個別許可と包括許可
契約ごとに受ける個別許可と、一定の範囲の反復する輸出をまとめて認める包括許可という、輸出許可の2つの受け方を使い分けの考え方とともに説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- 輸出許可には個別許可と包括許可という2つの受け方があることを説明できるようになります。
- どちらの許可が向くかを、取引の性質から判断できるようになります。
覚えること
- 個別許可は、契約ごとに申請して受ける許可です。申請のたびに、経済産業大臣が貨物・仕向地・需要者・用途を審査します。
- 包括許可は、一定の範囲の貨物と仕向地について、反復する輸出をまとめて認める許可です。有効期間の中では、範囲内の輸出を個別の申請なしに行えます。
- 包括許可には主に一般包括許可と特別一般包括許可があります。一般包括許可はグループA(輸出令別表第3の地域)向けに限られ、特別一般包括許可はより広い地域に使えるかわりに、輸出管理内部規程の整備などの要件が加わります。
- どちらの包括許可にも使えない地域や場面があり、そのときは個別許可に戻ります。
1. なぜ2つの受け方があるのか
輸出許可の原則は、契約ごとの個別許可です。審査のたびに取引の中身を確かめられるため、確実ですが、反復する取引では申請の負担が大きくなります。
そこで、輸出管理の体制が整った輸出者が、懸念の小さい範囲の輸出を繰り返す場合に、範囲をまとめて認めるのが包括許可です。負担を軽くするかわりに、輸出者自身がその範囲を守り続ける責任を負います。範囲を外れる輸出をすれば無許可輸出です。
この関係は、規制の緩和ではなく、審査の前倒しと考えると理解しやすくなります。包括許可では、個別の審査で確かめるはずのことを、申請者の体制と範囲の限定であらかじめ担保しています。
2. 使い分けの考え方
| 観点 | 個別許可 | 包括許可 |
|---|---|---|
| 単位 | 契約ごと | 一定の範囲の反復する輸出 |
| 向く場面 | 単発の取引、懸念のある地域や需要者 | 同じ範囲の貨物を繰り返し輸出する取引 |
| 主な条件 | 契約ごとの審査を受ける | 範囲の限定と、輸出管理の体制 |
包括許可の種類ごとの申請者の要件、対象範囲、失効や届出の条件は、第11章(許可申請手続・許可関連)でくわしく扱います。この節では、2つの受け方があることと、その考え方までを押さえます。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 包括許可は「どこの国にも輸出できる許可」ではありません。種類ごとに、使える貨物と地域の範囲が決まっています。
- 一般包括許可の対象はグループA向けに限られます。グループA以外へ広く使えるのは特別一般包括許可であり、両者の範囲の違いを区別します。
実務で気をつける点
- 包括許可の範囲内かどうかの判断は、輸出のたびに輸出者自身が行います。範囲の確認を怠って範囲外の輸出をすれば、無許可輸出として扱われます。
4. 根拠法令
- 外為法第48条第1項(輸出の許可等)。輸出許可の根拠条文です。個別許可も包括許可も、この条文の許可を受ける方法の違いです。
- 包括許可取扱要領。経済産業省が包括許可の種類・対象範囲・申請者の要件を定めています。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 包括許可を受ければ、対象の貨物をどこの国へでも個別の申請なしに輸出できる。
答え: 誤りです。包括許可は種類ごとに対象の貨物と地域が限定されており、範囲を外れる輸出には使えません。
問2 個別許可は契約ごとに申請して受ける許可であり、同じ貨物を同じ相手に繰り返し輸出する場合でも、契約が別であれば原則として申請も別になる。
答え: 正しいです。個別許可の単位は契約です。反復する輸出の負担を軽くするしくみが包括許可です。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 輸出令第4条第1項の柱書は、法第48条第1項の規定は次に掲げる場合には適用しない、と定めている。解く
- X社は、災害の被災地へ送る人道支援の物資として、リスト規制に該当する浄水装置を無償で輸出する。人道支援を目的とする輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- A大学は、共同研究のためリスト規制に該当する測定器をB国の研究機関へ輸出する。学術研究のための輸出であるから、輸出許可は不要である。解く
- X社は、政府開発援助として行う事業のためにリスト規制該当貨物を輸出する。この場合でも、輸出令第4条第1項に列挙されていない以上、輸出許可は必要である。解く
- X社は、リスト規制に該当する貨物をA国のY社へ輸出する。用途を確認したところ民生用途であることが明らかだった。民生用途であることが明らかであるから、輸出許可は不要である。解く