債券の端数利息
利払日以外の日に債券を売買したとき、端数利息を有価証券利息勘定で処理できるようになります。
ねらい
社債や国債などの債券を利息の支払日以外の日に売買したときの処理を学びます。このレッスンを終えると、売買代金と一緒に受け渡しされる端数利息を有価証券利息勘定で仕訳できるようになります。
ストーリー
あなたの会社は、余裕資金の運用のために、H社が発行した社債を買うことにしました。この社債の利息は、毎年3月末と9月末の年2回、そのときに社債を持っている人へ半年分がまとめて支払われます。
当社が社債を買ったのは11月10日です。ここで少し困ったことが起きます。次の利払日である3月末に、当社は半年分の利息を満額受け取ります。しかし、10月1日から11月10日までの41日間、この社債を持っていたのは売主です。その期間の利息まで当社が受け取るのは、売主にとって不公平です。
そこで債券の売買では、前回の利払日の翌日から売買日当日までの利息に相当する金額は、買主が売主へ支払って精算します。この精算するお金のことを「端数利息(はすうりそく)」といいます。
ポイント
端数利息は、前回の利払日の翌日から売買日当日までの日数で、1年を365日とする日割りで計算します。
図解
額面 ¥2,000,000、年利率3.65%のH社社債を額面 ¥100 につき ¥98 の価額で11月10日に購入したとします。社債そのものの代金は ¥1,960,000 です。端数利息は、前回の利払日の翌日である10月1日から11月10日までの41日分で、次のように計算します。
2,000,000 かける 3.65% かける 41日/365日 で、¥8,200 です。
買主が支払った端数利息は、「有価証券利息」という収益の勘定の借方に記入します。収益の勘定なのに借方に書く理由は、次の利払日にあります。3月末に当社は半年分の利息 ¥36,500 を満額受け取り、有価証券利息の貸方に記入します。先に借方に記入した ¥8,200 が差し引かれて、当社が実際に得た利息だけが収益として残る仕組みです。
有価証券利息
借方
- 購入時に支払った端数利息8,200
貸方
- 利払日に受け取った半年分の利息36,500
仕訳と理由
購入時の仕訳は次のようになります。代金と端数利息は、まとめて当座預金口座から支払ったとします。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 売買目的有価証券 | 1,960,000 | 当座預金 | 1,968,200 |
| 有価証券利息 | 8,200 |
借方の1行目は社債そのものです。時価の変動で利益を得る目的なので、資産の勘定である売買目的有価証券が増加し、借方に記入します。金額は社債の代金 ¥1,960,000 です。
注意
端数利息は社債の取得原価に含めない点に注意してください。利息の精算であって、社債を手に入れるための費用ではないからです。
借方の2行目が端数利息です。収益の勘定である有価証券利息の借方に ¥8,200 を記入して、次の利払日に受け取る利息からあらかじめ差し引いておきます。
貸方は当座預金です。社債の代金と端数利息の合計 ¥1,968,200 が口座から出ていき、資産が減ったので貸方に記入します。借方の合計も ¥1,968,200 で、貸借は一致します。
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
売買目的で額面 ¥3,000,000 の国債を額面 ¥100 につき ¥99 の価額で購入し、代金は端数利息 ¥12,000 とともに当座預金口座から支払った。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 売買目的有価証券 | 2,970,000 | 当座預金 | 2,982,000 |
| 有価証券利息 | 12,000 |
国債の代金は 3,000,000 割る 100 かける 99 で ¥2,970,000 です。この金額だけを売買目的有価証券とし、端数利息 ¥12,000 は有価証券利息の借方に記入します。当座預金からは合計 ¥2,982,000 が出ていきます。
応用
今度は売る側の処理です。次の取引を仕訳してみましょう。
売買目的で保有している額面 ¥1,000,000 のJ社社債(帳簿価額 ¥970,000)を額面 ¥100 につき ¥98.50 の価額で売却した。代金は、端数利息とともに当社の普通預金口座に振り込まれた。端数利息は年利率7.3%とし、前回の利払日の翌日から売却日当日までの30日分について、1年を365日とする日割りで計算する。
答え合わせ
端数利息は 1,000,000 かける 7.3% かける 30日/365日 で ¥6,000 です。売却価額は 1,000,000 割る 100 かける 98.50 で ¥985,000 となり、帳簿価額 ¥970,000 との差額 ¥15,000 が売却のもうけです。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 991,000 | 売買目的有価証券 | 970,000 |
| 有価証券売却益 | 15,000 | ||
| 有価証券利息 | 6,000 |
普通預金には、売却価額と端数利息の合計 ¥991,000 が振り込まれます。資産の増加なので借方です。貸方は3つに分かれます。手放した社債の帳簿価額 ¥970,000 を売買目的有価証券として記入し、売却価額と帳簿価額の差額 ¥15,000 は収益の勘定である有価証券売却益に記入します。受け取った端数利息 ¥6,000 は、売主が保有していた期間の利息の受け取りなので、収益の勘定である有価証券利息の貸方に記入します。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
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