リスト規制の全体像(別表第1と貨物等省令)
貨物のリスト規制が、輸出令別表第1の項番と貨物等省令の仕様の2段構えで規制対象を特定し、該当すれば全地域向けの輸出に許可を求める仕組みであることを説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- リスト規制が、規制する貨物をリストで特定し、該当すれば全地域向けの輸出に許可を求める規制であることを説明できるようになります。
- リストが、輸出令別表第1(項番)と貨物等省令(仕様)の2段構えでできていることを説明できるようになります。
- リスト規制とキャッチオール規制の役割の違いを、対象品目と仕向地の面から説明できるようになります。
覚えること
- リスト規制は、規制する貨物・技術を別表と貨物等省令のリストで特定し、該当すれば全地域向けの輸出・提供に許可を求める規制です。
- 貨物のリスト規制の根拠は外為法第48条第1項です。規制対象は輸出令別表第1の1から15までの項に掲げる貨物です。
- 別表第1の中欄は品目の枠を定め、具体的な仕様の線引きは貨物等省令にゆだねられています。項番と仕様の両方に当てはまって、初めて該当になります。
- リスト規制を補うのが16の項のキャッチオール規制です。リストに載らない貨物を、用途と需要者に着目して捉えます。
1. リスト規制とは何か
リスト規制は、軍事転用の懸念が特に大きい貨物・技術をあらかじめリストに列挙しておき、リストに該当するものの輸出・提供に許可を求める規制です。国際輸出管理レジームの合意リストを国内法令に反映したもので、安全保障輸出管理の規制の中心にあります。
貨物についての根拠条文は外為法第48条第1項です。同項は、政令で定める特定の種類の貨物を、政令で定める特定の地域へ輸出する者に、経済産業大臣の許可を義務づけます。この政令が輸出令であり、輸出令第1条第1項が「別表第一中欄に掲げる貨物」を「同表下欄に掲げる地域」へ輸出する場合と定めています。
別表第1のうちリスト規制にあたるのは1から15までの項です。下欄はいずれも全地域であり、仕向地がどこの国であっても許可の対象になります。友好国向けであっても変わりません。
この章では貨物のリスト規制を扱います。技術のリスト規制(外為法第25条・外為令別表)は、同じ構造を持ちますが第6章で扱います。
2. リストは2段構え(項番と仕様)
リスト規制の「リスト」は、1つの表ではありません。政令の別表と省令の条文の2段構えでできています。
| 段階 | 法令 | 定める内容 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 1段目 | 輸出令別表第1 | 項番と品目の枠(中欄)と仕向地(下欄) | どの分野のどんな品目が規制対象かを定める |
| 2段目 | 貨物等省令 | 具体的な仕様(性能・特性の数値基準) | 品目の枠の中で、規制対象になる性能の線引きを定める |
別表第1の中欄には、「次に掲げる貨物であつて、経済産業省令で定める仕様のもの」という委任の文言が繰り返し現れます。たとえば2の項の中欄は、核燃料物質や原子炉などの品目を掲げたうえで、仕様の線引きを貨物等省令にゆだねています。
したがって、ある貨物がリスト規制に該当するかどうかは、次の2つの両方に当てはまるかで決まります。
- 輸出令別表第1の1から15までの項の中欄に掲げる品目にあたること(項番の特定)。
- 貨物等省令の対応する条文が定める仕様の基準に当てはまること(仕様の照合)。
品目の枠にあたっても、仕様の基準に届かなければ該当しません。この2段階の確認が、第8章で学ぶ該非判定の骨組みです。
3. リスト規制とキャッチオール規制の役割分担
別表第1の16の項は、リスト規制ではなくキャッチオール規制の対象品目を定めます。両者の違いを並べると、リスト規制の性格がはっきりします。
| 観点 | リスト規制(1から15までの項) | キャッチオール規制(16の項) |
|---|---|---|
| 対象品目 | リストに列挙した品目・仕様に限る | リストに載らないほぼ全品目が対象になりうる |
| 仕向地 | 全地域 | 全地域(別表第3に掲げる地域を除く) |
