G検定(ジェネラリスト検定)
げんていていきょうでーた
限定提供データ
Shared Data with Limited Access
限定提供データとは、業として特定の者に提供する情報として、電磁的方法により相当量蓄積され、管理されている技術上または営業上の情報(営業秘密を除く)のことで、不正競争防止法が営業秘密とは別の枠組みで保護する対象です。
詳しい説明
限定提供データとは
限定提供データは、不正競争防止法の第二条第七項で定義されている語です。条文は、業として特定の者に提供する情報として、電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報であって、営業秘密を除いたものを限定提供データと定めています。ここでいう電磁的方法とは、電子的方法や磁気的方法など、人の知覚では認識できない方法を指すと条文の中で説明されています。
この定義から、限定提供データとして認められるには次の要件を満たす必要があるとされています。
- 限定提供性: 業として特定の者に提供する情報であること
- 相当蓄積性: 電磁的方法により相当量蓄積されていること
- 電磁的管理性: 電磁的方法により管理されていること
- 営業秘密に該当しないこと: 定義の中で営業秘密が明示的に除かれていること
対比の相手となる営業秘密
このページの理解には、営業秘密の定義を押さえておく必要があります。営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法や販売方法など、事業活動に役立つ技術上または営業上の情報で、世間に知られていないものを指します。一般に、次の3つが要件とされています。
- 秘密管理性: 秘密として管理されていること
- 有用性: 事業活動に有用な情報であること
- 非公知性: 公然と知られていないこと
つまり営業秘密は、情報を秘密として守っていることが保護の出発点になっている制度です。
定義の文言から見る営業秘密との違い
2つの定義を並べると、何を要件にしているかがはっきり異なります。
| 観点 | 営業秘密 | 限定提供データ |
|---|---|---|
| 管理のあり方 | 秘密として管理されていること(秘密管理性) | 電磁的方法により管理されていること(電磁的管理性) |
| 情報の扱われ方 | 公然と知られていないこと(非公知性) | 業として特定の者に提供する情報であること(限定提供性) |
| 量についての要件 | 定義の中に量の要件はない | 電磁的方法により相当量蓄積されていること(相当蓄積性) |
| 相互の関係 | 限定提供データの定義で除かれる側 | 定義の中で営業秘密を除くと明記されている |
最も大きな違いは、限定提供データの定義が秘密管理性を要件にしていない点です。営業秘密は秘密として管理されていることを求めますが、限定提供データは、その代わりに、特定の者に業として提供されていること、電磁的に相当量蓄積されていること、電磁的に管理されていることを求めています。このため、秘密として管理されていない情報であっても、これらの要件を満たせば保護の対象になりうる、という位置づけになります。
営業秘密を除くという書きぶりが示すすみ分け
限定提供データの定義には、括弧書きで営業秘密を除くと明記されています。この書きぶりから、ある情報が営業秘密に該当する場合には限定提供データには当たらず、営業秘密として扱われるという関係が読み取れます。
言い換えると、2つの制度は同じ情報を二重に保護するのではなく、次のようにすみ分けられています。
- 秘密として管理され、営業秘密の要件を満たす情報は、営業秘密の枠組みで扱われる
- 秘密として管理されていないが、特定の者に業として提供され、電磁的に相当量蓄積・管理されている情報は、限定提供データの枠組みで扱われうる
個別の情報がどちらに当たるか、あるいはどちらにも当たらないかは、それぞれの要件に照らして判断されるものであり、このページでは一般的な構造の説明にとどめます。
不正競争となる行為の類型
不正競争防止法の第二条第一項は、限定提供データに関する不正競争の行為を第十一号から第十六号で定めています。たとえば次のような行為が挙げられています。
- 第十一号: 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為(限定提供データ不正取得行為)と、そのようにして取得した限定提供データを使用し、または開示する行為
- 第十四号: 限定提供データを保有する事業者(限定提供データ保有者)からそのデータを示された者が、不正の利益を得る目的または保有者に損害を加える目的で、そのデータを使用する行為(データの管理に係る任務に違反して行うものに限る)や開示する行為
- 第十二号・第十三号・第十五号・第十六号: 不正取得や不正開示が介在したことを知りながら、そのデータを取得・使用・開示する行為
この構成は、営業秘密に関する行為類型(第二条第一項第四号から第十号)と並行した構造になっています。どちらも、不正な手段で取得する行為、正当に示された情報を不正な目的で使用する行為、それらを開示する行為、そして不正が介在したことを知って関わる行為、という枠組みで整理されています。保護の対象となる情報の定義は異なりますが、何を不正競争とするかの組み立ては共通している、という関係です。
AIとの関わり
AIの開発や運用では、大量のデータを集め、複数の事業者の間で共有したり、対価を得て提供したりすることがあります。こうしたデータは、広く提供することを前提としているため、秘密として管理するという営業秘密の要件にはなじみにくい場合があります。
限定提供データの制度は、そのように秘密として管理されていないデータであっても、特定の者に業として提供され、電磁的方法により相当量蓄積・管理されていれば、保護の対象になりうるという枠組みを用意しています。ビッグデータや、複数の事業者で共有・提供されるデータセットなどは、この制度の適用が考えられる例として位置づけられます。ただし、特定のデータが限定提供データに該当するかどうかは、個別の事情に照らして要件ごとに判断されるものです。
G検定での位置づけ
G検定シラバス2024では、限定提供データは中項目の不正競争防止法と独占禁止法の対象キーワードとして掲載されています。営業秘密と並べて、定義の要件の違いと行為類型の構造を整理しておくと理解しやすくなります。
試験で問われること
G検定
- 限定提供データの要件として、限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性の3つを、それぞれ条文の文言と結びつけて説明できますか。
- 営業秘密が秘密管理性を要件とするのに対し、限定提供データの定義には秘密管理性が含まれず、代わりにどの要件が置かれているかを確認しておきましょう。
- 限定提供データの定義に営業秘密を除くと明記されていることから、2つの制度がどのようにすみ分けられているかを説明できますか。
- 限定提供データに関する不正競争の行為類型(第二条第一項第十一号から第十六号)が、営業秘密の行為類型と同じく不正取得・不正使用・不正開示の枠組みで組み立てられていることを確認しておきましょう。
最終更新日: 2026/09/23