貨物等省令の読み方(委任の構造と条文の型)
貨物等省令の条と別表第1の項番の対応をたどり、柱書から号、イロハへと絞り込む条文の型と、「定める仕様のもの」と「定めるもの」という2つの委任の形を読み分けられるようになります。
この節で学ぶこと
- 貨物等省令の条番号と輸出令別表第1の項番の対応をたどれるようになります。
- 柱書から号、イロハ、(一)(二)へと段階的に絞り込む条文の型を読めるようになります。
- 「経済産業省令で定める仕様のもの」と「経済産業省令で定めるもの」という2つの委任の形の違いを説明できるようになります。
覚えること
- 貨物等省令の貨物関係は第1条から第14条の2までで、輸出令別表第1の2の項から16の項までに対応します。技術関係は第15条から第28条までで、外為令別表に対応します。
- 貨物関係の条番号は、おおむね項番から1を引いた数です。第1条が2の項、第5条が6の項を受けます。
- 各条は、柱書で受ける項を宣言し、号(一、二など)で品目を分け、イロハ、(一)(二)、12の順に細かく絞り込みます。
- 委任には「定める仕様のもの」(性能の線引き)と「定めるもの」(対象そのものの指定)の2つの形があります。
1. 条番号と項番の対応
貨物等省令は、条文の冒頭で自分がどの項を受けているかを宣言します。第1条の柱書は「輸出貿易管理令(以下「輸出令」という。)別表第一の二の項の経済産業省令で定める仕様のものは、次のいずれかに該当するものとする」で始まります。
貨物関係の条と項番の対応は次のとおりです。
| 貨物等省令の条 | 受ける輸出令別表第1の項 |
|---|---|
| 第1条 | 2の項(原子力) |
| 第2条 | 3の項(化学兵器) |
| 第2条の2 | 3の2の項(生物兵器) |
| 第3条 | 4の項(ミサイル) |
| 第4条から第13条まで | 5の項から14の項まで(条番号に1を足した項) |
| 第14条 | 15の項 |
| 第14条の2 | 16の項(一) |
1の項(武器)に対応する条はありません。前のレッスンで学んだとおり、1の項には省令への委任がないからです。このため、貨物関係の条番号は「項番から1を引いた数」になります。枝番も対応しており、3の2の項は第2条の2が、16の項は第14条の2が受けます。
第15条以降は外為令別表(技術)に対応します。第15条の柱書は「外国為替令(以下「外為令」という。)別表の二の項(一)の経済産業省令で定める技術は」で始まり、以下、外為令別表の2の項から16の項までを第15条から第28条までが受けます。
2. 条文の型(柱書から段階的に絞り込む)
各条の中身は、次の階層で書かれています。
- 柱書。「別表第一の〇の項の経済産業省令で定める仕様のものは、次のいずれかに該当するものとする」と宣言します。
- 号(一、二、三)。品目のまとまりごとに分かれます。別表の中欄の(一)(二)と対応する場合もあります。
- イロハ。号の中で、品目の種類や方式ごとに分かれます。
- (一)(二)、さらに1、2。具体的な仕様の条件が現れる階層です。
たとえば第5条(6の項)の第2号は、柱書にあたる部分で「工作機械(金属、セラミック又は複合材料を加工することができるものに限る。)」と対象を限定し、イで旋削、ロでフライス削り、ハで研削と、加工の方式ごとに分けたうえで、(一)(二)の階層で位置決めの繰返し性などの数値基準を定めます。
読み方の順序は上から下への絞り込みです。まず柱書と号で品目のまとまりを見つけ、イロハで自社製品の方式に合う枝をたどり、(一)(二)の数値基準にたどり着きます。途中の階層の限定(「〜に限る」「〜を除く」)を読み飛ばすと、判定を誤ります。
3. 2つの委任の形(仕様のもの・もの)
別表第1の中欄と貨物等省令の柱書には、2つの委任の形があります。
| 委任の形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 経済産業省令で定める仕様のもの | 中欄に掲げた品目のうち、省令の性能・特性の基準に当てはまるものだけが対象 | 2の項、4から15までの項の多く |
