日商簿記2級とは
日商簿記2級がどんな資格か、商業簿記に加えて工業簿記が入ること、級の体系のなかでどこに位置づくか、試験制度と合格率、2027年度の出題区分表改定までを日本商工会議所の公式情報にもとづいて整理した解説ページです。
最終更新: 2026/07/12
日商簿記2級は、日本商工会議所と各地の商工会議所が実施する簿記検定試験の一つです。このページでは、日商簿記2級がどんな資格か、級の体系のなかでどこに位置づくか、試験の制度と最新の動向を公式情報にもとづいて整理します。
日商簿記2級とは
日商簿記2級は、経営管理に役立つ知識として、多くの企業から求められる資格です。日本商工会議所は2級の水準について、高度な商業簿記と工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務をふまえて適切な処理や分析を行えるレベルと位置づけています。
3級との大きな違いは、扱う範囲が広がることです。3級で学ぶのは基本的な商業簿記でしたが、2級では、より高度な商業簿記に加えて、工業簿記が新しく入ります。
商業簿記とは、商品の売買や現金の出入りといった、会社の日々のお金の動きを記録し、計算し、報告するための技術です。工業簿記とは、製造業で製品を作るのにかかった原価(げんか)を計算し、帳簿に記録するための技術です。3級で学ぶ商業簿記が商品の売買を中心に記録するのに対して、工業簿記では、材料費・労務費・経費といった製造の原価を集計し、製品一つあたりのコストを求めます。2級では、この工業簿記と、3級より高度な商業簿記の両方を学びます。
級の階段のなかでの2級
日商簿記検定には、入門から上級まで段階があります。2級は、その階段のなかで、企業の経理実務を一通り扱えるようになる級にあたります。各級の位置づけは次のとおりです。
| 級 | 学ぶ内容と水準 |
|---|---|
| 簿記初級 | 簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に生かせるレベル |
| 原価計算初級 | 原価計算の基本用語や、原価と利益の関係を理解できるレベル |
| 3級 | 基本的な商業簿記を修得し、経理に関する書類を適切に処理できるレベル |
| 2級 | 高度な商業簿記と工業簿記を修得し、財務諸表から経営内容を把握できるレベル |
| 1級 | 極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、経営管理や経営分析ができるレベル |
3級は、会社の日々の取引を帳簿に記録できるようになることを目指す、基本的な商業簿記の級です。2級はそこから一歩進み、高度な商業簿記に工業簿記を加えて、財務諸表の数字から会社の経営内容を読み取れるようになることを目指します。
2級の次は1級です。1級では、極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を学びます。1級に合格すると、税理士試験の受験資格が得られます。1級は、公認会計士や税理士といった国家資格への登竜門とされています。
つまり2級は、3級で固めた会計の土台の上に、高度な商業簿記と工業簿記を積み上げ、企業の経理実務を一通り扱えるようになるための級です。
ポイント
2級では、3級の商業簿記に加えて、製造業の原価を計算する工業簿記を学びます。試験でも、商業簿記と工業簿記の両方が出題されます。
試験制度
日商簿記2級の試験には、統一試験とネット試験の2つの方式があります。どちらの方式で合格しても、資格としての扱いは同じです。日本商工会議所は、ネット試験の合格と統一試験の合格は同じ扱いになると説明しています。
試験時間・出題数・合格基準
2級の試験は、商業簿記と工業簿記(原価計算を含む)の両方を対象とします。試験時間は90分、出題は5題以内、合格の基準は正答率70%以上です。この時間・出題数・基準は、統一試験とネット試験で共通です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題科目 | 商業簿記・工業簿記(原価計算を含む) |
| 試験時間 | 90分 |
| 出題数 | 5題以内 |
| 合格基準 | 70%以上 |
3級が商業簿記だけを60分・3題以内で解くのに対して、2級は工業簿記が加わるぶん、試験時間が90分、出題も5題以内と長くなります。
統一試験とネット試験
統一試験は、決められた日に会場で紙の問題を解く方式です。年に3回実施され、おおむね6月・11月・2月に行われます。
ネット試験は、試験会場のパソコンで受ける方式です。決まった日ではなく、会場が設定する日に随時実施されます。統一試験の前後には、ネット試験を休止する期間が設けられます。
ネット試験の出題形式は、選択式と入力式です。仕訳の問題では、勘定科目をプルダウンから選び、金額を入力します。金額や勘定科目名そのものを入力する問題も出されます。仕訳では、同じ勘定科目を借方・貸方のなかでそれぞれ1回ずつしか使えない点にも注意が必要です。
