本文へ移動

G検定(ジェネラリスト検定)

にこうぶんぷ

二項分布

Binomial Distribution

二項分布は、結果が成功と失敗の2つに分かれる試行をn回行い、1回ごとの成功確率がどの回でも同じであるとき、成功がちょうどx回になる確率を表す離散確率分布です。確率は、組み合わせの数と成功確率・失敗確率のべき乗を掛け合わせた式で求まり、平均は試行回数と成功確率の積、標準偏差はその平均に失敗確率を掛けた値の平方根です。

詳しい説明

成功と失敗の2つに分かれる試行を数える

二項分布は、1回ごとの結果が2つのうちどちらか一方になる試行を何回か繰り返したとき、一方の結果が何回出るかの確率を表す分布です。ここでの試行とは、コインを投げる、製品を1個検査するといった、結果が偶然に決まる1回の操作を指します。

米国国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology、NIST)が公開している統計の解説書『NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods』の二項分布の節は、この分布を次のように説明しています。

1. 1回の試行の結果が、互いに排反な2つだけである場合に使う。互いに排反とは、2つが同時には起こらないという意味です。
2. 2つの結果は「成功」と「失敗」と呼び分ける。どちらを成功と呼ぶかは数える対象を決めるための呼び名で、望ましい結果という意味は持ちません。

3. N回の試行のうち成功がx回観測される確率を求めるのに使い、1回の試行で成功する確率をpで表す。

4. pはすべての試行で同じ値であると仮定する。

成功の回数xは0回、1回、2回と飛び飛びの整数しかとりません。このように値が1つずつ区切られている確率分布を離散確率分布と呼びます。同じ解説書は、二項分布がおそらく最もよく使われる離散分布であるとも述べています。

確率を求める式の3つの部分

試行回数を 、1回の成功確率を とすると、成功がちょうど 回になる確率は次の式で求まります。

式は3つの部分の掛け算でできています。

1. は、成功が 回起こる分の確率です。成功確率 を 回掛けています。
2. は、残りの 回がすべて失敗になる分の確率です。1回の失敗確率は、成功しなかった残りなので になります。

3. は、 回のうちどの 回が成功になるかの並び方の数で、次の式で計算します。日本の高校数学では とも書きます。

は の階乗で、 を表します。 は1と決められています。

たとえば5回のうち2回が成功する並び方は、1回目と2回目、1回目と3回目のように数えていくと全部で 通りあります。どの並び方も確率は で同じなので、それを10倍したものが「5回中ちょうど2回成功する確率」になります。

5回の試行で成功回数ごとの確率を並べる

架空の例として、試行回数を に固定し、成功確率が の場合と の場合を比べます。 は表と裏が同じ確率で出るコインを5回投げて表の回数を数える場面にあたります。

で成功がちょうど2回になる確率は、次のとおりです。

で成功がちょうど1回になる確率は、 なので次のとおりです。

同じ計算を から まで行うと、次の表になります。

成功の回数 並び方の数 のときの確率 のときの確率
010.031250.32768
150.156250.4096
2100.31250.2048
3100.31250.0512
450.156250.0064
510.031250.00032
合計3211

では確率が2回と3回を中心に左右対称に並びます。 では成功しにくいので、確率が0回と1回の側に寄り、5回すべて成功する確率は0.00032まで小さくなります。どちらの列も合計は1になり、0回から5回までのどれかが必ず起こることと合っています。

平均と標準偏差が表すもの

二項分布の平均と標準偏差は、次の式で求まります。

平均は、同じ条件の 回の試行を何度も繰り返したときに、成功の回数が平均して何回になるかを表します。標準偏差は、成功の回数が平均からどのくらい散らばるかを表します。標準偏差を2乗した値 は分散と呼ばれます。

前の節の例に当てはめると、次のようになります。

1. では、平均は 回、標準偏差は で約1.118回です。
2. では、平均は 回、標準偏差は で約0.894回です。

のほうが標準偏差が小さいのは、表で見たとおり確率が0回と1回の近くに集まっているためです。 は のとき最も大きくなるので、試行回数が同じなら、成功と失敗が五分五分のときに成功回数の散らばりが最も大きくなります。

ベルヌーイ分布との関係

二項分布のn回の試行はそれぞれ、成功と失敗の2つに分かれ成功確率が一定という同じ構造を持ちます。この1回の試行の構造は、ベルヌーイ分布のページで説明した二値の確率変数と同じものです。二項分布は、このベルヌーイ分布に従う試行をn回独立に繰り返したときの成功回数の分布にあたります。

このページで使う成功確率の記号 は、ベルヌーイ分布のページで使う と同じ種類の量(1回の試行で1になる、あるいは成功する確率)を指しています。同じ量でも、教科書や資料によって と書くことも と書くこともあります。別の本や試験でこの確率を見かけたときは、記号だけで別の量だと決めつけず、何を表しているかを確かめてください。

当てはめる前に確かめること

二項分布の式を使ってよいのは、1回の結果が成功と失敗の2つに分かれ、成功確率 がどの回でも変わらない場合です。3種類以上の結果がある試行や、回を重ねるごとに成功確率が変わっていく試行には、そのままでは当てはまりません。また、式は各回の確率を掛け合わせる形をしているので、ある回の結果が別の回の結果に影響しないことも前提になります。

平均 は、実際に観測される回数とは限りません。 の平均は2.5回ですが、成功の回数は整数なので2.5回がちょうど出ることはありません。表のとおり、この例で最も起こりやすいのは2回と3回です。平均は多数回繰り返したときの成功回数の平均を表す値であり、1回の観測で出る値の予想そのものではありません。

試験で問われること

G検定

  • 二項分布は試行回数 と1回の成功確率 の2つで形が決まり、成功の回数 は0から までの整数だけをとる離散確率分布であることを押さえます。
  • 確率の式 の3つの部分が、並び方の数、成功 回分の確率、失敗 回分の確率をそれぞれ表すことを説明できるようにします。
  • 平均 と標準偏差 を具体的な と で計算できるようにします。たとえば なら平均は1回、標準偏差は で約0.894回です。標準偏差を2乗した が分散です。
  • 当てはめる条件として、1回の結果が互いに排反な成功と失敗の2つだけであることと、成功確率 がすべての試行で同じであることを確認します。

最終更新日: 2026/09/23