のれんと無形固定資産の償却
のれんや特許権などの無形固定資産を取得し、定額法・直接法で償却できるようになります。
ねらい
形のない資産の処理を学びます。このレッスンを終えると、のれん・特許権・商標権などの無形固定資産を取得したときの仕訳と、償却の仕訳ができるようになります。
ストーリー
あなたの会社は、新しい製造方法の特許権を ¥800,000 で買い取りました。特許権は手で触れられる形を持ちませんが、他社に真似されずに製品を作れるという、収益を生む力のある財産です。
このような形のない資産を「無形固定資産(むけいこていしさん)」といいます。特許権のほかに、商標権や、次のレッスンで学ぶソフトウェアなどがあります。
無形固定資産の代表格が「のれん」です。のれんは、他の会社を合併や買収で受け入れたときに、受け入れた純資産(資産から負債を引いた正味の財産)よりも高い対価を支払った場合の、その差額です。相手の会社のブランド力や顧客との関係といった、帳簿に載らない収益力に対して支払った金額と考えられます。合併の仕訳の全体は第11章で学ぶので、このレッスンではのれんの性質と償却をおさえます。
図解
無形固定資産の処理について、有形固定資産と比べて整理します。
| 項目 | 有形固定資産(3級) | 無形固定資産(2級) |
|---|---|---|
| 記帳方法 | 間接法(累計額勘定を使う) | 直接法(資産から直接減らす) |
| 残存価額 | 見積もる(ゼロの場合もある) | ゼロ |
| 償却の勘定 | 減価償却費 | のれん償却、特許権償却など資産ごとの償却勘定 |
| 償却期間 | 耐用年数 | 特許権などは有効期間。のれんは20年以内 |
仕訳と理由
特許権を取得したときの仕訳です。代金は普通預金口座から支払いました。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 特許権 | 800,000 | 普通預金 | 800,000 |
特許権という資産が増えるので借方に記入します。形は無くても、収益を生む力を持つ立派な資産です。
決算日の償却の仕訳です。この特許権の有効期間は8年で、定額法により償却します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 特許権償却 | 100,000 | 特許権 | 100,000 |
償却額は ¥800,000 ÷ 8年 で ¥100,000 です。借方は「特許権償却」という費用の勘定で、無形固定資産では資産ごとに専用の償却勘定を使います。貸方は特許権そのものです。
ポイント
無形固定資産の償却は直接法によるので、累計額の勘定を使わずに資産の帳簿価額を直接減らします。残存価額はゼロとして計算します。
のれんの償却も同じ形です。のれんは20年以内の期間で、定額法により償却します。たとえば ¥3,000,000 ののれんを20年で償却するなら、毎期の仕訳は次のようになります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| のれん償却 | 150,000 | のれん | 150,000 |
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
自社ブランドのロゴについて商標権を ¥600,000 で取得し、代金は普通預金口座から支払った。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 商標権 | 600,000 | 普通預金 | 600,000 |
商標権という無形固定資産の増加なので、借方に記入します。
応用
次の取引を仕訳してみましょう。
決算にあたり、当期首に取得した商標権 ¥600,000 を10年の定額法により償却する。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 商標権償却 | 60,000 | 商標権 | 60,000 |
償却額は ¥600,000 ÷ 10年 で ¥60,000 です。費用の勘定である商標権償却を借方に記入し、直接法なので商標権そのものを貸方で減らします。期の途中で取得した場合は、月割りで当期分を計算します。
分からなかった点・気になった点
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