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G検定(ジェネラリスト検定)

きたいち

期待値

Expected Value

期待値とは、確率変数がとりうる値のそれぞれに、その値が起こる確率を掛け、すべて足し合わせた値です。試行の結果が平均するとどのくらいになるかを、1つの数で表します。平均とも呼ばれ、ギリシャ文字のμ(ミュー)で書かれることがあります。G検定シラバスでは、確率の基礎の対象キーワードに含まれています。

詳しい説明

期待値とは

期待値は、偶然に左右される試行の結果が、平均するとどのくらいになるかを1つの数で表したものです。求め方は次のとおりです。確率変数がとりうる値を1つずつ取り上げ、その値に、その値が起こる確率を掛けます。こうしてできた積を、とりうる値のすべてについて足し合わせます。その合計が期待値です。

ここでは、グリンステッド(Grinstead)とスネル(Snell)の教科書 Introduction to Probability の第6章に沿って説明します。

定義を読むための2つの語

定義には、確率変数と分布関数という2つの語が出てきます。このページで使う範囲に絞って説明します。

確率変数とは、試行の結果に応じて数値が決まるものです。例えばコインを3回投げて表が出た回数を数えると、結果に応じて0、1、2、3のどれかの数が決まります。このように決まる数を確率変数と呼び、ここではXと書きます。この教科書の定義は、とりうる値が1つずつ数え上げられる確率変数(離散型の確率変数)を扱っています。とりうる値をすべて集めたものは、標本空間と呼ばれ、ギリシャ文字のΩ(オメガ)で表されます。

分布関数とは、ここではXのとりうる値xのそれぞれについて、その値が起こる確率を返すものです。教科書ではm(x)と書かれています。

定義

教科書の定義6.1では、期待値は次のように定められています。数値をとる離散型の確率変数Xについて、標本空間Ωに含まれるすべての値xを取り上げ、xと、その確率m(x)を掛けます。その積をすべて足し合わせた和を、Xの期待値と定めます。期待値はE(X)と書きます。ただし、この和が絶対収束する場合に限ります。絶対収束の意味は、後の節で説明します。

定義はどこから来たか

第6章の導入部では、この定義に入る前に、試行で平均してどれだけ得をするかを考えています。教科書は、そこで平均的な利得として選んだ値について、次のように述べています。可能な結果のそれぞれに、その結果の確率を掛け、それらを足し合わせると、その値が得られる。この操作を試行の結果一般に広げたものが、期待値の定義です。値に確率を掛けて足すという手順は、平均的にどのくらいになるかという考え方から来ています。

具体例: 公正なコインを3回投げる

教科書の例6.1を使って、実際に計算します。表と裏が同じ確率で出るコイン(公正なコイン)を3回投げます。表が出た回数をXとします。

Xがとりうる値は0、1、2、3の4つです。教科書では、それぞれの確率が次のように示されています。

  • 表が0回: 確率は1/8
  • 表が1回: 確率は3/8
  • 表が2回: 確率は3/8
  • 表が3回: 確率は1/8

4つの確率を足すと、ちょうど1になります。

次に、それぞれの値に確率を掛けます。

  • 0×(1/8)=0
  • 1×(3/8)=3/8
  • 2×(3/8)=6/8
  • 3×(1/8)=3/8

この4つを足すと、0+3/8+6/8+3/8=12/8となり、約分すると3/2になります。したがって、Xの期待値は3/2(1.5)です。

Xが実際にとる値は0、1、2、3のどれかなので、1.5という値そのものが出ることはありません。期待値は、1回の試行で実際に出る値ではありません。値の起こりやすさで重みを付けた平均です。

平均という呼び名と記号μ

教科書は、期待値を平均(mean)と呼ぶことも多いと書いています。また、E(X)を短く書くために、ギリシャ文字のμ(ミュー)を使うことがあるとしています。期待値、平均、μは、この文脈では同じものを指します。

期待値を持たない確率変数

定義には、和が絶対収束する場合という条件が付いています。とりうる値が無限にある確率変数では、値と確率の積を足していっても、合計が1つの有限な値に定まらないことがあります。絶対収束とは、積の絶対値(符号を取り除いた大きさ)を足し合わせても、合計が有限の値に収まることです。この条件が満たされない場合、教科書はXは期待値を持たないと言います。とりうる値が有限個しかない場合は、コインの例のように、足し合わせは必ず有限の値になります。

試験で問われること

G検定

  • 期待値の定義を説明できますか。確率変数がとりうる値のそれぞれに、その値の確率を掛け、すべて足し合わせたものです。この手順を自分の言葉で言えるか確かめておきましょう。
  • 公正なコインを3回投げたとき、表が出た回数の期待値を計算できますか。0、1、2、3に確率1/8、3/8、3/8、1/8をそれぞれ掛けて足すと3/2になる過程を、自分で追えるか確認しておきましょう。
  • 期待値が平均とも呼ばれること、ギリシャ文字のμで表されることを確認しておきましょう。あわせて、期待値が実際に起こる値とは限らない理由も説明できますか。コインの例の1.5が手がかりになります。
  • 値と確率の積の和が絶対収束しない場合は、その確率変数は期待値を持たないとされます。この条件がなぜ定義に付いているのか、説明できますか。

最終更新日: 2026/09/23