後段規制と特定類型該当者への提供
居住者が特定国の非居住者に技術を提供する後段の取引と、特定類型に該当する居住者への提供が同じ扱いになることを、具体的な場面で判断できるようになります。
この節で学ぶこと
- 後段(特定国の非居住者への提供)の取引の範囲を説明できるようになります。
- 特定類型に該当する居住者への提供が後段と同じ扱いになることを、場面で判断できるようになります。
覚えること
- 後段の着眼点は相手です。居住者が、特定国の非居住者に特定技術を提供することを目的とする取引が対象です。
- 提供地は問いません。本邦内での開示、本邦からの電子メールやファイル送信、オンライン会議での説明も、相手が特定国の非居住者であれば後段の対象です。
- みなし輸出管理により、特定類型に該当する居住者への提供は、非居住者への提供と同じように扱います。前の節で整理した特定類型1から3のいずれかに該当する人が相手なら、後段と同じ判断が必要です。
- 社内の関係でも規制は外れません。外国法人からの出向者への開示、グループ企業の研修での技術共有は、相手の居住性と特定類型該当性で判断します。
1. なぜ相手基準の規制が必要なのか
前段(提供地基準)だけでは、本邦の中での提供が丸ごと抜けます。技術は人に渡れば人と一緒に動きます。本邦で非居住者に開示された技術は、その人の帰国とともに外国へ渡ります。
後段はこの経路をふさぎます。さらに、みなし輸出管理は「居住者だが外国の影響下にある人」への提供を同じ経路とみなします。居住性という形式で線を引きつつ、形式と実質がずれる場合を特定類型で補正する。後段とみなし輸出管理は、この二段構えで1つの規制として働きます。
2. 判断の手順
- 提供する情報が特定技術かを確かめます。
- 相手の居住性を判定します。非居住者であれば後段の対象です。
- 相手が居住者の場合、特定類型1から3への該当性を確かめます。該当すれば、非居住者への提供と同じ扱いです。
- 対象になる場合、技術の項番と提供先に応じた許可の要否と、特例の適用可否を判断します。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「本邦内での開示だから規制されない」という記述は誤りです。後段は提供地を問わず、相手で判断します。
- 「出向者は社員だから対象でない」という記述も誤りです。出向者の居住性と特定類型該当性を確かめてから判断します。
実務で気をつける点
- 来日した取引先への工場見学、外国籍の新入社員への技術研修、オンライン会議での海外拠点への説明は、いずれも後段またはみなし輸出管理の判断が必要な場面です。開催・実施の前に相手の確認を済ませます。
4. 根拠法令
- 外為法第25条第1項後段。特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者に許可を義務づけます。
- 役務通達1(3)サ。特定類型に該当する居住者への提供を、非居住者への提供と同様に扱うみなし輸出管理を定めます(2022年5月1日施行の改正)。文言は下書き段階のため要確認としています。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 本邦企業が本邦の会議室で、特定国の非居住者に特定技術を口頭で説明する行為は、本邦内での提供なので後段の対象にならない。
答え: 誤りです。後段は相手が特定国の非居住者であれば、提供地が本邦でも対象です。
問2 外国法人から本邦企業へ出向してきた社員(居住者・特定類型1に該当)に機微技術を開示する場合、居住者への提供なので許可の要否の判断は不要である。
答え: 誤りです。特定類型に該当する居住者への提供は、みなし輸出管理により非居住者への提供と同じ扱いで判断します。
問3 後段の対象になるのは、取引を行う者が居住者の場合である。
答え: 正しいです。後段の主体は居住者です。非居住者が行う提供は、提供地が外国であれば前段で捉えます。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 技術の該非判定は、外為令別表・貨物等省令・役務通達の3層を順にたどる。解く
- 技術の該非判定の3層は、貨物の3点チェックと同じ型であり、参照する政令と通達が異なる。解く
- X社の担当者は、提供しようとする技術が規制対象かを調べるため、輸出令別表第1を参照した。解く
- X社が輸出する装置は該非判定の結果、非該当だった。担当者は、この装置の設計技術についても改めて技術の該非判定を行った。解く
- 外為法第25条第1項は、特定技術の提供を目的とする取引に経済産業大臣の許可を義務づけている。解く