G検定(ジェネラリスト検定)
いんくるーじょん
インクルージョン
Inclusion
インクルージョン(包摂)は、多様な人々が実際に参加し、利益を受けられる状態を目指す考え方です。AI事業者ガイドラインは、共通の指針の人間中心の項目の中に多様性・包摂性の確保を挙げています。その趣旨は、公平性の確保に加えて、情報弱者や技術弱者を生じさせず、社会的弱者もAIを使いやすくすることで、より多くの人々がAIの恩恵を受けられるよう注意を払う、というものです。この一節は多様性と包摂性を明確に切り分けておらず、ダイバーシティの記事も同じ一節を根拠にしているため、内容が重なる部分が大きいことを正直に記しています。
詳しい説明
インクルージョンとは
インクルージョンは、日本語では一般に包摂と訳されます。多様な人々を取り残さず、社会や仕組みの内側に迎え入れるという考え方です。
AI事業者ガイドライン(第1.1版、令和7年3月28日、総務省・経済産業省)は、本編の共通の指針のうち、1)人間中心の4番目の項目として、多様性・包摂性の確保を挙げています。その記述の趣旨は次のとおりです。
- 公平性の確保に加えて取り組むこととして位置づけられている
- いわゆる情報弱者と技術弱者を生じさせないようにする
- より多くの人々がAIの恩恵を享受できるようにする
- そのために、社会的弱者がAIを活用しやすくなるよう注意を払う
この記述は、AIを使う人を特定の層に限らず、情報や技術に不慣れな人、社会的に弱い立場にある人もAIを使えるようにすることに重点を置いています。AIがあるだけでは足りず、その人たちが実際に使い、恩恵を受けられる状態を目指すという、参加の側面を重視した考え方として読むことができます。
また、この項目は公平性の確保に加えて置かれています。特定の人を不当に扱わないことに加えて、使える人と使えない人の差を生まないことまで求めている、と整理できます。
具体的な取組の例
ガイドラインは、この項目に関わる取組として次の3つを例に挙げています。
ユニバーサルデザイン
年齢、障害の有無、言語などの違いにかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすいように、はじめから製品やサービスを設計する考え方です。特定の人向けに後から手を加えるのではなく、最初から幅広い利用者を想定して作る点が特徴です。
アクセシビリティの確保
視覚や聴覚などに制約のある人も含めて、サービスや情報に実際にたどり着き、使えるようにすることです。たとえば、画面読み上げに対応する、文字の大きさや配色に配慮する、といった取組が考えられます。
関連するステークホルダーへの教育・フォローアップ
AIを使う人やAIの影響を受ける人に、使い方や注意点を伝え、その後も支えることです。技術に不慣れな人が取り残されないようにするには、使える環境を用意するだけでなく、使いこなすための支援も必要になる、という考え方につながります。
この3つはいずれも、より多くの人がAIを実際に使い、恩恵を受けられるようにするための手段として挙げられています。
ダイバーシティとの関係
インクルージョンと組み合わせて使われる語にダイバーシティがあります。AI事業者ガイドラインは、多様性と包摂性を別々の項目に分けず、多様性・包摂性の確保という1つの項目名の中で両方を扱っています。ここまで紹介した記述(情報弱者・技術弱者を生じさせない、社会的弱者がAIを活用しやすくする、より多くの人々がAIの恩恵を享受できるようにする)は、この用語集がダイバーシティの記事でも根拠として使っている、同じ一節です。
つまり、この一節そのものは、多様性(diversity)と包摂性(inclusion)を明確に切り分けて書いてはいません。一般に、ダイバーシティはそこにどのような多様な人々がいるかという構成を、インクルージョンはその人たちが実際に参加し利益を得られているかを指す、という辞書的な違いがあるとされますが、AI事業者ガイドラインのこの一節が実際に述べているのは、情報弱者・技術弱者を生じさせず、より多くの人々がAIの恩恵を享受できるようにする、という参加と利益の行き渡りに関わる内容です。構成そのもの(開発チームや利用者層にどのような人々が含まれるか等)を直接述べた記述は、この一節には見当たりません。
このため、このページで紹介したインクルージョンの内容と、ダイバーシティの記事が紹介する内容は、同じ一節を根拠にしている以上、重なる部分が大きいという点を正直に記しておきます。2つの語を辞書的に区別すること自体はできますが、AI事業者ガイドラインのこの一節を根拠にする限り、その区別を明確に裏付ける記述までは見当たりません。
AIとの関わり
AIは、情報の入手、手続き、学習、仕事など、暮らしの多くの場面に入り込みつつあります。そのため、AIを使える人と使えない人の間で、得られる便利さや機会に差が生じるおそれがあると指摘されることがあります。
こうした背景から、AIの恩恵が一部の人だけに偏らず、情報や技術に不慣れな人や社会的に弱い立場にある人にも行き渡るようにするという視点は、AIを社会に実装していくうえで重要とされています。AI事業者ガイドラインが、人間中心の考え方の一部として多様性・包摂性の確保を挙げているのも、この視点を示すものと読むことができます。
試験で問われること
G検定
- AI事業者ガイドラインで、多様性・包摂性の確保が共通の指針のうち、1)人間中心の項目の1つとして挙げられていることを確認しましょう。
- この項目の趣旨が、公平性の確保に加えて、情報弱者と技術弱者を生じさせず、社会的弱者がAIを活用しやすくなるよう注意を払い、より多くの人々がAIの恩恵を享受できるようにすることであると確認しましょう。
- 取組の例として、ユニバーサルデザイン、アクセシビリティの確保、関連するステークホルダーへの教育・フォローアップの3つが挙げられていることを確認しましょう。
- AI事業者ガイドラインの多様性・包摂性の確保の一節が、多様性(構成)と包摂性(参加・利益)を明確に切り分けておらず、ダイバーシティの記事も同じ一節を根拠にしているため内容が重なる部分が大きいことを確認しましょう。
最終更新日: 2026/09/23