棚卸減耗損
帳簿上の在庫数量と実際の数量の差から棚卸減耗損を計算し、仕訳できるようになります。
ねらい
決算で在庫を数えたとき、帳簿の数量より実際の数量が少なかった場合の処理を学びます。このレッスンを終えると、棚卸減耗損を計算して仕訳できるようになります。
ストーリー
決算日を迎えたあなたの会社では、倉庫にある商品を実際に数える作業を行いました。商品の受け払いを記録してきた帳簿のうえでは、単価 ¥400 の商品が500個残っているはずです。ところが、倉庫で1個ずつ数えてみると、490個しかありませんでした。
帳簿に記録された数量のことを「帳簿棚卸数量(ちょうぼたなおろしすうりょう)」、実際に数えた数量のことを「実地棚卸数量(じっちたなおろしすうりょう)」といいます。保管中の紛失や盗難、記録のもれなどが原因で、実地棚卸数量が帳簿棚卸数量を下回ることがあります。この足りない分の原価を「棚卸減耗損(たなおろしげんもうそん)」という費用の勘定で処理します。
図解
足りないのは 500個 − 490個 で10個です。棚卸減耗損は、この数量に原価の単価を掛けて計算します。
ポイント
棚卸減耗損 =(帳簿棚卸数量 − 実地棚卸数量)× 原価の単価
この例では 10個 かける ¥400 で ¥4,000 です。商品という資産が帳簿より ¥4,000 少なかったので、資産を減らし、同じ額の費用を計上します。
借方(左)
- 棚卸減耗損費用の増加 4,000
貸方(右)
- 繰越商品資産の減少 4,000
仕訳と理由
当社は三分法で記帳しています。決算整理で期末商品帳簿棚卸高(500個 かける ¥400 で ¥200,000)を繰越商品勘定へ振り替えたあと、減耗の分を次のように処理します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 棚卸減耗損 | 4,000 | 繰越商品 | 4,000 |
貸方は繰越商品です。繰越商品は資産の勘定であり、実際には存在しない10個分の ¥4,000 を帳簿から取り除くので、資産の減少として貸方に記入します。
借方は棚卸減耗損です。なくなった商品はもう売ることができず、会社の財産を減らした損失です。費用の勘定である棚卸減耗損が増えるので、借方に記入します。
この処理を終えると、繰越商品勘定の残高は実際にある490個分(490個 かける ¥400 で ¥196,000)となり、倉庫の実態と一致します。
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
決算にあたり実地棚卸を行ったところ、帳簿棚卸数量は300個(原価の単価 ¥250)、実地棚卸数量は294個だった。当社は三分法で記帳しており、期末商品帳簿棚卸高の振り替えはすでに行っている。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 棚卸減耗損 | 1,500 | 繰越商品 | 1,500 |
減耗した数量は 300個 − 294個 で6個です。棚卸減耗損は 6個 かける ¥250 で ¥1,500 になります。実在しない在庫を帳簿から取り除くため繰越商品を貸方で減らし、費用として棚卸減耗損を借方に記入します。
応用
売上原価を求める決算整理と減耗の処理を続けて仕訳してみましょう。
期首商品棚卸高は ¥50,000 だった。期末商品帳簿棚卸高は ¥40,000(80個・原価の単価 ¥500)で、実地棚卸数量は76個だった。当社は三分法で記帳している。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 50,000 | 繰越商品 | 50,000 |
| 繰越商品 | 40,000 | 仕入 | 40,000 |
| 棚卸減耗損 | 2,000 | 繰越商品 | 2,000 |
最初の2本は3級で学んだ売上原価の整理です。期首の ¥50,000 を仕入へ、期末の帳簿棚卸高 ¥40,000 を繰越商品へ振り替えます。
注意
このとき繰越商品に計上するのは、実地ではなく帳簿の棚卸高である点に注意してください。
そのうえで、減耗した4個分(4個 かける ¥500 で ¥2,000)を棚卸減耗損として費用に計上し、繰越商品から取り除きます。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 売上原価と売上総利益の算定解く
- 仕入割戻を受けて買掛金と相殺したときの仕訳解く
- 実地棚卸で数量の不足が判明したときの仕訳解く
- 期末商品の正味売却価額が原価を下回ったときの仕訳解く
- 棚卸減耗と評価損が同時に生じたときの仕訳解く