技術・技術データ・技術支援の定義
規制の対象になる技術とは何かを、技術データと技術支援の2つの形、および貨物に関する技術と貨物によらない技術という2つの規制パターンから説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- 規制の対象になる技術の定義と、技術が移転する2つの形(技術データと技術支援)を説明できるようになります。
- 貨物に関する技術と、貨物によらない技術という2つの規制パターンを区別できるようになります。
覚えること
- 技術とは、貨物の設計、製造または使用に必要な特定の情報をいいます。この情報は2つの形で移転します。
- 技術データ。図面、仕様書、マニュアル、数式、プログラムなど、記録された情報です。
- 技術支援。技術指導、技能訓練、コンサルティングなど、人が行う支援です。電話や口頭の説明も含みます。
- 設計、製造、使用のどの段階の技術を規制するかは、外為令別表が項ごとに書き分けています。
- 規制のパターンは2つあります。リスト規制該当貨物に関する技術と、貨物が該当しなくても技術そのものが規制されるものです。貨物が非該当だから技術も非該当、という推論は成り立ちません。
- 技術データを紙・記録媒体の形で国外へ持ち出す行為も、電気通信での送信と並んで規制されます。特定国を仕向地とする特定技術を内容とする文書・図画・記録媒体(特定記録媒体等)を持ち出す行為は、外為法第25条第3項が定める特定記録媒体等の輸出として、許可の対象になりえます。
1. なぜ技術データと技術支援の両方を規制するのか
技術の移転は、図面を渡すことだけでは起きません。熟練者が口頭で教える、実演して見せる、質問に答える。どれも受け手に同じ能力を与えます。記録された情報だけを規制すれば、人による支援がそのまま抜け道になります。
このため、規制は情報の形を問いません。図面1枚の送付も、電話での技術的な説明も、同じ役務取引の規制で扱います。手段の軽さと規制の重さは関係がありません。
2. 2つの規制パターン
技術の該非判定で最初に確かめるのは、その技術が外為令別表のどの項に関わるかです。このとき、2つのパターンを区別します。
| パターン | 内容 | 判断の注意 |
|---|---|---|
| 貨物に関する技術 | リスト規制該当貨物の設計、製造、使用に必要な技術 | 対応する貨物の項番から技術の項をたどる |
| 貨物によらない技術 | 貨物の該当性と独立に、技術そのものが項に掲げられているもの | 貨物が非該当でも技術は該当しうる |
2つ目のパターンがあるため、「うちの製品は非該当だから、関連する技術資料も自由に送れる」という判断は誤りになりえます。技術は技術として、外為令別表と貨物等省令で判定します。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 技術データと技術支援のどちらか一方だけが規制対象という記述は誤りです。両方が対象です。
- 電話や口頭での説明は記録が残らないため規制されない、という記述も誤りです。移転の手段を問いません。
実務で気をつける点
- 海外拠点との技術会議、外国企業からの技術的な質問への回答は、内容が該当技術であれば役務取引の規制の場面です。書類の送付だけを管理対象にしない体制をつくります。
4. 根拠法令
- 外為令別表。項ごとに、規制される技術を設計、製造、使用の段階の別とともに定めます。
- 貨物等省令。各項の技術の仕様を定めます。
- 役務通達1(3)。技術、技術データ、技術支援などの用語の定義を置きます。定義の文言は下書き段階のため要確認としています(当たり先は経済産業省の通達原文)。
- 外為法第25条第3項第一号。特定国を仕向地とする特定記録媒体等(特定技術を内容とする情報が記載・記録された文書・図画・記録媒体)の輸出を、電気通信による技術提供と並んで許可の対象とします(e-Gov法令検索で条文確認済み)。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 規制の対象になる技術の移転は、図面や仕様書など記録された情報の提供に限られ、口頭の技術指導は含まれない。
答え: 誤りです。技術は技術データ(記録された情報)と技術支援(人による支援)の両方の形で移転し、どちらも規制の対象です。
問2 自社製品がリスト規制に該当しない場合、その製品に関する技術資料の海外への提供が規制されることはない。
答え: 誤りです。貨物の該当性と独立に技術そのものが規制される項があり、技術は技術として外為令別表で判定します。
問3 技術データを紙の図面として海外に持ち出す行為は、電気通信による送信でないため、技術取引の規制の対象にならない。
答え: 誤りです。特定国を仕向地とする特定記録媒体等(特定技術を内容とする文書・図画・記録媒体)の持ち出しは、外為法第25条第3項が定める特定記録媒体等の輸出として、電気通信による送信と並んで規制の対象です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 技術の該非判定は、外為令別表・貨物等省令・役務通達の3層を順にたどる。解く
- 技術の該非判定の3層は、貨物の3点チェックと同じ型であり、参照する政令と通達が異なる。解く
- X社の担当者は、提供しようとする技術が規制対象かを調べるため、輸出令別表第1を参照した。解く
- X社が輸出する装置は該非判定の結果、非該当だった。担当者は、この装置の設計技術についても改めて技術の該非判定を行った。解く
- 外為法第25条第1項は、特定技術の提供を目的とする取引に経済産業大臣の許可を義務づけている。解く