組別・等級別総合原価計算
種類の違う製品を作る工場の組別総合原価計算と、同じ種類で大きさや品質の等級が違う製品を作る工場の等級別総合原価計算で、製品ごとの原価と単位原価を計算できるようになります。
ねらい
1つの工場で何種類かの製品を作っている場合の総合原価計算を学びます。このレッスンを終えると、種類の違う製品には組別総合原価計算、同じ種類で等級だけが違う製品には等級別総合原価計算と使い分けて、製品ごとの原価と単位原価を計算できるようになります。
ストーリー
あなたの工場は、パンを大量に作っています。ただし1種類ではありません。カレーパンとメロンパンという、材料も作り方も違う2種類のパンを同じ工場の中で作り続けています。
このとき、工場全体の製造費用をひとまとめに計算してしまうと、カレーパン1個の原価もメロンパン1個の原価もわかりません。種類の違う製品を作っているときは、製品の種類ごとに原価を分けて計算する必要があります。 この方法を組別総合原価計算(くみべつそうごうげんかけいさん)といい、製品の種類のことを組(くみ)と呼びます。
もう1つ、別の場面もあります。同じ食パンを大きい1斤と小さい半斤の2つのサイズで作っている場合です。中身は同じで、大きさだけが違います。この大きさや品質の違いを等級(とうきゅう)といい、等級ごとに原価を分ける方法を等級別総合原価計算(とうきゅうべつそうごうげんかけいさん)といいます。
組別総合原価計算
組別総合原価計算では、製造費用を2つに分けて集計します。
1つ目は組直接費(くみちょくせつひ)です。どの組のためにかかったかがはっきりわかる費用で、たとえばカレーパン専用の材料です。組直接費は、その組へそのまま賦課します。
2つ目は組間接費(くみかんせつひ)です。どの組のためにかかったかを直接たどれない費用で、たとえば両方のパンを焼くオーブンの減価償却費です。組間接費は、作業時間などの基準を決めて、各組へ配賦します。
組ごとに費用が集まったら、あとは組ごとに、前に学んだ単純総合原価計算をそのまま行うだけです。
次の資料で計算してみましょう。組製品Aと組製品Bを作っており、当月の組直接費は、Aが240,000円、Bが160,000円です。組間接費は400,000円で、直接作業時間を基準に配賦します。直接作業時間は、Aが300時間、Bが200時間でした。当月はAが400個、Bが200個完成し、月初仕掛品と月末仕掛品はありません。
まず組間接費を配賦します。直接作業時間の合計は、300時間と200時間を合わせた500時間です。
- 組製品Aへの配賦額 = 400,000円 × 300時間 ÷ 500時間 = 240,000円
- 組製品Bへの配賦額 = 400,000円 × 200時間 ÷ 500時間 = 160,000円
配賦額の合計は、240,000円と160,000円を合わせた400,000円で、組間接費の総額と一致します。この合計で、配賦もれや二重配賦がないことを確かめられます。
次に、組ごとの完成品原価と単位原価を求めます。
| 項目 | 組製品A | 組製品B |
|---|---|---|
| 組直接費 | 240,000円 | 160,000円 |
| 組間接費の配賦額 | 240,000円 | 160,000円 |
| 完成品総合原価 | 480,000円 | 320,000円 |
| 完成品の数量 | 400個 | 200個 |
| 完成品の単位原価 | 1,200円 | 1,600円 |
表の中身を確かめましょう。組製品Aの完成品総合原価は、組直接費240,000円と配賦額240,000円を合わせた480,000円です。単位原価は、480,000円を400個で割った1個あたり1,200円です。組製品Bの完成品総合原価は、組直接費160,000円と配賦額160,000円を合わせた320,000円です。単位原価は、320,000円を200個で割った1個あたり1,600円です。
ポイント
組別総合原価計算は「組直接費は賦課、組間接費は配賦」で組ごとに費用を集め、あとは組ごとに単純総合原価計算を行います。個別原価計算で学んだ「直接費は賦課、間接費は配賦」と同じ考え方です。
等級別総合原価計算
等級別総合原価計算の相手は、同じ種類の製品です。大きい食パンと小さい食パンは、材料も工程も同じなので、組別のように費用を分けて集計することができません。そこで、工場全体の完成品総合原価をまず1つ求め、それを等級ごとの製品へあとから按分します。
按分の道具が等価係数(とうかけいすう)です。等価係数は、基準になる製品を1としたとき、ほかの等級の製品が原価をどれだけ消費するかの割合です。たとえば、大きい食パンを1とすると、半分のサイズの食パンは0.5のように決めます。
そして、各等級の数量に等価係数をかけた値を積数(せきすう)といい、完成品総合原価は積数の比で按分します。 数量の比ではなく積数の比で分けるのは、大きい製品1個と小さい製品1個とでは、消費する原価が違うからです。
次の資料で計算してみましょう。当月の完成品総合原価は630,000円です。等級製品は大と小の2つで、完成品は大が800個、小が500個です。等価係数は、大が1、小が0.8です。月初仕掛品と月末仕掛品はありません。
まず積数を求めます。
