総平均法による払出単価の計算
総平均法で商品の払出単価を計算し、売上原価と期末商品棚卸高を求められるようになります。
ねらい
同じ商品を違う単価で何度も仕入れたとき、売った商品の原価をいくらと考えるかを学びます。このレッスンを終えると、総平均法で払出単価を計算し、売上原価と期末の商品棚卸高を求められるようになります。
ストーリー
あなたの会社は、マグカップを仕入れて販売する雑貨店を営んでいます。同じマグカップでも、仕入れる時期によって単価は変わります。期首には1個 ¥200 で仕入れた在庫が100個ありました。その後、1個 ¥230 で200個、さらに1個 ¥260 で100個を仕入れました。
このマグカップが1個売れたとき、その原価は ¥200 でしょうか、¥230 でしょうか、それとも ¥260 でしょうか。倉庫に並んだマグカップはどれも同じ姿で、区別はつきません。そこで簿記では、売った商品の原価の決め方をあらかじめルールとして選んでおきます。
3級では、先に仕入れた分から売ったと考える先入先出法と、仕入れるたびに平均単価を計算し直す移動平均法を学びました。2級ではもう1つ、「総平均法(そうへいきんほう)」という方法が加わります。総平均法は、一定期間の受け入れ全体から平均単価を一度だけ計算する方法です。
図解
先ほどのストーリーを表に整理します。
| 受け入れ | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 期首の在庫 | 100個 | ¥200 | ¥20,000 |
| 1回目の仕入 | 200個 | ¥230 | ¥46,000 |
| 2回目の仕入 | 100個 | ¥260 | ¥26,000 |
| 合計 | 400個 | ¥92,000 |
総平均法の平均単価は、次の式で求めます。
ポイント
平均単価 =(期首の在庫金額 + 当期の仕入金額の合計)÷(期首の在庫数量 + 当期の仕入数量の合計)
この例では、¥92,000 ÷ 400個 で、平均単価は1個 ¥230 になります。当期に300個売れたとすると、売上原価は 300個 かける ¥230 で ¥69,000、期末に残った100個の商品棚卸高は 100個 かける ¥230 で ¥23,000 です。
移動平均法との違いは、計算するタイミングです。移動平均法は仕入れるたびに平均を計算し直すのに対し、総平均法は期間の終わりに一度だけ計算します。そのため総平均法は計算の手間が少ない一方、期間が終わるまで払出単価が決まりません。
仕訳と理由
総平均法で求めた金額は、三分法の決算整理仕訳に使います。当社は三分法で記帳しており、期首の商品 ¥20,000 は繰越商品勘定に記録されています。決算で、売上原価を仕入勘定で計算するために、次の2本の仕訳を切ります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 20,000 | 繰越商品 | 20,000 |
| 繰越商品 | 23,000 | 仕入 | 23,000 |
1本目は期首分です。繰越商品は資産の勘定であり、期首の在庫は当期に売られたものとして原価の計算に加えるので、資産の減少として貸方に記入し、費用の勘定である仕入の借方へ移します。
2本目は期末分です。期末に残った商品は当期の費用ではなく、翌期に売るための資産です。総平均法で計算した ¥23,000 だけ仕入という費用を減らすために貸方に記入し、資産の勘定である繰越商品の借方へ移します。
この整理の結果、仕入勘定の残高は 20,000 + 72,000 − 23,000 で ¥69,000 となり、先ほど計算した売上原価と一致します。
例題
次の資料から、総平均法によって平均単価・期末商品棚卸高・売上原価を計算してみましょう。
期首の在庫は50個(単価 ¥300)、当期の仕入は150個(単価 ¥340)で、期末の在庫数量は40個でした。
答え合わせ
受け入れの合計は、金額が ¥15,000 + ¥51,000 で ¥66,000、数量が200個です。平均単価は ¥66,000 ÷ 200個 で ¥330 になります。期末商品棚卸高は 40個 かける ¥330 で ¥13,200 です。売上原価は、売れた160個 かける ¥330 で ¥52,800 となります。受け入れ合計 ¥66,000 から期末の ¥13,200 を差し引いても、同じ ¥52,800 が求められます。
応用
次の資料から総平均法で期末商品棚卸高を計算し、三分法による決算整理仕訳を書いてみましょう。
期首商品棚卸高は ¥31,000(100個・単価 ¥310)、当期の仕入は300個(単価 ¥330・金額 ¥99,000)、期末の在庫数量は120個でした。
答え合わせ
平均単価は(¥31,000 + ¥99,000)÷(100個 + 300個)で ¥325 です。期末商品棚卸高は 120個 かける ¥325 で ¥39,000 になります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 31,000 | 繰越商品 | 31,000 |
| 繰越商品 | 39,000 | 仕入 | 39,000 |
期首の ¥31,000 は繰越商品から仕入へ、総平均法で計算した期末の ¥39,000 は仕入から繰越商品へ振り替えます。理由は本文の決算整理と同じで、期首の在庫を原価の計算へ加え、期末の在庫を翌期の資産として残すためです。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 売上原価と売上総利益の算定解く
- 仕入割戻を受けて買掛金と相殺したときの仕訳解く
- 実地棚卸で数量の不足が判明したときの仕訳解く
- 期末商品の正味売却価額が原価を下回ったときの仕訳解く
- 棚卸減耗と評価損が同時に生じたときの仕訳解く