ソフトウェアとソフトウェア仮勘定
自社利用のソフトウェアを資産に計上し、制作中の支払いをソフトウェア仮勘定で処理できるようになります。
ねらい
業務で使うソフトウェアの処理を学びます。このレッスンを終えると、自社利用のソフトウェアの取得・償却と、完成前の支払いを集めるソフトウェア仮勘定の処理ができるようになります。
ストーリー
あなたの会社は、在庫管理のシステムをソフトウェア会社に開発してもらうことにしました。開発代金は ¥1,500,000 で、完成までに半年かかります。契約時に中間金として ¥600,000 を支払いました。
このシステムは、完成すれば長期間にわたって業務を支えてくれます。
ポイント
将来の収益獲得や費用の削減が確実に見込めるなら、購入や制作にかかったお金は費用ではなく「ソフトウェア」という無形固定資産になります。2級で扱うのは、このような自社で利用する目的のソフトウェアです。
では、完成前に支払った中間金はどうでしょう。まだ完成していないので、ソフトウェア勘定にはできません。ここで使うのが「ソフトウェア仮勘定」です。第5章で学んだ建設仮勘定のソフトウェア版と考えると、仕組みがそのまま重なります。
図解
建設仮勘定との対応で整理します。
| 場面 | 建物の場合 | ソフトウェアの場合 |
|---|---|---|
| 完成前の支払い | 建設仮勘定 | ソフトウェア仮勘定 |
| 完成・引き渡し | 建物へ振り替える | ソフトウェアへ振り替える |
| 決算 | 減価償却(間接法が基本) | ソフトウェア償却(直接法・残存価額ゼロ) |
仕訳と理由
契約時に中間金 ¥600,000 を普通預金口座から支払ったときの仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア仮勘定 | 600,000 | 普通預金 | 600,000 |
完成前のソフトウェアのための支払いなので、仮の資産勘定であるソフトウェア仮勘定の借方に記入します。
システムが完成して引き渡しを受け、残額 ¥900,000 を普通預金口座から支払ったときの仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア | 1,500,000 | ソフトウェア仮勘定 | 600,000 |
| 普通預金 | 900,000 |
完成したシステムを開発代金の総額 ¥1,500,000 でソフトウェア勘定の借方に記入します。仮の置き場所だったソフトウェア仮勘定を取り崩し、残額の支払いを普通預金の減少として貸方に記入します。
決算日には、ソフトウェアを償却します。利用可能期間を5年とする定額法・直接法で、当期首から使用しているとします。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア償却 | 300,000 | ソフトウェア | 300,000 |
償却額は ¥1,500,000 ÷ 5年 で ¥300,000 です。費用の勘定であるソフトウェア償却を借方に記入し、無形固定資産なので直接法でソフトウェアそのものを減らします。
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
自社の経理業務で利用する会計ソフトウェアを ¥400,000 で購入し、代金は普通預金口座から支払った。将来の費用削減が確実に見込まれるため、資産として計上する。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア | 400,000 | 普通預金 | 400,000 |
自社利用目的で、将来の効果が見込めるソフトウェアなので、費用ではなく無形固定資産のソフトウェア勘定で借方に記入します。
応用
次の取引を仕訳してみましょう。
かねて開発を依頼していた販売管理システム(開発代金 ¥2,400,000 は、すでに全額をソフトウェア仮勘定として処理している)が完成し、引き渡しを受けて使用を開始した。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア | 2,400,000 | ソフトウェア仮勘定 | 2,400,000 |
支払いは済んでいるので、お金は動きません。完成にともない、仮勘定に集めてあった ¥2,400,000 をソフトウェア勘定へ振り替えるだけです。使用を開始したこの日から、償却の対象になります。
分からなかった点・気になった点
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