16の項の2つの区分と仕向地の3つの層
規制の入口となる16の項とは何かを、(一)と(二)の区分の違いとあわせて理解し、グループA・非グループA・国連武器禁輸国という仕向地の3つの層で扱いがどう変わるかを学びます。
この節で学ぶこと
- キャッチオール規制の対象になる貨物が輸出令別表第1の16の項に、技術が外為令別表の16の項にあたることを、説明できるようになります。
- 16の項が(一)と(二)に分かれていて、扱いが違うことを説明できるようになります。
- 仕向地を、グループA・非グループA・国連武器禁輸国という3つの層で見分けられるようになります。
覚えること
- キャッチオール規制の対象になる貨物は輸出令別表第1の16の項、技術は外為令別表の16の項にあたります。
- 16の項は(一)と(二)に分かれています。(一)は工作機械・集積回路・航空機の部分品など、経済産業省令が定める12の分類です。(二)は、リスト規制(1から15の項)にあたらない貨物のうち食品や木材などを除いた、広い範囲の貨物です。
- 仕向地は3つの層で見ます。輸出管理のしくみが整ったグループA(輸出令別表第3の地域)、それ以外の非グループA、そして非グループAの中にある国連武器禁輸国(輸出令別表第3の2の地域)です。
- 3つの層は「規制の対象か、外か」を分ける線ではありません。どの層でも何らかの要件が働きます。層によって、働く要件の数が変わります。
1. なぜそうなるのか
3.1 16の項とは、どういう区分か
リスト規制では、規制する貨物を、輸出令別表第1の1の項から15の項までに、種類ごとに並べています。この1から15の項のどれにもあたらなかった貨物の多くは、最後の16の項に入ります。16の項は、1から15の項からこぼれた貨物を受け止める、受け皿のような区分です。
ただし、1から15の項にあたらない貨物のすべてが16の項に入るわけではありません。食品や木材などは、16の項からも外されています。これらは、兵器づくりに結びつきにくいからです。
16の項に入る貨物の範囲は、関税定率法という別の法律の一覧(別表)の「類」という番号で決められています。具体的には、第25類から第40類まで、第54類から第59類まで、第63類、第68類から第93類まで、第95類にあたる貨物です。この類の番号までを覚える必要はありません。ただ、16の項が「関税の分類で定められた、とても広い範囲の貨物」だということは、つかんでおきましょう。
ここで注意したいのは、16の項がとても広いことです。16の項に入る貨物は、身のまわりにあふれています。そのなかには、兵器とは関係がなさそうに見える貨物も、たくさんあります。
たとえば、鉄でできた下水道用のポンプを考えてみましょう。見た目には、兵器に使えるようには思えません。それでも、この貨物はリスト規制にあたらず、食品でも木材でもありません。ですから、法令のうえでは16の項に入ります。見た目が兵器と無縁でも、16の項からは外れないのです。
ここで、区分の順序を取りちがえないことが大切です。ある貨物が16の項に入るかどうかは、「兵器に使えそうか」という見た目の印象では決めません。あくまで「リスト規制にあたらず、食品や木材でもないか」という区分で決まります。使い道(用途)に懸念があるかどうかを見るのは、このあとの段階です。
なぜ、この順序が大切なのでしょうか。もし、下水道用のポンプを見て「兵器に使えそうにないから、キャッチオール規制とは関係ない」と早合点すると、そのあとの用途や相手の確認をしないまま輸出してしまうおそれがあるからです。見た目で16の項から外してしまうと、確認すべき段階そのものを飛ばすことになります。
最後に、もう1つ押さえておくことがあります。16の項に入った貨物が、同時に1から15の項にもあたることはありません。1から15の項にあたらなかった貨物が16の項に来るので、両方に入ることはないのです。技術についても同じです。
3.2 16の項が(一)と(二)に分かれた
令和7年10月9日に施行された改正で、16の項が(一)と(二)の2つの区分に分かれました。
16の項(一)は、経済産業省令が定める12の分類です。レーザーなどによる加工機械、マシニングセンター、旋盤、ボール盤や中ぐり盤、研削盤やホーニング盤、平削り盤や歯切り盤、レーダーと航行用無線機器と無線遠隔制御機器、集積回路、航空機と宇宙飛行体と打上げ用ロケットおよびこれらの部分品、羅針盤その他航行用機器、物理分析用や化学分析用の機器、オシロスコープなど電気的量の測定用機器と電離放射線の測定用機器が並びます。通常兵器の製造に直に効く品目が集められています。
16の項(二)は、関税定率法別表の類で定められた広い範囲の貨物のうち、(一)と1から15までの項に載るものを除いたものです。改正前の16の項は、この(二)にあたるものでした。
この区分は、あとの節で見る「どの要件が働くか」を決めます。(一)のほうが、確かめるべき要件が多くなります。自社の品目がどちらに入るかを最初に確かめるのは、このためです。
3.3 仕向地を3つの層で見る
