無償告示の特例
無償で輸出入される貨物のうち告示に列挙された場合に輸出許可が不要になる無償告示の特例を、修理後の再輸出と展示会出品後の返送という代表的な場面で判断できるようになります。
この節で学ぶこと
- 無償告示の特例のしくみと、適用の前提を説明できるようになります。
- 修理後の再輸出と展示会出品後の返送という代表的な場面で、特例の適用可否を判断できるようになります。
覚えること
- 輸出令第4条第1項第二号のホとヘは、無償で輸出入される貨物のうち、経済産業大臣が告示で定めるものを特例の対象にしています。この告示を無償告示と呼びます。
- 無償告示は2つの方向に分かれます。無償で輸入した貨物を無償で輸出する場合と、無償で輸出した貨物を無償で輸入することを前提に輸出する場合です。
- 代表的な適用場面は次の2つです。
- 修理のために無償で輸入した貨物を、修理を終えて無償で再輸出する。
- 博覧会や展示会に出品するために無償で輸入した貨物を、会期後に無償で返送する。
- 適用には、告示の号に列挙された場面であることと、無償であることの両方が必要です。有償の取引には使えません。
1. なぜこの特例があるのか
修理品の返送や展示品の返却は、貨物が一時的に本邦へ入り、また出ていくだけの動きです。本邦から懸念先へ渡る危険が小さいため、列挙された場面に限って許可を不要にしています。
それでも無償という条件が付くのは、対価を伴う取引はもはや一時的な出入りとは言えないからです。名目が修理や展示でも、有償で引き渡すなら通常の輸出として扱い、許可の要否を原則どおり判断します。
2. 適用を判断する手順
- 貨物の動きが、無償告示の号に列挙された場面にあたるかを確かめます。
- 輸出と、その前提となる輸入(または輸出後の輸入)が、いずれも無償であることを確かめます。
2つとも満たすときに、輸出許可を受けずに輸出できます。1つでも欠ければ、通常どおり許可を申請します。なお、第4条のただし書きは1の項(武器)の貨物を特例の対象から原則として除いていますが、第二号のホとヘはその除外から外されています。無償告示の特例は、1の項の貨物にも適用できます。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「無償だから特例が使える」という判断は誤りです。無償であることは要件の1つにすぎず、告示に列挙された場面にあたることが先に必要です。
- 修理のために輸入した貨物でも、修理後に有償で引き渡して輸出するなら、無償告示は使えません。無償の要件を満たさないからです。
実務で気をつける点
- 適用の判断では、どの号のどの場面にあたるかを特定し、記録に残します。号を特定できないまま「無償の返送だから大丈夫」と処理しない習慣が、無許可輸出を防ぎます。
4. 根拠法令
- 輸出令第4条第1項第二号ホ。「無償で輸出すべきものとして無償で輸入した貨物であつて、経済産業大臣が告示で定めるもの」と定めます。
- 輸出令第4条第1項第二号ヘ。「無償で輸入すべきものとして無償で輸出する貨物であつて、経済産業大臣が告示で定めるもの」と定めます。
- 無償告示=平成12年通商産業省告示第746号(最終改正 令和7年経済産業省告示第167号・令和7年11月15日施行)。第一号(無償で輸入した貨物の再輸出)に10の場面、第二号(無償で輸入すべき貨物の輸出)に8の場面を列挙します。原文で確認済みです(2026-08-06)。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 修理のために無償で輸入したリスト規制該当貨物を、修理を終えて無償で元の相手に再輸出する場合、無償告示の特例により輸出許可を受けずに輸出できることがある。
答え: 正しいです。修理後の無償の再輸出は、無償告示に列挙された代表的な場面です。号の要件を満たすことを確かめたうえで適用します。
問2 展示会出品のために無償で輸入した貨物を、会期後に購入希望者へ有償で販売して輸出する場合も、無償告示の特例を適用できる。
答え: 誤りです。有償の取引は無償の要件を満たしません。通常の輸出として許可の要否を判断します。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 輸出令第4条第1項の柱書は、法第48条第1項の規定は次に掲げる場合には適用しない、と定めている。解く
- X社は、災害の被災地へ送る人道支援の物資として、リスト規制に該当する浄水装置を無償で輸出する。人道支援を目的とする輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- A大学は、共同研究のためリスト規制に該当する測定器をB国の研究機関へ輸出する。学術研究のための輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- X社は、政府開発援助として行う事業のためにリスト規制該当貨物を輸出する。この場合でも、輸出令第4条第1項に列挙されていない以上、輸出許可は必要である。解く
- X社は、リスト規制に該当する貨物をA国のY社へ輸出する。用途を確認したところ民生用途であることが明らかだった。民生用途であることが明らかであるから、輸出許可は不要である。解く