2級のネット試験の受験料は、5,500円です。この金額は消費税込みです。
直近の受験者数と合格率
日本商工会議所が公表している直近の受験者データから、2級の数字を抜き出します。
| 方式 | 対象 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 統一試験 | 第172回(2026年2月22日施行) | 6,038名 | 911名 | 15.1% |
| ネット試験 | 2025年4月から2026年3月 | 141,072名 | 46,351名 | 32.9% |
2級も、ネット試験の受験者数が統一試験を大きく上回っています。2025年度のネット試験は14万人を超える規模で、各回数千人の統一試験より、はるかに多くの人が受けています。
合格率は回や期間によって変わります。統一試験は回ごとの変動が大きく、直近でも1割台から2割台まで幅があります。受験の際は、日本商工会議所の最新の公表値をあわせて確認してください。
最新動向
日商簿記検定の出題区分表は、2027年度から改定されます。出題区分表とは、それぞれの級でどこまでを出題するかを定めた表のことです。
日本商工会議所は、2025年12月25日に、2027年度以降の試験に適用する出題区分表の暫定版を公表しました。2級では、リースの会計処理が大きく変わります。これまでは、リースをファイナンス・リースとオペレーティング・リースに区分し、リース資産・リース債務という勘定科目で処理していました。2027年度からは、借手側でこの区分をなくし、使用権資産(しようけんしさん)とリース負債という勘定科目を使って、リースを資産と負債として計上する方法に切り替わります。企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」が2027年4月1日以降に開始する事業年度から強制適用されることへの対応です。
このほか2級では、紙の手形(てがた)の廃止にともなって、手形の更改(こうかい)・裏書譲渡(うらがきじょうと)・割引(わりびき)などが範囲から外れます。また、短期リースと少額リースが新しく2級の範囲として明示されます。
現在公表されているのは暫定版です。2026年7月の時点では、暫定版ではない確定版はまだ公表されていません。確定版が公表されると、細かい点が変わることがあります。
新しい出題区分表が適用されるのは、2027年4月1日以降に施行される試験からです。2026年度中に施行される試験は、これまでどおり2022年度に改定された区分表で出題されます。つまり、2026年度に受験する方はリース資産・リース債務などの現行の処理で、2027年度以降に受験する方は使用権資産・リース負債などの新しい処理で試験を受けることになります。当サービスの教材は2027年度基準で整えたうえで、受験する年度によって答えが変わる箇所には、その旨を注記しています。
注意
2027年度版の出題区分表は、2026年7月の時点では暫定版です。確定版が公表されると、細かい点が変わることがあります。最新の内容は日本商工会議所の公式情報でご確認ください。
改定の背景や、3級と2級で何がどう変わるのか、受験する年度ごとの注意点は、別の記事でくわしく解説しています。
学習の指針
日商簿記2級の学習は、3級で身につけた商業簿記の土台の上に、まず高度な商業簿記を積み上げ、続いて工業簿記を学ぶ、という順で進めるのが自然です。2級には3級の範囲が含まれるため、3級の仕訳や決算の考え方が土台になります。当サービスの教材も、商業簿記から工業簿記へと章を並べています。
商業簿記では、商品売買と収益認識、現金預金と銀行勘定調整表、債権と債務、有価証券、有形固定資産、リース、無形固定資産、引当金、外貨建取引、税金と税効果会計、株式会社の会計、決算と財務諸表、本支店会計、そして複数の会社をまとめる連結会計までを学びます。3級より扱う取引の種類が増え、決算で作る書類も本格的になります。
工業簿記では、原価がどのように分類されるかという基礎から始めます。材料費・労務費・経費という費目ごとの計算、製造間接費の配賦、部門ごとに原価を集計する部門別計算、製品ごとに原価を計算する個別原価計算と総合原価計算、目標となる原価とのズレを分析する標準原価計算、そして直接原価計算とCVP分析までを学びます。
学習の進め方は、次のページから確認できます。
試験は90分で5題以内、70%以上の正答で合格です。商業簿記と工業簿記の両方が出題されるため、どちらもバランスよく学ぶことが大切です。焦らず、一つずつ理解を積み上げていきましょう。
更新履歴と出典
このページは、日本商工会議所および各地の商工会議所が運営する検定試験サイトが公表する公式情報にもとづいています。おもな出典は次のとおりです。
試験の制度や出題の範囲、受験料、合格率は改定されることがあります。受験の際は、日本商工会議所の最新の公式情報をあわせてご確認ください。このページは、公式の発表に応じて更新します。
このページは2026年7月12日に更新しました。今後、2027年度出題区分表の確定版など、新しい公式発表があれば内容を見直します。