前段規制と提供の4パターン
提供地が外国の場合の役務取引を、提供者と相手の居住性の組み合わせによる4つのパターンで整理し、どの組み合わせでも前段の対象になることを判断できるようになります。
この節で学ぶこと
- 前段(提供地が外国)の取引を、提供者と相手の居住性の4つの組み合わせで整理できるようになります。
- 具体的な場面がどのパターンにあたるかを判断できるようになります。
覚えること
- 前段の着眼点は提供地が外国かどうかです。提供者と相手の居住性の組み合わせは、次の4パターンすべてが対象になります。
- 居住者から非居住者へ(提供地が外国)。海外の展示会で外国企業に技術を説明する場面です。
- 居住者から居住者へ(提供地が外国)。海外出張先で、同行した本邦企業の社員に技術を開示する場面です。
- 非居住者から非居住者へ(提供地が外国)。本邦企業の海外現地法人が、外国企業に技術を提供する場面などです。
- 非居住者から居住者へ(提供地が外国)。外国企業が、外国で本邦企業の出張者に技術を提供する場面です。
- 提供地が外国であれば、誰から誰への提供でも前段の対象です。この単純さが前段の要点です。
- 提供の場所がどこかは、契約でどこを履行地とするかを基準に判断します(役務通達の履行地の基準)。
1. なぜ居住性を問わないのか
前段の目的は、外国という場所で特定技術が動くことを捉える点にあります。外国で技術が開示されれば、そこから先の広がりを本邦の管理は追えません。誰が誰に渡したかよりも、管理の届かない場所で技術が動いたという事実が重いのです。
パターン2(居住者から居住者へ)が対象に入るのは、この考え方の帰結です。同じ会社の社員どうしでも、開示の場所が外国なら、その場に居合わせる第三者や現地の環境を通じて技術が広がりえます。社内のやりとりだから安全、という理屈は前段では通用しません。
2. 判断の手順
- 提供する情報が特定技術(外為令別表と貨物等省令に該当)かを確かめます。
- 提供地(契約上の履行地)が外国かを確かめます。外国であれば、前段の対象です。
- 前段の対象なら、仕向地や技術の項番に応じた許可の要否と、特例(第7章で扱う公知の技術など)の適用可否を判断します。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「同じ会社の社員への開示だから規制対象でない」「居住者どうしだから対象でない」という記述は、提供地が外国の場面では誤りです。
- 前段は提供者が非居住者の場合も対象に含みます。主体を居住者に限る記述は誤りです。
実務で気をつける点
- 海外出張の前に、持ち出す資料と現地で話す内容に特定技術が含まれるかを確かめます。出張先での社内会議も前段の場面になりえます。
4. 根拠法令
- 外為法第25条第1項前段。特定技術を特定国において提供することを目的とする取引を行おうとする「居住者若しくは非居住者」に許可を義務づけます。
- 役務通達1(3)ス。提供地の判断の基準(履行地)を定めます。文言は下書き段階のため要確認としています(当たり先は経済産業省の通達原文)。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 本邦企業の社員が海外出張先で、同行した同じ会社の社員(居住者)に特定技術を開示する行為は、居住者どうしのやりとりなので前段の対象にならない。
答え: 誤りです。前段は提供地が外国であれば、居住者から居住者への提供も対象にします。
問2 外国企業(非居住者)が外国で本邦企業の出張者(居住者)に特定技術を提供する取引は、前段の対象になりうる。
答え: 正しいです。前段の主体は居住者と非居住者の両方であり、提供地が外国であればこの組み合わせも対象です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 技術の該非判定は、外為令別表・貨物等省令・役務通達の3層を順にたどる。解く
- 技術の該非判定の3層は、貨物の3点チェックと同じ型であり、参照する政令と通達が異なる。解く
- X社の担当者は、提供しようとする技術が規制対象かを調べるため、輸出令別表第1を参照した。解く
- X社が輸出する装置は該非判定の結果、非該当だった。担当者は、この装置の設計技術についても改めて技術の該非判定を行った。解く
- 外為法第25条第1項は、特定技術の提供を目的とする取引に経済産業大臣の許可を義務づけている。解く