商品の評価替えと商品評価損
商品の価値が下がったとき、正味売却価額まで帳簿価額を切り下げて商品評価損を計上できるようになります。
ねらい
期末に残った商品の価値が、仕入れたときの原価より下がっていた場合の処理を学びます。このレッスンを終えると、商品評価損を計算し、商品の帳簿価額を切り下げる仕訳ができるようになります。
ストーリー
あなたの会社の倉庫には、期末の実地棚卸で数えた490個の商品が残っています。原価は1個 ¥400 です。ところが、この商品は季節ものだったため人気が落ち、いまでは1個 ¥380 でしか売れる見込みがありません。
商品を売ったときに受け取れる見込みの価格から、販売にかかる費用を差し引いた金額を「正味売却価額(しょうみばいきゃくかがく)」といいます。期末の商品は、正味売却価額が原価を下回ったとき、帳簿の金額のままにしておけません。売っても ¥380 にしかならない商品を ¥400 の資産として翌期に持ち越すと、資産が実態より大きく見えてしまうからです。そこで帳簿価額を正味売却価額まで切り下げます。この切り下げを商品の評価替えといい、切り下げた差額を「商品評価損(しょうひんひょうかそん)」という費用の勘定で処理します。
図解
商品評価損は、実際にある数量に、原価と正味売却価額の差を掛けて計算します。
ポイント
商品評価損 = 実地棚卸数量 ×(原価の単価 − 正味売却価額の単価)
この例では 490個 かける ¥20 で ¥9,800 です。棚卸減耗損が「数量が足りない分」の費用だったのに対し、商品評価損は「1個あたりの価値が下がった分」の費用です。減耗と評価替えの両方があるときは、先に減耗を処理し、実際にある数量に対して評価替えを行います。
借方(左)
- 商品評価損費用の増加 9,800
貸方(右)
- 繰越商品資産の減少 9,800
仕訳と理由
当社は三分法で記帳しており、期末商品帳簿棚卸高の振り替えと棚卸減耗損の処理はすでに終えているとします。評価替えの仕訳は次のとおりです。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 商品評価損 | 9,800 | 繰越商品 | 9,800 |
貸方は繰越商品です。繰越商品は資産の勘定であり、価値が下がった ¥9,800 の分だけ帳簿から減らすので、資産の減少として貸方に記入します。
借方は商品評価損です。値下がりによって会社の財産が目減りした分は費用であり、費用の勘定である商品評価損が増えるので借方に記入します。
この処理を終えると、繰越商品勘定の残高は 490個 かける ¥380 で ¥186,200 となり、翌期へは正味売却価額で持ち越されます。反対に、正味売却価額が原価より高いときは、評価替えを行いません。帳簿価額は原価のままとし、値上がりの利益は実際に売れるまで計上しないのがルールです。
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
決算にあたり、期末商品の実地棚卸数量は200個(原価の単価 ¥150)だった。この商品の正味売却価額は1個あたり ¥140 である。当社は三分法で記帳しており、期末商品帳簿棚卸高の振り替えはすでに行っている。棚卸減耗はなかった。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 商品評価損 | 2,000 | 繰越商品 | 2,000 |
1個あたりの値下がりは ¥150 − ¥140 で ¥10 です。商品評価損は 200個 かける ¥10 で ¥2,000 になります。資産である繰越商品を貸方で減らし、費用である商品評価損を借方に記入します。
応用
棚卸減耗損と商品評価損の両方がある場合について、続けて仕訳してみましょう。
決算にあたり実地棚卸を行ったところ、期末商品の帳簿棚卸数量は100個(原価の単価 ¥800)、実地棚卸数量は95個で、正味売却価額は1個あたり ¥760 だった。当社は三分法で記帳しており、期末商品帳簿棚卸高の振り替えはすでに行っている。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 棚卸減耗損 | 4,000 | 繰越商品 | 4,000 |
| 商品評価損 | 3,800 | 繰越商品 | 3,800 |
先に減耗を処理します。足りない5個分の原価 5個 かける ¥800 で ¥4,000 を棚卸減耗損とします。次に、実際にある95個について評価替えを行います。1個あたりの値下がり ¥40 に95個を掛けた ¥3,800 が商品評価損です。どちらの仕訳も、資産である繰越商品を貸方で減らし、費用を借方に計上します。
注意
評価損の計算に帳簿の100個ではなく実地の95個を使う点が、この論点のいちばんのつまずきどころです。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 売上原価と売上総利益の算定解く
- 仕入割戻を受けて買掛金と相殺したときの仕訳解く
- 実地棚卸で数量の不足が判明したときの仕訳解く
- 期末商品の正味売却価額が原価を下回ったときの仕訳解く
- 棚卸減耗と評価損が同時に生じたときの仕訳解く