別表の体系(別表第1は品目・別表第3は地域・別表第4は懸念国)
輸出令の別表第1(品目)、別表第3(地域)、別表第4(懸念国)を中心に、別表がどう役割分担しているかを条文の使われ方から説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- 輸出令別表第1が品目の表であり、1から16までの項で規制貨物を整理していることを説明できるようになります。
- 別表第3、別表第3の2、別表第4が地域の表であり、規制の軽重の基準になることを説明できるようになります。
- 外為令には別表が1本しかなく、地域は輸出令の別表を参照することを説明できるようになります。
覚えること
- 別表第1は品目の表です。中欄に貨物を、下欄に地域を掲げ、1から16までの項で整理します。1から15までの項の下欄は全地域、16の項の下欄は全地域(別表第3に掲げる地域を除く)です。
- 別表第3は地域の表です。輸出管理の整った27か国を掲げ、いわゆるグループAと呼ばれます。
- 別表第4はイラン、イラク、北朝鮮の3か国を掲げます。少額特例が使えないなど、最も厳しい取り扱いの基準になる地域です。
- 別表第3の2は、通常兵器の懸念に関する確認が上乗せされる10の国・地域を掲げます。
1. 別表第1は品目の表
別表第1は、輸出令第1条(許可)と第4条(特例)から参照される、規制貨物の一覧です。1の項が武器、2から15までの項が大量破壊兵器関連と通常兵器関連の汎用品、16の項がキャッチオール規制の対象品目です。
下欄の地域は、項によって違います。
| 項 | 中欄(品目) | 下欄(地域) |
|---|---|---|
| 1の項 | 武器 | 全地域 |
| 2から15までの項 | リスト規制の汎用品 | 全地域 |
| 16の項 | キャッチオール規制の対象品目 | 全地域(別表第3に掲げる地域を除く) |
リスト規制(1から15までの項)は仕向地を問わず全地域向けが対象です。「友好国向けなら許可は不要」という思い込みは、この下欄の定めに反します。一方、16の項は別表第3の地域が除かれます。地域の表が品目の表の下欄に組み込まれて、規制の範囲を決めています。
2. 別表第3はグループAの地域の表
別表第3は、第4条(特例)から参照される地域の表で、次の27か国を掲げます。アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国です。
この地域は実務でグループAと呼ばれます。16の項の下欄から除かれるため、キャッチオール規制の対象外の仕向地になります。包括許可の取り扱いでも優遇があります。
大韓民国が含まれる点は覚えておきましょう。2023年7月の改正で追加された、比較的新しい掲載国です。
3. 別表第3の2と別表第4
残る2つの地域の表は、規制を厳しくする方向で働きます。
| 別表 | 掲げる国・地域 | 条文上の働き |
|---|---|---|
| 別表第3の2 | アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダンの10の国・地域 | この地域向けの輸出では、通常兵器の用途の懸念に関する確認が上乗せされる(第4条第1項第4号) |
| 別表第4 | イラン、イラク、北朝鮮の3か国 | この地域向けの輸出では少額特例が使えない(第4条第1項第5号) |
別表第4の3か国は、カリキュラム上は懸念国と呼ばれる地域です。リスト規制品の許可申請でも、この3か国向けは経済産業省がとくに厳しく審査します。
なお、別表第3の3は地域ではなく貨物の表です。ここに掲げる貨物は、少額特例の金額の基準が100万円から5万円に下がります(第4条第1項第5号)。
4. 外為令の別表は1本
外為令の別表は「別表」の1本だけです。中欄に技術を、下欄に外国を掲げ、輸出令別表第1と同じ1から16までの項番号で整理されています。16の項の下欄は、全地域(輸出貿易管理令別表第3に掲げる地域を除く)です。
外為令は、地域の表を自分では持ちません。グループAの範囲が必要な場面では、条文が輸出令別表第3をそのまま参照します。地域区分の正本が輸出令にあると押さえておくと、条文が読みやすくなります。
5. そのほかの別表の位置づけ
輸出令には、別表第2から別表第2の4まで、別表第5から別表第7までの別表もあります。別表第2から別表第2の4までは輸出の承認(第2条)に、別表第5から別表第7までは承認の特例(第4条)に関わる別表です。
安全保障輸出管理の許可制で中心になるのは、別表第1と、別表第3から別表第4までの地域の表です。承認の制度の別表とは役割が違うことだけ、ここでは押さえておきましょう。
6. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 別表第1の1から15までの項の下欄は全地域です。「グループA向けならリスト規制品でも許可不要」という記述は誤りです。除かれるのは16の項(キャッチオール規制)だけです。
- 別表第3(グループA)と別表第4(イラン、イラク、北朝鮮)の取り違えに注意しましょう。方向が正反対の地域の表です。
- イラクは別表第3の2と別表第4の両方に掲げられています。掲載国を問う正誤問題で迷いやすい点です。
実務で気をつける点
- 地域の表は改正で変わります。大韓民国の追加のように、掲載国の出入りがあるため、判定時点の版の条文で確認しましょう。
7. 根拠法令
- 輸出令別表第1(第1条、第4条関係)。中欄に貨物、下欄に地域を掲げます。16の項の下欄は「全地域(別表第三に掲げる地域を除く。)」です。
- 輸出令別表第3・別表第3の2・別表第3の3・別表第4(いずれも第4条関係)。掲載国・地域と貨物は本文のとおりです。
- 輸出令第4条第1項第4号・第5号(特例)。別表第3の2、別表第3の3、別表第4の条文上の働きの根拠です。
- 外為令別表(第17条関係)。16の項の下欄は「全地域(輸出貿易管理令別表第三に掲げる地域を除く。)」です。
- 条文は、e-Gov 法令検索の各法令(frontmatter に記載の法令版ID・2026年6月5日施行時点)で確認しています。
8. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 輸出令別表第1の2から15までの項に該当する貨物は、別表第3に掲げる地域を仕向地とする場合、輸出許可が不要である。
答え: 誤りです。1から15までの項の下欄は全地域であり、グループA向けでも許可が必要です。別表第3の地域が除かれるのは16の項です。
問2 輸出令別表第4に掲げる地域は、イラン、イラク、北朝鮮の3か国である。
答え: 正しいです。この3か国向けの輸出では、少額特例が使えません。
問3 外為令は、輸出令とは別に、グループAの国・地域を掲げる独自の別表を持っている。
答え: 誤りです。外為令の別表は技術の一覧の1本だけで、地域は輸出令別表第3を参照しています。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 輸出令別表第1は品目の表であり、1から16までの項で整理される。解く
- 輸出令別表第1の1から15までの項の下欄は、全地域である。解く
- 輸出令別表第1の16の項の下欄は、全地域である。解く
- 輸出令別表第3は地域の表であり、輸出管理の整った27か国を掲げる。解く
- 輸出令別表第4は、輸出管理の整った国を掲げる表である。解く