項番の構造(1から15までの項と16の項)
輸出令別表第1の各項が何の品目を掲げるかを一覧で押さえ、1の項だけ省令委任がないこと、中欄の括弧書きで項の重複を避けていること、16の項の中欄の作りを説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- 輸出令別表第1の各項が、それぞれ何の分野の品目を掲げているかを答えられるようになります。
- 1の項(武器)には貨物等省令への委任がなく、政令だけで対象が確定することを説明できるようになります。
- 中欄の括弧書きによる他の項の除外と、16の項の中欄の2本立ての作りを説明できるようになります。
覚えること
- 別表第1は、1の項、2の項、3の項、3の2の項、4から16までの項で構成されます。3の2の項という枝番の項があるため、項の数は17です。
- 1の項(武器)だけは中欄に省令への委任がなく、政令の記載だけで対象が確定します。2から16までの項は、仕様や対象の確定を貨物等省令にゆだねます。
- 中欄の括弧書き「(〜の項の中欄に掲げるものを除く。)」により、1つの貨物は1つの項で捉えるよう整理されています。
- 16の項の中欄は、機械や電子機器などを列挙する(一)と、関税定率法別表の類で広く指定する(二)の2本立てです。
1. 各項が掲げる品目の一覧
別表第1の各項が中欄の冒頭に掲げる品目を並べると、項番の全体像がつかめます。該非判定は項番の特定から始まるため、どの分野がどの項かを引ける状態にしておきましょう。
| 項 | 中欄に掲げる品目の例 | 分野 |
|---|---|---|
| 1の項 | 銃砲・銃砲弾、爆発物、軍用車両、軍用船舶、軍用航空機など | 武器 |
| 2の項 | 核燃料物質・核原料物質、原子炉とその部分品・附属装置など | 原子力 |
| 3の項 | 軍用の化学製剤の原料となる物質、その製造装置など | 化学兵器 |
| 3の2の項 | 軍用の細菌製剤の原料として用いられる生物・毒素、その製造装置など | 生物兵器 |
| 4の項 | ロケット、無人航空機とこれらの製造用装置・部分品など | ミサイル |
| 5の項 | ふっ素化合物の製品、芳香族ポリイミドの製品など | 先端材料 |
| 6の項 | 軸受、数値制御を行うことができる工作機械など | 材料加工 |
| 7の項 | 集積回路、マイクロ波用機器など | エレクトロニクス |
| 8の項 | 電子計算機とその附属装置・部分品 | 電子計算機 |
| 9の項 | 伝送通信装置、電子式交換装置、通信用の光ファイバーなど | 通信 |
| 10の項 | 音波を利用した水中探知装置、光検出器など | センサー・レーザー |
| 11の項 | 加速度計、ジャイロスコープ、慣性航法装置など | 航法装置 |
| 12の項 | 潜水艇、船舶の部分品・附属装置など | 海洋関連 |
| 13の項 | ガスタービンエンジン、人工衛星とその部分品など | 推進装置 |
| 14の項 | 粉末状の金属燃料、火薬・爆薬の主成分となる物質など | その他 |
| 15の項 | 無機繊維を使用した成型品、電波・赤外線の吸収材など | 機微品目 |
| 16の項 | 工作機械・集積回路など12種類の貨物群と、関税定率法別表の類で指定する広い範囲の貨物 | キャッチオール規制の対象品目 |
表の「分野」の呼び方は法令上の名称ではなく、経済産業省の公表資料や実務で使われる区分です。中欄の品目は条文の原文から取っています。
大量破壊兵器関連が2から4までの項(3の2の項を含む)に、通常兵器関連の汎用品が5から15までの項にまとまる並びは、第3章で学んだレジームとの対応そのものです。
2. 1の項だけ省令委任がない
2から15までの項の中欄には、「経済産業省令で定める仕様のもの」または「経済産業省令で定めるもの」という委任の文言があります。仕様の線引きは貨物等省令が受け持ちます。
1の項(武器)だけは、この委任の文言がありません。銃砲、爆発物、軍用車両、軍用船舶、軍用航空機といった対象が中欄に直接列挙され、政令の記載だけで確定します。貨物等省令にも、1の項に対応する条はありません。貨物等省令の貨物関係の条文が2の項から始まるのは、このためです。
3. 括弧書きの除外で項の重複を避ける
中欄をよく読むと、「(〜の項の中欄に掲げるものを除く。)」という括弧書きが繰り返し現れます。
- 6の項の柱書は「次に掲げる貨物(2の項の中欄に掲げるものを除く。)」とし、原子力関連として2の項で捉える貨物を除いています。
- 7の項(一)の集積回路や11の項の柱書には「(4の項の中欄に掲げるものを除く。)」とあり、ミサイル関連として4の項で捉える貨物を除いています。