| 許可が必要になる基準 | 品目と仕様に該当すること | 用途や需要者に懸念があること |
リスト規制は「モノ」に着目し、キャッチオール規制は「使いみちと相手」に着目します。リスト規制に非該当の貨物でも、キャッチオール規制の確認は残ります。キャッチオール規制の詳細は第9章で学びます。
動かして確かめる
条件を選んで、リスト規制からキャッチオール規制へ進む該非判定の流れを確かめてみましょう。
スタディード / 動く解説
リスト規制が非該当なら、キャッチオール規制の確認が残る。
条件を選んで、リスト規制からキャッチオール規制へ進む該非判定の流れを確かめてください。
1. リスト規制の該非
2. キャッチオール規制の確認
4. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- リスト規制の仕向地は全地域です。「グループA向けはリスト規制の対象外」という記述は誤りです。別表第3の地域が除かれるのは16の項(キャッチオール規制)です。
- リスト規制の該当は、項番と仕様の両方で決まります。「別表第1の中欄の品目にあたれば直ちに該当」という記述は誤りです。
- 許可を与えるのは経済産業大臣です。税関への輸出申告とは別の手続です。
実務で気をつける点
- 該当は輸出の禁止ではありません。許可を受ければ輸出できます。該当と判定した案件は、許可申請の手続(第11章)に進みます。
- リストの中身は国際輸出管理レジームの合意を受けて毎年のように改正されます。判定は必ず判定時点の版の条文で行いましょう。
5. 根拠法令
- 外為法第48条第1項(輸出の許可等)。政令で定める特定の種類の貨物を、政令で定める特定の地域へ輸出する者に、経済産業大臣の許可を義務づけます。
- 輸出令第1条第1項(輸出の許可)。許可の対象を「別表第一中欄に掲げる貨物の同表下欄に掲げる地域を仕向地とする輸出」と定めます。
- 輸出令別表第1。1から15までの項の下欄は全地域、16の項の下欄は全地域(別表第3に掲げる地域を除く)です。中欄の「経済産業省令で定める仕様のもの」の文言が貨物等省令への委任です。
- 貨物等省令。別表第1の各項の委任を受けて、具体的な仕様を定めます。
- 条文は、e-Gov 法令検索の各法令(frontmatter に記載の法令版ID・各施行時点)で確認しています。
- リスト規制・キャッチオール規制・項番の定義は、この資格の用語台帳(C系統・第5節)の定義に一致させています。
6. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 リスト規制に該当する貨物の輸出は、仕向地がグループAの国であれば経済産業大臣の許可を要しない。
答え: 誤りです。1から15までの項の下欄は全地域であり、グループA向けでも許可が必要です。仕向地で対象が絞られるのはキャッチオール規制(16の項)です。
問2 ある貨物が輸出令別表第1の中欄に掲げる品目の枠にあたる場合でも、貨物等省令の定める仕様の基準に当てはまらなければ、リスト規制には該当しない。
答え: 正しいです。リスト規制の該当は、別表第1の項番と貨物等省令の仕様の両方に当てはまるかで決まります。
問3 リスト規制に該当すると判定された貨物は、輸出そのものが禁止される。
答え: 誤りです。リスト規制は許可制であり、経済産業大臣の許可を受ければ輸出できます。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- X社の貨物は、輸出令別表第1の5の項に品名として掲げられ、かつ貨物等省令が定める仕様にも合致していた。この貨物は該当である。解く
- X社の貨物を輸出令別表第1の全項番と照合したところ、どの項番の仕様にも合致しなかった。この貨物は非該当である。解く
- X社の貨物は該非判定の結果、リスト規制に非該当だった。担当者は、非該当であればキャッチオール規制の確認も不要だと判断した。解く
- X社は該非判定を始めるにあたり、まず自社製品の性能・仕様を設計部門から取り寄せて正確に把握した。該非の判断は、この作業から始まる。解く
- X社は該非判定にあたり、カタログ値ではなく設計値と実測値を用いて条文の基準値と照合した。解く