居住者と非居住者の判定
外為法第6条の定義に基づき、自然人と法人のそれぞれについて居住者か非居住者かを判定し、支店や駐在員のような間違えやすい場面を正しく扱えるようになります。
この節で学ぶこと
- 居住者と非居住者の法令上の定義を、自然人と法人のそれぞれについて説明できるようになります。
- 支店、駐在員、留学生のような間違えやすい場面で、居住性を判定できるようになります。
覚えること
- 居住者とは、本邦内に住所または居所を有する自然人と、本邦内に主たる事務所を有する法人をいいます(外為法第6条第1項第五号)。
- 非居住者とは、居住者以外の自然人と法人をいいます(同項第六号)。
- 定義には重要なみなし規定があります。非居住者の本邦内の支店、出張所その他の事務所は、主たる事務所が外国にあっても居住者とみなされます。
- 国籍と居住性は別の概念です。外国籍でも本邦に住所を持てば居住者になり、日本国籍でも外国に居住の実態があれば非居住者になりえます。
- 自然人の細目(滞在期間による扱いなど)は財務省の通達に基づく実務運用があり、判定に迷う場合はその基準にあたります。
1. なぜ国籍でなく居住の実態で分けるのか
役務取引の規制は、技術が本邦の管理の外へ渡る場面を捉えようとしています。人の国籍は、その人がどこの管理下で活動しているかを必ずしも表しません。本邦に長く住み、本邦の組織で働く外国籍の研究者は、活動の実態が本邦の内側にあります。
そこで定義は、住所・居所・主たる事務所という実態の所在で線を引きます。外国法人の東京支店が居住者とみなされるのも、支店の活動の実態が本邦の内側にあるからです。
2. 間違えやすい場面の判定
| 場面 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 外国法人の本邦支店 | 居住者 | みなし規定。主たる事務所が外国でも本邦内の事務所は居住者 |
| 本邦法人の海外支店 | 非居住者側の扱いに注意 | 本邦に主たる事務所を持つ法人の一部だが、事務所の所在は外国。場面ごとの規制の定めにあたる |
| 来日した外国人留学生・研究者 | 住所や居所の実態で判定 | 国籍では決まらない。本邦に居所を持てば居住者になりうる |
| 短期出張で来日した外国企業の社員 | 多くの場合は非居住者 | 一時的な滞在は本邦の住所・居所にあたらないことが多い |
この表の後半2つが示すとおり、自然人の判定は滞在の実態に依存します。判定に迷う場面の細目は、財務省通達の基準と、この章の Advanced の節(特定類型の細則)で補います。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「外国籍だから非居住者」「日本国籍だから居住者」という国籍基準の記述は誤りです。定義は住所・居所・主たる事務所で判定します。
- 外国法人の本邦支店を非居住者とする記述は誤りです。みなし規定により居住者です。
実務で気をつける点
- 居住性の判定は、技術提供の相手ごとに記録します。来日者への説明会や工場見学の受け入れでは、参加者の居住性と特定類型該当性をあわせて確かめる手順にします。
4. 根拠法令
- 外為法第6条第1項第五号。「「居住者」とは、本邦内に住所又は居所を有する自然人及び本邦内に主たる事務所を有する法人をいう。非居住者の本邦内の支店、出張所その他の事務所は、法律上代理権があると否とにかかわらず、その主たる事務所が外国にある場合においても居住者とみなす」と定めます。
- 外為法第6条第1項第六号。「「非居住者」とは、居住者以外の自然人及び法人をいう」と定めます。
- 条文は e-Gov 法令検索の外為法で確認しています。自然人の滞在期間による細目は財務省通達に基づく実務運用で、文言は下書き段階のため要確認としています。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 米国に主たる事務所を持つ外国法人の東京支店は、非居住者である。
答え: 誤りです。非居住者の本邦内の支店・出張所その他の事務所は、居住者とみなされます。
問2 日本国籍を持つ人は、外国に長く居住していても常に居住者として扱われる。
答え: 誤りです。居住性は国籍でなく住所・居所の実態で判定します。外国に居住の実態があれば非居住者になりえます。
問3 本邦の大学に在籍し、本邦に居所を持って研究を行う外国籍の研究者は、居住者にあたりうる。
答え: 正しいです。本邦内に住所または居所を有する自然人は、国籍を問わず居住者です。この場合でも、特定類型に該当すれば、みなし輸出管理の対象として扱います。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 技術の該非判定は、外為令別表・貨物等省令・役務通達の3層を順にたどる。解く
- 技術の該非判定の3層は、貨物の3点チェックと同じ型であり、参照する政令と通達が異なる。解く
- X社の担当者は、提供しようとする技術が規制対象かを調べるため、輸出令別表第1を参照した。解く
- X社が輸出する装置は該非判定の結果、非該当だった。担当者は、この装置の設計技術についても改めて技術の該非判定を行った。解く
- 外為法第25条第1項は、特定技術の提供を目的とする取引に経済産業大臣の許可を義務づけている。解く