G検定(ジェネラリスト検定)
たいりつかせつ
対立仮説
Alternative Hypothesis
対立仮説とは、統計的検定で帰無仮説と対にして立てる仮説で、帰無仮説が棄却されたときにその代わりの主張として考えるものです。検定を設計するときに帰無仮説とセットで定め、見つけたい逸脱の向きに応じて両側か片側かを選びます。
詳しい説明
統計的検定という枠組み
対立仮説は、統計的検定という仕組みの中で使われる語です。米国国立標準技術研究所(NIST)の統計手法ハンドブックは、統計的検定を、あるプロセスについて量的な判断を下すための仕組みと説明しています。その目的は、プロセスについての予想や仮説を棄却するのに十分な証拠があるかどうかを判断することです。
このとき棄却するかどうかを調べる対象の予想を、帰無仮説と呼びます。帰無仮説はH0と書かれます。
対立仮説は帰無仮説と対で立てる
同じハンドブックは、統計的検定には仮説の組が必要だと述べています。一つは帰無仮説H0、もう一つが対立仮説Haです。
帰無仮説だけでは検定は組み立てられません。帰無仮説が成り立たないとしたら、どのような状態を見つけたいのかを対立仮説として決めておく必要があります。帰無仮説が棄却されたとき、その代わりの主張として考えるのが対立仮説です。
具体例1 フォトマスクの線幅と両側の対立仮説
ハンドブックは、製造工程の管理を例に挙げています。ある製造工程で作るフォトマスクの平均線幅が500マイクロメートルであることを確かめたい場面です。
- 帰無仮説H0は、平均線幅は500マイクロメートルである、です。
- この場面で見つけたいのは、平均線幅が500マイクロメートルより大きく外れたフォトマスクと、小さく外れたフォトマスクの両方です。
- そこで対立仮説Haは、平均線幅は500マイクロメートルと等しくない、になります。
この対立仮説は、線幅が小さすぎる場合と大きすぎる場合という反対向きの二つの逸脱をどちらも見張ります。そのため両側の対立仮説と呼ばれます。
具体例2 電球の寿命と片側の対立仮説
帰無仮説と対立仮説は片側にすることもできます。ハンドブックの例は、ある電球のロットの平均寿命が少なくとも500時間あることを確かめる試験です。
- 帰無仮説H0は、平均寿命は500時間以上である、です。
- 見張りたいのは、平均寿命が500時間に届かない場合です。
- そこで対立仮説Haは、平均寿命は500時間未満である、になります。
ハンドブックはこの対立仮説を、帰無仮説の補集合にあたる仮説と説明しています。寿命が500時間より長すぎることは問題にしないので、見張る向きは一方だけです。これが片側の対立仮説です。
両側と片側の違いの整理
| 区別 | 例 | 帰無仮説H0 | 対立仮説Ha | 見張る向き |
|---|---|---|---|---|
| 両側 | フォトマスクの線幅 | 平均線幅は500マイクロメートルである | 平均線幅は500マイクロメートルと等しくない | 大きすぎる方向と小さすぎる方向の両方 |
| 片側 | 電球の寿命 | 平均寿命は500時間以上である | 平均寿命は500時間未満である | 短すぎる方向だけ |
両側にするか片側にするかは、その場面でどの向きの逸脱を見つけたいかで決まります。
対立仮説の位置づけ
ハンドブックは、帰無仮説をある信念についての言明と述べています。検定をするのは、その帰無仮説が本当に正しいのかを疑っているからだ、という場合があります。そして、対立仮説のほうが、実は検定する側が真だと考えている内容であることもある、と説明しています。
つまり、確かめたい主張をそのまま帰無仮説に置くのではなく、確かめたい主張を対立仮説に置き、その反対側の帰無仮説を棄却できるだけの証拠があるかを調べる、という形で検定が組まれることがあります。
試験で問われること
G検定
- 統計的検定では帰無仮説H0と対立仮説Haを組で立てること、そして帰無仮説が棄却されたときに代わりの主張として考えるのが対立仮説であることを説明できますか。
- 平均線幅は500マイクロメートルであるという帰無仮説に対して、500マイクロメートルと等しくないという対立仮説が両側と呼ばれる理由を、見張る逸脱の向きから説明できますか。
- 平均寿命は500時間以上であるという帰無仮説に対して、500時間未満であるという対立仮説が片側と呼ばれる理由を確認しておきましょう。
- 検定する側が実は真だと考えている内容を対立仮説に置く場合がある、という対立仮説の位置づけを確認しておきましょう。
最終更新日: 2026/09/23