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日商簿記 2027年度に改定、出題区分表の変更点

公開 2026/07/11 / 更新 2026/08/14

日商簿記検定の出題区分表が2027年度に改定されます。2026年7月31日に確定版が公表されました。いつから変わるのか、3級と2級で何が変わるのか、受験する年度ごとに気をつけることを公式情報にもとづいて整理します。

対象年度
2027年度
適用時期
2027年4月1日以降に施行される試験から
確定・未確定
確定
最終更新日
2026/08/14

日商簿記検定の出題区分表が、2027年度から新しくなります。2026年7月31日に確定版が公表されました。この記事では、公表されている公式情報をもとに、何が変わるのか、いつから変わるのか、受験する方が気をつけることを整理します。

何が起きるのか

日本商工会議所は2025年12月25日に、2027年度以降の試験に適用する出題区分表の暫定版を公表し、2026年7月31日に確定版を公表しました。出題区分表とは、それぞれの級でどこまでを出題するかを定めた表のことです。

今回の改定では、紙の手形(てがた)や小切手(こぎって)に関する内容が出題の範囲から外れます。あわせて、リースの会計処理が新しい会計基準に合わせて見直されます。確定版と暫定版を見比べると、3級・2級で変わる内容そのものに違いはありません。改定項目ごとの仕訳例も、2025年12月25日公表の暫定版の時点ですでに示されており、求められる会計処理をイメージしやすい形は暫定版から一貫しています。

いつから適用されるのか

新しい出題区分表が適用されるのは、2027年4月1日以降に施行される試験からです。統一試験、団体試験、ネット試験のすべてで、同じ区分表にもとづいて出題されます。

2026年度中に施行される試験は、これまでどおり2022年度に改定された区分表で出題されます。統一試験もネット試験も同じ扱いです。つまり、2026年度に受験する方は現行の範囲で、2027年度以降に受験する方は新しい範囲で試験を受けることになります。

現行の区分表と新しい区分表を同時に使う経過措置のような期間は、公式には設けられていません。2026年度は2022年度版、2027年度は新しい版という切り替えになります。

なぜ変わるのか

改定の背景には、大きく2つの動きがあります。

1つ目は、紙の手形と小切手が使われなくなることです。政府は事務の負担を軽くしたり、盗難や紛失のリスクを減らしたりするために、紙の手形や小切手を廃止する方針を掲げています。これを受けて全国銀行協会は、2026年度末で電子交換所での手形と小切手の交換を取りやめると決めました。簿記の学習では手形や小切手の処理が代表的な取引でしたが、実務から姿を消すため、出題内容も見直されます。

2つ目は、リースの会計基準が新しくなることです。2024年9月に公表された企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」が、2027年4月1日以降に始まる事業年度から強制的に適用されます。新しい基準では、借り手の側でファイナンス・リースとオペレーティング・リースを区別せず、多くのリースを資産と負債として計上する形に変わります。この制度の改正に合わせて、簿記の出題内容も見直されます。

3級で変わること

3級では、次のような変更があります。おおまかに言うと、手形に関する内容が範囲から外れ、これまで2級で学んでいた内容の一部が3級に移ってきます。

変わること内容
手形が範囲から外れる受取手形や支払手形、手形記入帳など、手形に関する内容が出題区分表から削除されます
2級から移ってくる内容販売のつど売上原価勘定に振り替える方法、有形固定資産の除却と廃棄、定率法による減価償却が、2級から3級に移ります
表現が明確になる内容クレジット売掛金に「キャッシュレス決済を含む」と補足され、普通預金が区分表に明記されます
変わらない内容電子記録債権と電子記録債務は内容そのままで、章の位置だけが移ります。家賃や地代は従来どおりの賃貸借処理で出題されます

2級から3級に移ってくる内容について、もう少しくわしく見ていきます。

1つ目は、販売のつど売上原価勘定に振り替える方法です。商品を売るたびに売上原価を計算して記録するやり方で、これまでは2級の範囲でした。実務でこの方法を使う会社が増えていることなどから、3級で学ぶ内容になります。

2つ目は、有形固定資産の除却(じょきゃく)と廃棄(はいき)です。使わなくなった固定資産を帳簿から取り除いたり、不要になったものを処分したりする処理で、これまでは2級の範囲でした。

3つ目は、定率法(ていりつほう)による減価償却(げんかしょうきゃく)です。ただし3級では基本的な仕組みの理解にとどめるため、200%定率法の保証率や改定償却率を使う問題は、3級では出題されません。

3級では、リースを資産と負債として計上する処理は求められません。事務所や店舗を借りたときの家賃、土地を借りたときの地代は、これまでどおりの賃貸借処理で出題されます。

注意

2級から3級に移ってくる内容は、2027年度からの3級で出題されます。2026年度中に受ける3級では、これらはまだ範囲に入っていません。

2級で変わること

2級でも、手形に関する内容が範囲から外れます。あわせて、リースの会計処理が新しい基準に合わせて大きく変わります。

変わること内容
リースの勘定科目が変わる借り手の処理で、リース資産は使用権資産に、リース債務はリース負債に変わります。ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区別はなくなります
短期リースと少額リースが加わる期間の短いリースや金額の小さいリースは、資産として計上せず、賃貸借処理でよいことが明示されます
ファクタリングが明確になる「その他の債権譲渡」が売掛債権の譲渡、いわゆるファクタリングとして示され、2級では買取型の簡易な出題に限られます
手形が範囲から外れる手形の更改や裏書き、割引など、手形に関する内容が削除されます

2級でもっとも大きな変更は、リースの会計処理です。新しい基準では、借り手の側でファイナンス・リースとオペレーティング・リースを区別しなくなります。これまで使っていた「リース資産」と「リース債務」という勘定科目は、「使用権資産(しようけんしさん)」と「リース負債」に変わります。利子込み法と利子抜き法の両方が出題されること、利子抜き法では利息を定額法で各期間に配分することは、これまでどおりです。おもに変わるのは勘定科目の名前です。

なお、3級に移ってきた販売のつど売上原価勘定に振り替える方法や、除却と廃棄、定率法は、2級には3級の範囲が含まれるため、2級でも引き続き学びます。

工業簿記は、今回の改定の対象ではありません。確定版の改定項目等の説明書にも、工業簿記や原価計算についての記載はなく、商業簿記・会計学と簿記初級だけが対象であることが確定しました。

受験する年度ごとに気をつけること

いつ受験するかによって、学ぶ範囲が変わります。

2026年度中に受ける方は、現行の2022年度版が範囲です。3級では手形が出題されます。いっぽうで、定率法や、有形固定資産の除却と廃棄、販売のつど売上原価勘定に振り替える方法は、2026年度の3級ではまだ範囲外です。

2027年度以降に受ける方は、新しい区分表が範囲です。手形は出題されません。かわりに、2級から移ってきた定率法などが3級でも問われます。

年度をまたいで学習する方は、申し込みの前に、自分が受ける試験がどちらの区分表で出題されるかを確認しておくと安心です。

一次出典