| 経済産業省令で定めるもの | 規制する対象そのもの(物質の名前など)を省令が指定する | 3の項(一)、3の2の項(一)、16の項(一) |
「仕様のもの」の形では、省令は数値基準を定めます。「もの」の形では、省令は対象の一覧を定めます。たとえば3の項(一)の軍用の化学製剤の原料となる物質は、第2条が物質名を列挙して指定します。数値との照合ではなく、物質がリストにあるかどうかの確認になります。
どちらの形でも、該非の最終的な根拠が貨物等省令の条文にあることは変わりません。実務でこの部分を「省令スペック」と呼ぶことは第2章で学んだとおりです。
4. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 条番号と項番のずれに注意しましょう。第5条が受けるのは5の項ではなく6の項です。「第〇条は〇の項に対応する」という記述は、1を引く関係を確かめてから判断します。
- 貨物等省令の後半(第15条以降)は技術の仕様です。「貨物等省令はすべて貨物の仕様を定める」という記述は誤りです。
実務で気をつける点
- パラメータシートなどの判定資料は、この条文の階層に沿って作られています。資料の項目がどの号・どのイロハに対応するかを意識すると、判定の根拠を条文で確かめられるようになります。
- 「〜に限る」「〜を除く」の限定は、柱書、号、イロハのどの階層にも現れます。自社製品に当てはめる前に、たどった枝の限定をすべて確認しましょう。
5. 根拠法令
- 貨物等省令第1条から第14条の2まで(輸出貿易管理令別表第一関係)・第15条から第28条まで(外国為替令別表関係)。各条の柱書の宣言(「別表第一の二の項の経済産業省令で定める仕様のものは」など)と条・項番の対応、第2条・第2条の2・第14条の2の「定めるもの」の形は、原文で確認しています。
- 貨物等省令第5条第2号。工作機械の柱書の限定とイロハの方式別の枝分かれの例として原文で確認しています。
- 輸出令別表第1。中欄の「経済産業省令で定める仕様のもの」「経済産業省令で定めるもの」の書き分けを原文で確認しています。
- 条文は、e-Gov 法令検索の各法令(frontmatter に記載の法令版ID・各施行時点)で確認しています。
6. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 貨物等省令第1条は、輸出令別表第1の1の項(武器)の仕様を定めている。
答え: 誤りです。第1条が受けるのは2の項(原子力)です。1の項には省令への委任がなく、対応する条はありません。
問2 貨物等省令の条文は、柱書で受ける項を宣言し、号、イロハ、(一)(二)の順に対象を段階的に絞り込む構造で書かれている。
答え: 正しいです。読み方も同じ順序で、品目のまとまりから自社製品に合う枝をたどって数値基準にたどり着きます。
問3 輸出令別表第1の3の項(一)の軍用の化学製剤の原料となる物質は、貨物等省令が性能の数値基準を定め、その数値との照合で該非が決まる。
答え: 誤りです。3の項(一)の委任は「経済産業省令で定めるもの」の形であり、第2条は物質そのものを列挙して指定します。数値の照合ではなく、物質がリストにあるかどうかの確認になります。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- X社の貨物は、輸出令別表第1の5の項に品名として掲げられ、かつ貨物等省令が定める仕様にも合致していた。この貨物は該当である。解く
- X社の貨物を輸出令別表第1の全項番と照合したところ、どの項番の仕様にも合致しなかった。この貨物は非該当である。解く
- X社の貨物は該非判定の結果、リスト規制に非該当だった。担当者は、非該当であればキャッチオール規制の確認も不要だと判断した。解く
- X社は該非判定を始めるにあたり、まず自社製品の性能・仕様を設計部門から取り寄せて正確に把握した。該非の判断は、この作業から始まる。解く
- X社は該非判定にあたり、カタログ値ではなく設計値と実測値を用いて条文の基準値と照合した。解く