少額特例
総価額が100万円以下の該当貨物の輸出で許可が不要になる少額特例について、対象の項番、金額の基準、使えない仕向地という3つの条件を順に確かめて適用可否を判断できるようになります。
この節で学ぶこと
- 少額特例が使える3つの条件(対象の項番・金額の基準・仕向地)を順に確かめられるようになります。
- 総価額の考え方と、金額の基準が2段階になっている理由を説明できるようになります。
覚えること
- 少額特例は、輸出令第4条第1項第五号が定める特例です。次の3つの条件をすべて満たすときに、輸出許可が不要になります。
- 貨物が別表第1の5から13までの項または15の項の中欄に掲げるものであること。1から4までの項、14の項、16の項の貨物には使えません。
- 総価額が100万円以下であること。ただし、別表第3の3に掲げる貨物(告示貨物)は5万円以下に下がります。
- 仕向地が別表第4に掲げる地域(懸念国)以外であること。
- このほか、キャッチオール規制に関する条件が重なります。用途や需要者に懸念がある場合やインフォームを受けた場合には、金額が小さくても少額特例は使えません。
- 総価額は、同時に輸出する貨物のうち、同じ項の括弧の区分ごとに合算して判断します。出荷を分割して1回あたりの金額を下げても、この計算はくぐれません。
1. なぜ金額で線を引くのか
少額の取引まですべて個別の許可にかけると、審査の手間が懸念の大きさに見合いません。そこで、対象を懸念の相対的に小さい項番に限り、金額の上限と仕向地の除外を重ねたうえで、許可を不要にしています。
金額の基準が2段階あるのは、貨物の機微度が項番の中でも一様でないからです。別表第3の3に掲げる貨物は、少額でも懸念の残る貨物として、基準が5万円以下に引き下げられています。どの貨物がこの告示貨物にあたるかは、次の節(Advanced の範囲)で扱います。
2. 適用を判断する手順
- 該非判定の結果から、貨物の項番が5から13までの項または15の項であることを確かめます。
- 貨物が別表第3の3の告示貨物にあたるかを確かめ、金額の基準(100万円以下か5万円以下か)を特定します。
- 同じ項の括弧の区分ごとに総価額を合算し、基準以下であることを確かめます。
- 仕向地が別表第4の地域でないことを確かめます。
- キャッチオール規制の用途・需要者の懸念とインフォームの有無を確かめます。懸念があれば適用しません。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 条数の版差分に注意します。少額特例は、現行の条文(2026年6月5日施行版)では輸出令第4条第1項第五号です。試験の公式テキストは改正前の条数で第四号と表記しており、受験の場では旧表記に出会うことがあります。本教材は現行条文の条数で書いています。
- 対象の項番の範囲を正確に覚えます。2から4までの項や14の項の貨物に、もっともらしい金額を添えて少額特例を使わせる誤りが典型です。
- 基準の金額を100万円と5万円のどちらで判断するかは、貨物が告示貨物かどうかで決まります。金額だけを見て判断しません。
実務で気をつける点
- 総価額の合算の単位(同じ項の括弧の区分)を誤ると、無許可輸出になります。分割出荷で基準を下回らせる運用は、合算の対象であれば意味を持ちません。
- 少額特例で輸出した実績も、輸出管理の記録として残します。
4. 根拠法令
- 輸出令第4条第1項第五号。「別表第一の五から一三まで又は一五の項の中欄に掲げる貨物であつて、総価額が百万円(別表第三の三に掲げる貨物にあつては、五万円)以下のもの(外国向け仮陸揚げ貨物を除く。)を別表第四に掲げる地域以外の地域を仕向地として輸出しようとするとき」に、キャッチオール規制に関する条件に該当しない限りで、外為法第48条第1項を適用しないと定めます。
- 輸出令別表第3の3。5万円基準が適用される告示貨物の範囲を定めます。
- 条文は e-Gov 法令検索の輸出令(2026年6月5日施行時点)で確認しています。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 輸出令別表第1の3の項に該当する貨物であっても、総価額が100万円以下であれば少額特例により輸出許可は不要である。
答え: 誤りです。少額特例の対象は5から13までの項または15の項の貨物です。3の項の貨物には金額にかかわらず使えません。
問2 少額特例の金額の基準は、貨物が輸出令別表第3の3に掲げる告示貨物にあたる場合、100万円以下ではなく5万円以下になる。
答え: 正しいです。告示貨物は少額でも懸念が残るため、基準が引き下げられています。
問3 総価額が基準を超えそうな場合、出荷を2回に分割してそれぞれの金額を基準以下にすれば、少額特例を適用できる。
答え: 誤りです。総価額は同じ項の括弧の区分ごとに合算して判断します。分割出荷は合算の判断を変えません。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 輸出令第4条第1項の柱書は、法第48条第1項の規定は次に掲げる場合には適用しない、と定めている。解く
- X社は、災害の被災地へ送る人道支援の物資として、リスト規制に該当する浄水装置を無償で輸出する。人道支援を目的とする輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- A大学は、共同研究のためリスト規制に該当する測定器をB国の研究機関へ輸出する。学術研究のための輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- X社は、政府開発援助として行う事業のためにリスト規制該当貨物を輸出する。この場合でも、輸出令第4条第1項に列挙されていない以上、輸出許可は必要である。解く
- X社は、リスト規制に該当する貨物をA国のY社へ輸出する。用途を確認したところ民生用途であることが明らかだった。民生用途であることが明らかであるから、輸出許可は不要である。解く