満期保有目的債券と償却原価法
満期まで保有する債券を満期保有目的債券で記録し、償却原価法(定額法)で帳簿価額を調整できるようになります。
ねらい
満期まで持ち続けるつもりで買った債券の処理を学びます。このレッスンを終えると、満期保有目的債券の取得を仕訳し、額面と取得価額の差額を償却原価法(定額法)で各期に配分できるようになります。
ストーリー
あなたの会社は、余裕資金の長期の運用先として、N社が発行した社債を買うことにしました。額面総額は ¥1,000,000、満期は5年後です。満期まで持てば額面どおりの ¥1,000,000 が戻ってきます。
この社債は、発行と同時に ¥970,000 で取得できました。額面より ¥30,000 安く買えたことになります。満期まで保有する目的の債券は、時価の変動で売り買いするものではないので、「満期保有目的債券(まんきほゆうもくてきさいけん)」という資産の勘定で記録し、決算日に時価への評価替えをしません。
その代わりに考えるのが、額面との差額 ¥30,000 の正体です。この差額は、実質的には満期までの5年間にわたって少しずつ受け取る利息の前取り分と考えられます。そこで、差額を満期までの期間で均等に割り、毎期の帳簿価額に足していきます。この方法を「償却原価法(しょうきゃくげんかほう)」といい、均等に割る方式を定額法といいます。
ポイント
額面との差額は、満期までの期間で均等に割り、毎期の帳簿価額に足していきます。この方法を償却原価法といいます。
図解
差額 ¥30,000 を5年で割ると、1年あたり ¥6,000 です。帳簿価額は次のように毎年 ¥6,000 ずつ額面へ近づいていきます。
| 時点 | 帳簿価額 |
|---|---|
| 取得時 | ¥970,000 |
| 1年目の決算後 | ¥976,000 |
| 2年目の決算後 | ¥982,000 |
| 3年目の決算後 | ¥988,000 |
| 4年目の決算後 | ¥994,000 |
| 5年目の決算後(満期) | ¥1,000,000 |
満期には帳簿価額がちょうど額面と一致し、額面どおりの償還を受けられます。
仕訳と理由
まず、取得時の仕訳です。代金は普通預金口座から支払いました。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 満期保有目的債券 | 970,000 | 普通預金 | 970,000 |
満期まで保有する目的なので、売買目的有価証券ではなく満期保有目的債券という資産の勘定を使い、取得価額で借方に記入します。
次に、決算日の償却原価法(定額法)の仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 満期保有目的債券 | 6,000 | 有価証券利息 | 6,000 |
借方は満期保有目的債券です。帳簿価額を額面へ近づけるために ¥6,000 を加えるので、資産の増加として借方に記入します。貸方は有価証券利息です。この ¥6,000 は安く買えた分を当期の利息として受け取ったのと同じ意味を持つので、収益の増加として貸方に記入します。
注意
社債に利率が付いていれば、利払日にはクーポン分の利息も受け取ります。そちらは受け取ったときに普通預金などを借方、有価証券利息を貸方に記入します。償却原価法の ¥6,000 とは別の話なので、混同しないようにしましょう。
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
当期首に、満期まで保有する目的でP社社債(額面総額 ¥2,000,000、償還期間5年)を ¥1,940,000 で取得していた。決算にあたり、額面と取得価額の差額について償却原価法(定額法)を適用する。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 満期保有目的債券 | 12,000 | 有価証券利息 | 12,000 |
差額は ¥2,000,000 − ¥1,940,000 で ¥60,000 です。償還期間5年の定額法なので、当期分は ¥60,000 ÷ 5年 で ¥12,000 になります。帳簿価額に加算し、同額を有価証券利息として収益に計上します。
応用
次の取引を仕訳してみましょう。
当期の12月1日に、満期まで保有する目的でQ社社債(額面総額 ¥1,200,000、償還期間は取得日から4年)を ¥1,152,000 で取得していた。決算日は3月31日である。償却原価法(定額法)による当期分の調整は月割りで行う。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 満期保有目的債券 | 4,000 | 有価証券利息 | 4,000 |
差額は ¥48,000 で、償還期間4年(48か月)の定額法なので1か月あたり ¥1,000 です。当期は12月1日から3月31日までの4か月分なので、加算する金額は ¥4,000 になります。期の途中で取得したときは、月割りで当期の分だけを配分する点に注意してください。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
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