貨物等省令・告示・運用通達の位置づけ
該非判定の正本になる貨物等省令の構造と、政省令の委任を受ける告示、運用の細目を定める通達の位置づけを説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- 貨物等省令が、輸出令と外為令の両方の別表を受けて仕様を定める構造を説明できるようになります。
- 告示が、政省令の委任を受けて具体的な対象を定める形式であることを説明できるようになります。
- 通達が実務で果たす役割と、法令との違いを説明できるようになります。
覚えること
- 貨物等省令の正式名称は、輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令です。名称のとおり、2つの政令の別表を受けて規制の仕様を定めます。
- 貨物等省令は、前半(第1条から第14条の2まで)が輸出令別表第1の貨物の仕様を、後半(第15条から第28条まで)が外為令別表の技術の仕様を定めます。
- 告示は、政省令の「経済産業大臣が告示で定めるもの」という委任を受けて、具体的な対象を大臣が公示する形式です。
- 通達は法令ではなく、法令の解釈と運用の基準を行政内部に示す文書です。該非判定と許可申請の実務は、通達まで確認して完結します。
1. 貨物等省令は該非判定の正本
輸出令別表第1と外為令別表の中欄は、「経済産業省令で定めるもの」という形で仕様の線引きを省令にゆだねています。この委任を受けるのが貨物等省令です。
たとえば貨物等省令第1条は、輸出令別表第1の2の項(原子力関連)の仕様を定めます。その第3号には、重水素又は重水素化合物であって、重水素の原子数の水素の原子数に対する比率が5,000分の1を超えるもの、という数値基準があります。該当か非該当かは、この数値との照合で決まります。
規制の線引きが数値で書かれているため、該非判定の最終的な根拠は貨物等省令の条文です。実務で「省令スペック」と呼ばれるのはこの部分です。
2. 前半が貨物、後半が技術
貨物等省令は、1本の省令の中で貨物と技術を分けて定めています。
| 部分 | 条 | 受けている別表 | 定める内容 |
|---|---|---|---|
| 前半 | 第1条から第14条の2まで | 輸出令別表第1(貨物) | 各項の貨物の詳細な仕様 |
| 後半 | 第15条から第28条まで | 外為令別表(技術) | 各項の技術の詳細な仕様 |
たとえば輸出令別表第1の2の項の貨物は第1条が、外為令別表の2の項の技術は第15条が受け持ちます。該非判定では、まず別表の項番を特定し、次に貨物等省令の対応する条文の仕様と照合します。
3. 告示の位置づけ
政令や省令にも書ききれない具体的な対象は、告示にゆだねられます。条文に「経済産業大臣が告示で定めるもの」とあれば、その先に告示があります。
- 輸出令第4条第1項第2号は、無償特例の対象になる貨物の指定を告示にゆだねています。実務ではこの告示を無償告示と呼びます。
- 輸出令別表第3の3は、「経済産業大臣が告示で定めるもの」という形で、少額特例の金額が厳しくなる貨物の指定を告示にゆだねています。
告示は、法律、政令、省令の委任の連鎖の末端にあります。委任を受けた範囲の具体的な指定という点で、法令の体系の一部として働きます。
4. 通達の役割
通達は、法令の条文をどう解釈し、どう運用するかを行政内部に示す文書です。輸出管理の実務でよく参照する通達には、次のものがあります。
| 略称 | 役割 |
|---|---|
| 運用通達 | 輸出令の解釈と運用の細目を定める |
| 役務通達 | 許可を要する技術提供の取引・行為の解釈と運用を定める |
| キャッチオール規制通達(補完規制通達) | 大量破壊兵器と通常兵器の補完的輸出規制の輸出手続を定める |
| 提出書類通達 | 許可申請で提出する書類と注意事項を定める |
通達そのものは法令ではありません。しかし、どの様式で何を提出するか、条文の言葉を実務でどう当てはめるかは、通達が決めています。法令で許可の要否を判断し、通達で手続と解釈を確かめる、という2段構えが実務の型です。
5. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 貨物等省令は、輸出令別表第1だけでなく外為令別表も受けています。「貨物等省令は貨物だけを定める」という記述は誤りです。名称に「貨物又は技術」とあることを思い出しましょう。
- 該非判定の数値基準を定めるのは貨物等省令です。別表そのものに詳細な数値が書かれているわけではありません。
実務で気をつける点
- 貨物等省令は改正が多く、数値基準そのものが変わります。過去の該非判定の結果を使い回さず、判定時点の版の条文と照合し直しましょう。
- 通達の変更は法令の改正とは別に行われます。法令が変わっていなくても、運用が変わることがあります。
6. 根拠法令
- 貨物等省令(輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令)。第1条から第14条の2までが輸出令別表第1関係、第15条から第28条までが外為令別表関係の仕様を定めます。第1条第3号に本文で挙げた重水素の数値基準があります。
- 輸出令別表第1・外為令別表。中欄の「経済産業省令で定めるもの」の言葉が、貨物等省令への委任です。
- 輸出令第4条第1項第2号・別表第3の3。「経済産業大臣が告示で定めるもの」の言葉が、告示への委任です。
- 条文は、e-Gov 法令検索の各法令(frontmatter に記載の法令版ID・各施行時点)で確認しています。
7. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 貨物等省令は、輸出令別表第1に掲げる貨物と外為令別表に掲げる技術の両方について、詳細な仕様を定めている。
答え: 正しいです。正式名称のとおり、2つの政令の別表の規定に基づいて貨物又は技術を定める省令です。
問2 該非判定で照合する性能や仕様の数値基準は、外為法の条文に直接書かれている。
答え: 誤りです。外為法は許可制の枠組みを定めるだけで、数値基準は委任の連鎖の先にある貨物等省令が定めています。
問3 通達は法令の一種であり、国会の議決を経て制定される。
答え: 誤りです。通達は法令ではなく、法令の解釈と運用の基準を行政内部に示す文書です。国会の議決で成立するのは法律です。
分からなかった点・気になった点
読み込み中です。
この章の問題を解く
章のまとめへ- 輸出令別表第1は品目の表であり、1から16までの項で整理される。解く
- 輸出令別表第1の1から15までの項の下欄は、全地域である。解く
- 輸出令別表第1の16の項の下欄は、全地域である。解く
- 輸出令別表第3は地域の表であり、輸出管理の整った27か国を掲げる。解く
- 輸出令別表第4は、輸出管理の整った国を掲げる表である。解く