少額特例の告示貨物と地域による条件の違い
5万円基準が適用される告示貨物の範囲(別表第3の3)と、仕向地の地域区分によってキャッチオール規制に関する条件がどう変わるかを、条文の構造から読み取れるようになります。
ここからは Advanced の範囲です。少額特例の3つの条件(項番・金額・仕向地)は前の節で扱いました。条数は前の節と同じく現行条文(第五号)で書きます。この節は、5万円基準の貨物の範囲と、仕向地の区分で変わる条件を条文まで下りて読みます。
この節で学ぶこと
- 別表第3の3(告示貨物)の構造を読み、5万円基準になる貨物を特定できるようになります。
- 仕向地の地域区分によって、少額特例に重なるキャッチオール規制に関する条件がどう変わるかを説明できるようになります。
覚えること
- 別表第3の3は、項番と括弧の番号で貨物を指定し、その中で経済産業大臣が告示で定めるものと、15の項の中欄に掲げる貨物の全部を、5万円基準の対象にしています。
- 指定されている項番は、5の項、7の項、8の項、9の項、10の項、12の項、13の項の一部の括弧と、15の項です。どの括弧が入るかは条文の列挙で確かめます。
- 少額特例の適用条件は、仕向地の区分で3段階に変わります。
- グループA(別表第3)向けは、キャッチオール規制に関する条件が最も軽くなります。
- グループA以外向けは、用途に関する条件が加わります。
- 別表第3の2の地域(イラクと北朝鮮を除く)向けは、条件がさらに広がります。
- 別表第4の地域(懸念国)向けは、少額特例そのものが使えません。
- 条件の中身は、第4条第1項第三号のイからニ(用途と需要者の懸念・インフォーム)を参照する形で書かれています。
1. 条文の読み方
第4条第1項第五号の本文は短く、括弧書きが長い条文です。本文が「5から13までの項または15の項・総価額の基準・別表第4以外」という3条件を定め、括弧書きが仕向地の区分ごとに「第三号のどの号に該当しないことが必要か」を割り当てています。
読み方の手順は次のとおりです。
- 本文で3条件(項番・金額・仕向地)を確かめます。
- 仕向地がグループA・グループA以外・別表第3の2のどれにあたるかを特定します。
- 括弧書きが指す第三号のイからニのうち、その区分に割り当てられた号に該当しないことを確かめます。
この構造は、仕向地の懸念が大きいほど、確かめる条件が増える形になっています。地域の三層(グループA・別表第3の2・懸念国)の考え方は、キャッチオール規制(第9章)と共通です。
2. 告示貨物の確かめ方
貨物が別表第3の3にあたるかは、該非判定で特定した項番と括弧の番号を、別表第3の3の列挙と突き合わせて確かめます。列挙にある括弧でも、実際に5万円基準になるのは経済産業大臣の告示で定められた貨物です。突き合わせの結果は、該非判定の記録とあわせて残します。
15の項の貨物は、告示を経ずに全部が5万円基準です。読み飛ばしやすい書き分けなので注意します。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「グループA向けなら少額特例の条件はない」という記述は誤りです。グループA向けの輸出でも、その貨物の輸出が第三号のロとニ(大量破壊兵器と通常兵器のインフォーム)にあたらないことを、輸出者が確かめる必要があります。
- 別表第3の2の地域のうちイラクと北朝鮮は、別表第4の懸念国として少額特例の対象外です。地域の重なりを整理して覚えます。
実務で気をつける点
- 別表第3の3の突き合わせを省いて一律100万円基準で運用すると、告示貨物の輸出で基準超過を見落とします。該非判定の項番・括弧の記録と接続した確認手順にします。
4. 根拠法令
- 輸出令第4条第1項第五号の括弧書き。仕向地の区分ごとに、第三号のイからニのうち該当しないことが必要な号を割り当てています。
- 輸出令別表第3の3。「別表第一の五の項(十四)若しくは(十八)、七の項(二)若しくは(十五)、八の項の中欄、九の項(一)若しくは(六)、一〇の項(一)、(二)、(四)、(六)、(七)、(九)、(九の二)若しくは(十一)、一二の項(一)、(二)、(五)若しくは(六)若しくは一三の項(五)に掲げる貨物であつて、経済産業大臣が告示で定めるもの又は同表の一五の項の中欄に掲げる貨物」と定めます。
- 条文は e-Gov 法令検索の輸出令(2026年6月5日施行時点)で確認しています。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 輸出令別表第1の15の項の中欄に掲げる貨物は、経済産業大臣の告示で定められたものに限り、少額特例の基準が5万円以下になる。
答え: 誤りです。15の項の貨物は告示を経ずに全部が5万円基準です。告示で定めるものに限られるのは、5の項や7の項など括弧で指定された貨物の側です。
問2 仕向地がグループA(輸出令別表第3の地域)であれば、少額特例の適用にキャッチオール規制に関する条件は一切かからない。
答え: 誤りです。グループA向けでも、第4条第1項第三号のロとニに該当しないことが条件になります。
問3 イラクと北朝鮮は輸出令別表第4に掲げる地域であり、少額特例は使えない。
答え: 正しいです。別表第4の地域を仕向地とする輸出は、金額にかかわらず少額特例の対象外です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 輸出令第4条第1項の柱書は、法第48条第1項の規定は次に掲げる場合には適用しない、と定めている。解く
- X社は、災害の被災地へ送る人道支援の物資として、リスト規制に該当する浄水装置を無償で輸出する。人道支援を目的とする輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- A大学は、共同研究のためリスト規制に該当する測定器をB国の研究機関へ輸出する。学術研究のための輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- X社は、政府開発援助として行う事業のためにリスト規制該当貨物を輸出する。この場合でも、輸出令第4条第1項に列挙されていない以上、輸出許可は必要である。解く
- X社は、リスト規制に該当する貨物をA国のY社へ輸出する。用途を確認したところ民生用途であることが明らかだった。民生用途であることが明らかであるから、輸出許可は不要である。解く