現金と現金出納帳
簿記でいう現金の範囲を理解し、現金の収支を仕訳し、現金出納帳に記録できるようになります。
ねらい
ここからは第2章に入り、お店のお金の出入りをくわしく見ていきます。 意外に思うかもしれませんが、簿記でいう「現金」は、財布の中の紙幣や硬貨だけを指すわけではありません。 このレッスンでは、まず簿記で現金として扱う範囲を理解します。そのうえで、現金の出入りを仕訳し、専用の帳簿に記録できるようになりましょう。
ストーリー
文房具店では、毎日のように現金が出入りします。 商品を売ればお金が入ってきますし、店で使う消耗品を買えばお金が出ていきます。 ここで、ひとつ覚えておいてほしいことがあります。 取引先から代金として受け取った小切手のうち、その取引先自身が振り出したもの(他人振出の小切手)は、銀行へ持ち込めばすぐにお金に換えられます。そのため簿記では、受け取った時点でこれを現金として扱うのです。 つまり、紙幣や硬貨そのものだけでなく、こうした「すぐにお金へ換わるもの」も、まとめて現金に含めて考えます。
現金として扱うもの
それでは、簿記の現金に含まれるものを整理してみましょう。 紙幣や硬貨に加えて、すぐに換金できる証券もここに入ります。
| 現金に含めるもの | 説明 |
|---|---|
| 紙幣・硬貨 | 手元にある通貨そのもの |
| 他人振出の小切手 | 取引先などが振り出した小切手。銀行ですぐ換金できる |
| 普通為替証書 | 郵便局などで現金に換えられる証書 |
これらを受け取ったときは、現金勘定の借方に記入します。 理由は、これまでのレッスンと同じです。現金は資産にあたり、資産が増えたときは借方へ記入するルールだからです。
ポイント
紙幣や硬貨そのものだけでなく、他人振出の小切手のような「すぐにお金へ換わるもの」も、まとめて現金に含めて考えます。
現金が増減する仕訳
それでは、現金が動く取引を実際に仕訳にしてみましょう。 まず、「商品15,000円を売り上げ、代金として取引先が振り出した小切手を受け取った」取引です。
借方(左)
- 現金資産の増加 15,000
貸方(右)
- 売上収益の増加 15,000
ストーリーで確認したとおり、他人振出の小切手は現金として扱うので、ここでは現金が増えたと考えます。 現金は資産にあたり、資産が増えたときは借方へ記入するので、現金を借方に書きます。 売上は収益にあたり、収益が発生したときは貸方へ記入するので、売上を貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 15,000 | 売上 | 15,000 |
次は、現金が出ていく取引を見てみましょう。 「消耗品費3,000円を現金で払った」取引です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 3,000 | 現金 | 3,000 |
消耗品費は費用にあたり、費用が発生したときは借方へ記入するので、消耗品費を借方に書きます。 現金は資産にあたり、資産が減ったときは貸方へ記入するので、現金を貸方に書きます。
現金出納帳
現金の出入りは毎日のように起きるので、その動きだけを発生順に記録しておく専用の帳簿があると便利です。簿記では、この帳簿を「現金出納帳(げんきんすいとうちょう)」と呼びます。 現金出納帳には、日付、相手や取引の内容を示す「摘要(てきよう)」、入ってきた金額を示す「収入」、出ていった金額を示す「支出」、そして「残高」の欄があります。 収入から支出を差し引いた金額を、残高として次の行へ繰り越していきます。
先ほど仕訳にした2つの取引を、現金出納帳に書き入れてみましょう。
| 日付 | 摘要 | 収入 | 支出 | 残高 |
|---|---|---|---|---|
| 6月1日 | 前月繰越 | 20,000 | 20,000 | |
| 6月3日 | 売上(先方振出小切手) | 15,000 | 35,000 | |
| 6月5日 | 消耗品費の支払い | 3,000 | 32,000 |
この現金出納帳の月末の残高は、総勘定元帳の現金勘定の残高と一致します。 帳簿に記録された現金と、実際に手元にある現金を照らし合わせて確かめるとき、この帳簿がその起点になってくれます。
用語の確認
3級で学ぶ資産の勘定科目を、カードで確かめましょう。用語を見て意味を思い出し、カードを押して答え合わせをします。
表 現金
例題
それでは、現金が動く取引を自分で仕訳にしてみましょう。 「商品8,000円を売り上げ、代金を現金で受け取った」取引です。
解答は次のとおりです。 現金は資産にあたり、資産が増えたときは借方へ記入するので、現金を借方に書きます。 売上は収益にあたり、収益が発生したときは貸方へ記入するので、売上を貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 8,000 | 売上 | 8,000 |
応用
最後に、少しひねった取引にも挑戦してみましょう。 「通信費5,000円を支払うために、以前に受け取っていた他人振出の小切手を使って支払った」取引です。
解答は次のとおりです。 ここがポイントなのですが、手元にあった他人振出の小切手は、すでに現金として記録されています。ですから、これを支払いに使うと現金が減ったことになります。 通信費は費用にあたり、費用が発生したときは借方へ記入するので、通信費を借方に書きます。 現金は資産にあたり、資産が減ったときは貸方へ記入するので、現金を貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
注意
手元にあった他人振出の小切手は、受け取ったときにすでに現金として記録されています。 ですから、これを支払いに使ったときに減るのは、現金です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 現金の実際有高が帳簿より不足していたときの仕訳解く
- 現金過不足の原因が判明したときの仕訳解く
- 決算で原因不明の現金過不足を振り替えるときの仕訳解く
- 現金を当座預金口座に預け入れたときの仕訳解く
- 小切手を振り出して買掛金を支払ったときの仕訳解く