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G検定(ジェネラリスト検定)

きむかせつ

帰無仮説

Null Hypothesis

帰無仮説とは、統計的検定で棄却するかどうかを判断する対象になる、プロセスについての予想や仮説のことです。統計的検定は、この仮説を棄却できるだけの十分な証拠があるかどうかを判断する仕組みです。帰無仮説は、対になるもう一つの仮説(対立仮説)と組にして立てます。データから計算した検定統計量が、あらかじめ決めた臨界値の外側に出たら棄却します。

詳しい説明

統計的検定の中での役割

統計的検定は、あるプロセス(製造工程など)について、数値に基づいて判断を下すための仕組みです。目的は、そのプロセスについての予想や仮説を棄却できるだけの十分な証拠があるかどうかを確かめることです。この、棄却するかどうかを判断される側の予想を帰無仮説と呼び、記号ではH0と書きます。

統計的検定には仮説が2つ必要です。帰無仮説H0と、それと組になる対立仮説Haです。このページでは帰無仮説の側を扱います。

NISTの解説では、帰無仮説は信念についての言明だとされています。帰無仮説が本当に正しいのか疑いがあるからこそ、検定にかけるのです。

棄却しないという結果には2つの意味がある

検定の結果、帰無仮説を棄却しないこともあります。その意味は目的によって変わります。

  • 良い結果の場合: 帰無仮説が正しいと信じたまま行動を続けたいときは、棄却されなかったことは良い結果です。
  • 残念な結果の場合: 帰無仮説を棄却して何かを示したかったときは、棄却できなかったことは残念な結果です。まだ十分なデータが集まっていないだけかもしれません。

棄却しなかったという結果だけでは、どちらの意味なのかは決まりません。検定の目的とあわせて読むことが大切です。

例1: フォトマスクの平均線幅(両側の形)

工程管理は統計的検定の代表的な使い道です。NISTは、製造工程でつくるフォトマスクの平均線幅が500マイクロメートルになっているかを確かめる例を挙げています。

  • 帰無仮説: 平均線幅は500マイクロメートルである。
  • 見つけたいもの: 平均線幅が500マイクロメートルより大幅に大きいフォトマスクと、大幅に小さいフォトマスクの両方。

帰無仮説と組になる仮説は、平均線幅は500マイクロメートルに等しくない、というものです。大きい方向と小さい方向という反対の2方向を見張るので、両側の形と呼ばれます。

検定の手順は次のとおりです。

1. フォトマスク上のランダムな位置で線幅を測る。
2. 測ったデータから検定統計量を計算する。検定統計量は、データから計算して、帰無仮説を棄却するかどうかの判断に使う値です。

3. 検定統計量を、あらかじめ決めておいた上側の臨界値と下側の臨界値(棄却するかどうかの境目になる値)と比べる。

4. 検定統計量が上側の臨界値より大きいか、下側の臨界値より小さければ、帰無仮説を棄却する。平均線幅が500マイクロメートルではないという証拠が得られたと判断するためです。

例2: 電球の平均寿命(片側の形)

帰無仮説は片側の形で立てることもできます。NISTは、ある一まとまりの電球(ロット)の平均寿命が少なくとも500時間あることを確かめるための試験の例を挙げています。

  • 帰無仮説: 平均寿命は500時間以上である。
  • 見張る相手: 平均寿命が500時間未満であること。

この例で問題にするのは、寿命が短すぎる方向の1つだけです。

例帰無仮説見張る方向
フォトマスクの線幅平均線幅は500マイクロメートルである大きすぎる方向と小さすぎる方向の両方(両側)
電球の寿命平均寿命は500時間以上である短すぎる方向の1つだけ(片側)

このように、帰無仮説は、何を確かめたいかによって、ある値に等しいという形にも、ある値以上という形にもなります。

有意水準: 正しい帰無仮説を棄却してしまうリスク

帰無仮説を棄却するかどうかは、測ったデータに基づいて判断します。そのため、帰無仮説が実際には正しいのに棄却してしまう危険がいつも残ります。フォトマスクの例でいえば、本当は平均線幅が500マイクロメートルなのに、検定統計量が臨界値の外側に出て棄却してしまう場合がこれに当たります。

検定の手順は、このリスクが小さくなるように組み立てられます。帰無仮説が正しいのに誤って棄却してしまうリスクを、その検定の有意水準と呼びます。

試験で問われること

G検定

  • 帰無仮説とは、統計的検定で、棄却できるだけの十分な証拠があるかどうかを判断される側の仮説であり、対立仮説と組にして立てることを説明できますか。
  • 帰無仮説を棄却しなかったという結果には、正しいと信じ続けてよいという良い結果の場合と、まだデータが足りないだけかもしれないという残念な結果の場合があることを確認しておきましょう。
  • フォトマスクの平均線幅の例(両側の形)と電球の平均寿命の例(片側の形)で、帰無仮説の立て方と見張る方向がどう違うか説明できますか。
  • 有意水準とは、帰無仮説が実際には正しいのに誤って棄却してしまうリスクのことだと確認しておきましょう。

最終更新日: 2026/09/23