| 等級製品 | 完成品の数量 | 等価係数 | 積数 |
|---|---|---|---|
| 大 | 800個 | 1 | 800 |
| 小 | 500個 | 0.8 | 400 |
| 合計 | 1,300個 | --- | 1,200 |
表の中身を確かめましょう。大の積数は、数量800個に等価係数1をかけた800です。小の積数は、数量500個に等価係数0.8をかけた400です。積数の合計は1,200になります。
完成品総合原価630,000円を積数の比で按分します。
- 大の製造原価 = 630,000円 × 800 ÷ 1,200 = 420,000円
- 小の製造原価 = 630,000円 × 400 ÷ 1,200 = 210,000円
按分した2つの原価を足すと、420,000円と210,000円で630,000円になり、完成品総合原価と一致します。
単位原価は、按分した原価を等級ごとの数量で割って求めます。大の単位原価は、420,000円を800個で割った1個あたり525円です。小の単位原価は、210,000円を500個で割った1個あたり420円です。小の単位原価420円は大の単位原価525円のちょうど0.8倍で、等価係数どおりの関係になっています。この関係も検算に使えます。
完成品を製品へ振り替える仕訳は、次のとおりです。等級ごとに製品の勘定を分けて設けることもありますが、ここでは製品の勘定へまとめて振り替えます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 製品 | 630,000 | 仕掛品 | 630,000 |
完成品総合原価630,000円を資産の勘定である製品の借方に記入します。完成した分だけ仕掛品を貸方に記入して減らします。
注意
等級別で按分に使うのは、数量の比ではなく積数の比です。数量に等価係数をかけて積数へ直してから按分しましょう。数量のまま按分すると、大きい製品と小さい製品の原価の差が消えてしまいます。
例題
次の資料から、組別総合原価計算によって、組製品Xと組製品Yの完成品総合原価と単位原価を計算してみましょう。
当月の組直接費は、Xが150,000円、Yが100,000円です。組間接費は180,000円で、機械運転時間を基準に配賦します。機械運転時間は、Xが400時間、Yが200時間でした。当月はXが300個、Yが200個完成し、月初仕掛品と月末仕掛品はありません。
答え合わせをします。
まず組間接費を配賦します。組間接費は、どの組のためにかかったかを直接たどれない費用なので、基準の比で各組へ配賦するのがルールでした。機械運転時間の合計は、400時間と200時間を合わせた600時間です。Xへの配賦額は、180,000円 × 400時間 ÷ 600時間 = 120,000円です。Yへの配賦額は、180,000円 × 200時間 ÷ 600時間 = 60,000円です。配賦額の合計は180,000円で、組間接費の総額と一致します。
次に組ごとの原価を集めます。組直接費はその組へそのまま賦課するのがルールでした。Xの完成品総合原価は、組直接費150,000円と配賦額120,000円を合わせた270,000円です。単位原価は、270,000円を300個で割った1個あたり900円です。Yの完成品総合原価は、組直接費100,000円と配賦額60,000円を合わせた160,000円です。単位原価は、160,000円を200個で割った1個あたり800円です。
応用
次の資料から、等級別総合原価計算によって、1級製品と2級製品の製造原価と単位原価を計算してみましょう。
当月の完成品総合原価は720,000円です。完成品は、1級製品が600個、2級製品が600個です。等価係数は、1級製品が1、2級製品が0.5です。
答え合わせをします。
等級別では、数量に等価係数をかけた積数の比で按分するのがルールでした。1級製品の積数は、600個に等価係数1をかけた600です。2級製品の積数は、600個に等価係数0.5をかけた300です。積数の合計は900になります。
完成品総合原価720,000円を積数の比で按分します。1級製品の製造原価は、720,000円 × 600 ÷ 900 = 480,000円です。2級製品の製造原価は、720,000円 × 300 ÷ 900 = 240,000円です。2つを足すと720,000円で、完成品総合原価と一致します。
単位原価は、按分した原価を数量で割って求めます。1級製品の単位原価は、480,000円を600個で割った1個あたり800円です。2級製品の単位原価は、240,000円を600個で割った1個あたり400円です。2級製品の単位原価400円は1級製品の800円のちょうど0.5倍で、等価係数どおりの関係になっています。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 単純総合原価計算で完成品を製品へ振り替えたときの仕訳解く
- 第1工程の完成品を第2工程へ振り替えたときの仕訳解く
- 平均法による月末仕掛品原価と完成品原価の計算解く
- 先入先出法による月末仕掛品原価と完成品原価の計算解く
- 等級別総合原価計算による各等級製品の原価の計算解く