の取引分野における
- 競争を実質的に制限すること
ここでの取引分野とは、競争がおこなわれる場のことです。条文は競争が少しでも弱まればよいとは書いておらず、実質的に制限することを求めています。それぞれの語をどこまで広く読むかは解釈の問題なので、このページでは条文の文言を確認するところまでにとどめます。
制度の要点
競争制限という要件は、行為の形が異なる2つの類型に共通しています。
私的独占(第二条第五項)
私的独占は、事業者が次のようなやり方で競争を実質的に制限することです。
- 事業者が単独で、または他の事業者と結合したり通謀したりして行動する。条文は、その他いかなる方法をもってするかを問わないと定めています
- その結果、他の事業者の事業活動を排除する、または支配する
中心にあるのは、他の事業者の事業活動を市場から締め出したり(排除)、思いどおりに動かしたり(支配)する行為です。
不当な取引制限(第二条第六項)
不当な取引制限は、事業者どうしが次のようなやり方で競争を実質的に制限することです。
- 契約、協定その他の名義を問わず、他の事業者と共同で行動する
- 対価を決める、維持する、引き上げる。または数量、技術、製品、設備、取引の相手方を制限する
- こうして互いの事業活動を拘束したり、それを遂行したりする
中心にあるのは、本来なら競争するはずの事業者どうしが共同で、互いの事業活動を拘束する行為です。
2つの類型の比較
| 項目 | 私的独占 | 不当な取引制限 |
|---|---|---|
| 条文 | 第二条第五項 | 第二条第六項 |
| 誰が | 事業者が単独で、または他の事業者と結合・通謀して | 事業者が他の事業者と共同して |
| 何をするか | 他の事業者の事業活動を排除する、または支配する | 対価の決定や、数量・技術・取引の相手方などの制限により、互いの事業活動を拘束する |
| 共通する要件 | 公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること | 同じ |
表のとおり、2つの類型は行為の形が違います。一方は他の事業者の排除や支配で、もう一方は事業者どうしが互いを拘束することです。それでも、最後に満たすべき要件は同じ競争の実質的な制限です。独占禁止法の条文を読むときは、行為の形を定める部分と、共通する競争制限の要件を定める部分を分けて読むと、構造がつかみやすくなります。
AIとの関わり
事業者が価格を決めたり、需要と供給を調整したりするのに、AIやアルゴリズムを使う場面が増えています。不当な取引制限の定義は、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わないとしており、共同で対価を決めることなどを行為として挙げています。そのため、アルゴリズムを使った価格設定などが事業者の間の意思の連絡や共同の行為とみなされる場合には、不当な取引制限の論点になりえます。
一方で、アルゴリズムを使っていることだけで違法になるわけではありません。個別の行為が私的独占や不当な取引制限にあたるかどうか、競争を実質的に制限しているかどうかは、事案ごとの事実と解釈によって判断されます。このページでは、特定の事案が違法かどうかは判断しません。
このテーマについて、公正取引委員会は2021年3月に報告書アルゴリズム/AIと競争政策を公表し、アルゴリズムを用いた協調的な行為などを検討しています。
試験で問われること
G検定
- 独占禁止法の第二条第五項(私的独占)と第二条第六項(不当な取引制限)に共通する要件として、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること、という文言を確認しておきましょう。
- 私的独占は他の事業者の事業活動を排除または支配する行為、不当な取引制限は事業者どうしが共同で対価を決めたり数量・取引の相手方などを制限したりして互いの事業活動を拘束する行為です。この違いを説明できますか。
- 不当な取引制限の定義が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わないとしている点を確認しておきましょう。
- AIやアルゴリズムを使った価格設定が、事業者の間の意思の連絡や共同の行為とみなされる場合に、不当な取引制限の論点になりうることを説明できますか。
最終更新日: 2026/09/23