仕入割戻
一定額以上の仕入に対して代金の一部が戻されたとき、仕入割戻勘定で処理できるようになります。
ねらい
仕入先から代金の一部を戻してもらったときの処理を学びます。このレッスンを終えると、割戻を受けた取引を仕入割戻勘定で仕訳できるようになります。
ストーリー
あなたの会社は、文房具を仕入れて販売する小売業を営んでいます。仕入先の卸売会社との間には、「1か月の仕入額が100万円を超えたら、代金の3%を戻す」という取り決めがあります。
今月はたくさん売れたので、仕入額が取り決めの基準を超えました。月末に仕入先から「今月分の割戻3万円を掛け代金から差し引きます」という連絡が届きました。
このように、多くの商品を仕入れてくれた買い手に対して、売り手が代金の一部を戻すことを「仕入割戻(しいれわりもどし)」といいます。いわゆるリベートのことです。当社はお金を支払う側ではなく、支払うはずだった代金が減る側にいます。この「代金が減った分」をどう記録するかが、このレッスンのテーマです。
図解
割戻を受けると、仕入先へ支払う義務である買掛金が減ります。同時に、仕入れにかかった金額そのものが割戻の分だけ小さくなります。それぞれの要素の動きを見てみましょう。
借方(左)
- 買掛金負債の減少 30,000
貸方(右)
- 仕入割戻費用の減少 30,000
仕訳と理由
先ほどのストーリーの取引を仕訳にすると、次のようになります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 30,000 | 仕入割戻 | 30,000 |
借方の理由から考えます。買掛金は仕入先へ代金を支払う義務であり、負債の勘定です。割戻を受けた分だけ支払う義務が減るので、負債の減少として借方に記入します。
貸方には「仕入割戻」を記入します。仕入割戻は、費用である仕入を割戻の分だけ減らす性質の勘定です。費用のグループに属する勘定が減るときは、費用の増加(借方)とは反対の貸方に記入します。
ポイント
標準的な勘定科目は「仕入割戻」で、標準許容勘定科目表では仕入勘定から直接差し引く処理も許容されています。この教材では標準の「仕入割戻」で統一します。
注意
よく似た言葉に「仕入割引」があります。割引は代金を早く支払ったことによる利息分の免除で、割戻とは別の取引です。仕入割引は1級の範囲なので、2級では扱いません。
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
仕入先の株式会社青葉商事から、当月の仕入額が取り決めの基準を超えたため、¥12,000 の割戻を受け、同額を買掛金と相殺した。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 12,000 | 仕入割戻 | 12,000 |
買掛金という負債が減るので借方、仕入という費用を減らす仕入割戻は貸方です。金額はどちらも割戻の額である¥12,000 です。
応用
割戻は、代金の支払いと同時に処理することもあります。次の取引を仕訳してみましょう。
仕入先の株式会社港北商会に対する買掛金 ¥500,000 の支払日となり、取り決めにもとづく割戻 ¥25,000 を差し引いた残額を当社の普通預金口座から振り込んだ。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 500,000 | 仕入割戻 | 25,000 |
| 普通預金 | 475,000 |
買掛金 ¥500,000 の支払い義務は、この取引で全額なくなります。負債の減少なので、総額の ¥500,000 を借方に記入します。そのうち ¥25,000 は割戻によって支払いを免れた分なので、貸方に仕入割戻を記入します。残りの ¥475,000 は実際に普通預金口座から出ていったお金です。普通預金は資産であり、資産が減るときは貸方に記入します。借方と貸方の合計はどちらも ¥500,000 で一致します。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 売上原価と売上総利益の算定解く
- 仕入割戻を受けて買掛金と相殺したときの仕訳解く
- 実地棚卸で数量の不足が判明したときの仕訳解く
- 期末商品の正味売却価額が原価を下回ったときの仕訳解く
- 棚卸減耗と評価損が同時に生じたときの仕訳解く