この作りにより、同じ貨物が複数の項に重ねて載らないよう整理されています。実務では、この括弧書きが「大量破壊兵器関連の項が先に捉え、残りを汎用品の項が捉える」という優先順位として働きます。該非判定で項番を1つに特定できるのは、この整理があるからです。
4. 16の項の中欄は2本立て
16の項の中欄は、次の2本立てで対象品目を定めます。
- (一)は、レーザー加工機械、マシニングセンター、旋盤、集積回路、航空機、航行用機器など12種類の貨物群を列挙し、そのうえで「経済産業省令で定めるもの」と委任します。1、2及び4から15までの項の中欄に掲げるものは除かれます。
- (二)は、関税定率法別表の類(第25類から第40類まで、第54類から第59類まで、第63類、第68類から第93類まで、第95類)で広く指定します。(一)と1から15までの項の中欄に掲げるものは除かれます。
類による指定から外れる食料や木材などを除けば、工業製品のほとんどが16の項の対象に入ります。用語台帳が16の項を「食料や木材などを除くほぼ全品目」と言い表すのは、この(二)の作りが理由です。1から15までの項で非該当になった貨物の多くは、16の項の対象として残ります。
5. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「別表第1のすべての項の仕様は貨物等省令が定める」という記述は誤りです。1の項(武器)には省令への委任がありません。
- 3の2の項(生物兵器)の存在に注意しましょう。「別表第1は1から16までの16の項からなる」という記述は、枝番の3の2の項を落としています。
- 16の項はリスト規制の項ではありません。1から15までの項がリスト規制、16の項がキャッチオール規制の対象品目です。
実務で気をつける点
- 項番の特定では、括弧書きの除外まで読み切りましょう。品目名だけ見て6の項と当たりを付けても、原子力用であれば2の項、ミサイル用であれば4の項で捉えるべき場合があります。
- 部分品や附属品も中欄に掲げられていれば規制対象です。完成品でないことは非該当の理由になりません。
6. 根拠法令
- 輸出令別表第1。項の構成(1、2、3、3の2、4から16までの項)、各項の中欄の品目、1の項の中欄に省令委任の文言がないこと、6の項・7の項・11の項の括弧書きの除外、16の項の(一)(二)の構成と関税定率法別表の類の指定は、いずれも原文で確認しています。
- 貨物等省令。貨物関係の条文(第1条から第14条の2まで)が別表第1の2の項から16の項までに対応し、1の項に対応する条がないことを原文で確認しています。
- 条文は、e-Gov 法令検索の各法令(frontmatter に記載の法令版ID・各施行時点)で確認しています。
- 項番・中欄・武器・16の項の定義は、この資格の用語台帳(C系統・第5節)の定義に一致させています。
7. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 輸出令別表第1の1の項に掲げる武器は、貨物等省令の定める仕様に当てはまるかどうかで該非が決まる。
答え: 誤りです。1の項の中欄には省令への委任がなく、政令の記載だけで対象が確定します。貨物等省令に1の項に対応する条はありません。
問2 輸出令別表第1の6の項の中欄は、2の項の中欄に掲げる貨物を除いており、原子力関連の工作機械は2の項で捉える整理になっている。
答え: 正しいです。中欄の括弧書きの除外により、同じ貨物が複数の項に重ねて載らないよう整理されています。
問3 輸出令別表第1の16の項の中欄には、関税定率法別表の類による指定が含まれ、食料や木材などを除く広い範囲の貨物が対象になる。
答え: 正しいです。16の項(二)は関税定率法別表の第25類から第40類までなどの類で対象を指定しており、類から外れる食料や木材などを除くほぼ全品目が対象に入ります。
分からなかった点・気になった点
読み込み中です。
この章の問題を解く
章のまとめへ- X社の貨物は、輸出令別表第1の5の項に品名として掲げられ、かつ貨物等省令が定める仕様にも合致していた。この貨物は該当である。解く
- X社の貨物を輸出令別表第1の全項番と照合したところ、どの項番の仕様にも合致しなかった。この貨物は非該当である。解く
- X社の貨物は該非判定の結果、リスト規制に非該当だった。担当者は、非該当であればキャッチオール規制の確認も不要だと判断した。解く
- X社は該非判定を始めるにあたり、まず自社製品の性能・仕様を設計部門から取り寄せて正確に把握した。該非の判断は、この作業から始まる。解く
- X社は該非判定にあたり、カタログ値ではなく設計値と実測値を用いて条文の基準値と照合した。解く