研究開発費と創立費・開業費
研究開発のための支出を研究開発費として発生時に費用処理し、創立費・開業費と区別できるようになります。
ねらい
新製品の研究や会社の立ち上げにかかったお金の処理を学びます。このレッスンを終えると、研究開発費を発生時に費用として処理し、創立費・開業費と使い分けられるようになります。
ストーリー
あなたの会社は、新素材を使った製品の開発プロジェクトを始めました。実験用の材料 ¥400,000 と、研究専用の測定機器 ¥900,000 を購入します。この測定機器は、この研究にしか使えない特別仕様です。
前のレッスンまでの流れなら、機器は備品などの資産にしたくなるところです。しかし、研究開発の成果が出るかどうかは誰にも分かりません。成功するか分からない支出を資産に計上すると、会社の財産が実態より大きく見えてしまいます。そこで、研究開発のための支出は「研究開発費(けんきゅうかいはつひ)」という費用の勘定で、発生したときに全額を費用として処理します。研究専用で他に転用できない機器も、資産にせず研究開発費に含めます。
似た性質の勘定に「創立費(そうりつひ)」と「開業費(かいぎょうひ)」があります。創立費は会社を設立するまでにかかった費用(定款の作成費用や設立登記の費用など)、開業費は設立後、営業を開始するまでにかかった費用(開業準備の広告費など)です。どちらも発生時に費用として処理します。
図解
3つの勘定の使い分けを整理します。
| 勘定 | 対象になる支出 | 時期 |
|---|---|---|
| 研究開発費 | 新しい製品・技術の研究や開発のための支出 | 発生のつど |
| 創立費 | 定款の作成や設立登記など、会社の設立までの支出 | 設立まで |
| 開業費 | 開業準備の広告など、設立から営業開始までの支出 | 設立から開業まで |
仕訳と理由
実験用の材料と研究専用の測定機器を購入し、代金 ¥1,300,000 を普通預金口座から支払ったときの仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 研究開発費 | 1,300,000 | 普通預金 | 1,300,000 |
借方は研究開発費です。材料も、他に転用できない研究専用の機器も、研究開発のための支出はまとめて費用の勘定である研究開発費として借方に記入します。成果が不確実な支出を資産にしないための処理です。貸方は口座から出たお金の普通預金です。
なお、研究部門で働く人の給料など、研究開発に直接かかわる人件費も研究開発費に含めます。
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
新技術の研究プロジェクトのため、研究員の当月分の給料 ¥350,000 を普通預金口座から支払った。この研究員は研究開発業務に専念している。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 研究開発費 | 350,000 | 普通預金 | 350,000 |
研究開発に専念する研究員の給料は、給料勘定ではなく研究開発費として処理します。
ポイント
研究開発のための支出は、種類を問わず発生時に費用とするのがルールです。
応用
次の取引を仕訳してみましょう。
会社の設立にあたり、設立登記の費用など ¥500,000 を発起人が立て替えていたため、設立後に普通預金口座から支払った。あわせて、営業開始前の開業準備のための広告費 ¥200,000 を普通預金口座から支払った。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 創立費 | 500,000 | 普通預金 | 700,000 |
| 開業費 | 200,000 |
設立までにかかった登記費用などは創立費、設立後から営業開始までの準備にかかった広告費は開業費です。どちらも費用の勘定として借方に記入します。支出の時期で勘定が分かれる点に注意してください。
分からなかった点・気になった点
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