キャッチオール規制は、品物を送る先の地域(仕向地)によっても、扱いが変わります。仕向地を3つの層に分けて見ると、整理しやすくなります。
1つ目の層は、輸出令別表第3にあげられた地域です。これを「グループA」とよびます。グループAは、輸出管理の制度が厳しく運用されていて、大量破壊兵器などが拡散するおそれがないことが明らかな国々です。全部で27か国あります。
2つ目の層は、グループA以外のすべての地域です。これを「非グループA」とよびます。
3つ目の層は、非グループAの中にある「国連武器禁輸国」です。これは、輸出令別表第3の2にあげられた地域にあたります。国連の安全保障理事会が、武器の輸出を禁じると決めた国々です。この国連武器禁輸国は、非グループAの外にある別枠ではありません。非グループAの内側にある、一部の特別な層です。
この3つの層は、規制の対象か対象外かを分ける線ではありません。改正前は、グループA向けの輸出はキャッチオール規制の対象から外れていました。改正で、輸出令第1条第3項が新しく置かれ、グループA向けにもインフォーム要件が働くようになっています。層は「規制の内と外」ではなく、働く要件の数の違いを表す、と読み替えてください。層が下に行くほど、確かめるべき要件が増えます。
どの層でどの要件が働くかは、大量破壊兵器の側を第3節から第5節で、通常兵器の側を第6節で扱います。
2. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「リスト規制にあたらない貨物は、すべて16の項にあたる」は誤りです。食品や木材などは除かれます。
- 16の項は(一)と(二)に分かれており、扱いが違います。(一)は省令が定める12分類(工作機械・集積回路・航空機の部分品など)です。
- グループA向けが「キャッチオール規制の対象から外れる」というのは、改正前の姿です。いまはインフォーム要件が働きます。
- 国名の区分はよく問われます。米国・英国・韓国はグループAです。韓国は2023年7月21日にグループAへ加わりました。いっぽう、中国・香港・台湾・イランは非グループAです。中国は、NSG(原子力供給国グループ)以外の国際輸出管理レジームに参加していないため、グループAではありません。
- 国連武器禁輸国(別表第3の2の地域)は、非グループAの外にある別枠ではありません。非グループAの中の一部です。この入れ子の関係を取り違えないようにしましょう。
- 試験では、グループAや別表第3の2の地域の国名が問題文中の用語欄に示されます。国名そのものを暗記する必要はありません。
実務で気をつける点
- 見た目で兵器に使えなさそうな貨物でも、16の項にあたることがあります。区分(リスト規制非該当かつ食品・木材でない)で判断します。
- 自社の品目が16の項(一)に入るかどうかを、品目表の単位で確かめておきます。(一)に入る品目は、確かめるべき要件が増えます。工作機械や集積回路を扱う会社では、この確認が実務の起点になります。
3. 根拠法令
e-Gov突合:済(2026-08-05)。輸出令(324CO0000000378)と外為令(355CO0000000260)を e-Gov 法令API v2 で取得し、改正前(asof=2025-10-01)と現行を条文で突き合わせて確認しました。16の項が(一)(二)に分かれたこと、(一)の12分類の中身、下欄の地域はいずれも現行条文で確認しています。
- 対象になる貨物は輸出令別表第1の16の項、対象になる技術は外為令別表の16の項です。16の項の下欄は「全地域(輸出令別表第3に掲げる地域を除く。)」と定めています。
- 16の項(一)は「経済産業省令で定めるもの」として12の分類を掲げ、(二)は関税定率法別表の類で範囲を定めています。
- グループA向けの根拠は、輸出令第1条第3項(外為法第48条第2項にもとづく許可の義務)と、輸出令第4条第2項(インフォームを受けていない場合は適用しない)です。
- グループAは輸出令別表第3、国連武器禁輸国は輸出令別表第3の2に掲げる地域です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- X社の担当者は、仕向地をグループA・国連武器禁輸国・それ以外の3つの層に分けて確かめた。この3つの層は、対象か対象外かを分ける線ではなく、働く要件の数を変える線である。解く
- X社の担当者が輸出令の別表を確かめたところ、別表第3(グループA)に掲げる地域は27か国、別表第3の2(国連武器禁輸国)に掲げる地域は10か国だった。解く
- 国連武器禁輸国は、非グループAとは別の枠として扱われる解く
- X社は、16の項に該当する貨物を大韓民国のY社へ輸出する。大韓民国は2023年7月に輸出令別表第3の地域(グループA)へ加えられ、現在も同表に掲げられている。解く
- X社が16の項(一)の貨物の輸出先を調べたところ、需要者Yが通常兵器の開発を行っていることが分かった。通常兵器の需要者要件は、通常兵器開発等省令の第二号(需要者が開発等を行う旨)と第三号(需要者が開発等を行った旨)が定めている。解く