政省令等の略称と正式名称の読みこなし
外為法・輸出令・貨物等省令などの略称と正式名称を対応づけ、長い正式名称から法令の役割と委任関係を読み取れるようになります。
この節で学ぶこと
- 輸出管理の実務と試験で使われる法令の略称を、正式名称と対応づけられるようになります。
- 長い正式名称を分解して、その法令の対象と委任関係を読み取れるようになります。
- 告示・通達の略称が、どの実務手続を指しているかを説明できるようになります。
覚えること
- 外為法の正式名称は外国為替及び外国貿易法です。輸出管理の条文だけでなく、外国為替や対内直接投資の管理も同じ法律に入っています。
- 輸出令の正式名称は輸出貿易管理令、外為令の正式名称は外国為替令です。どちらも外為法の下にある政令で、輸出令が貨物、外為令が技術の規制リストを別表に持ちます。
- 貨物等省令の正式名称は、輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令です。名称そのものが2つの政令の別表からの委任を表しています。
- 正式名称は e-Gov 法令検索で確認できます。社内規程や申請書類で法令名を引用するときは、正式名称と条番号で書くのが基本です。
1. 略称は正式名称への入口
輸出管理の文書は、ほとんどが略称で書かれています。試験の問題文も、実務の該非判定書や社内規程も、「外為法第48条第1項」「輸出令別表第1」という形で法令を呼びます。
一方で、法令の正体を確かめる場面では正式名称が必要です。e-Gov 法令検索は正式名称で引く仕組みですし、許可申請書に引用する条文も正式名称が基準です。略称と正式名称を対応づけられることは、法令を自分で確かめられることと同じ意味を持ちます。
正式名称には、その法令の対象と、どの法令から委任を受けているかが書き込まれています。長い名称を暗記する必要はありません。読み方の型を知っていれば、名称から役割を復元できます。
2. 主要な法令の略称と正式名称
次の8本は、e-Gov 法令検索の名称と照合済みの対応です。
| 略称 | 正式名称 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 外為法 | 外国為替及び外国貿易法 | 法律。輸出管理の土台 |
| 輸出令 | 輸出貿易管理令 | 政令。貨物の規制(別表第1) |
| 外為令 | 外国為替令 | 政令。技術の規制(別表) |
| 貨物等省令 | 輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令 | 省令。リスト規制の仕様 |
| おそれ省令(大量破壊兵器) | 輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令 | 省令。キャッチオール規制の要件 |
| おそれ省令(通常兵器) | 輸出貨物が輸出貿易管理令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物(核兵器等に該当するものを除く。)の開発、製造又は使用のために用いられるおそれがある場合を定める省令 | 省令。キャッチオール規制の要件 |
| 輸出貿易管理規則 | 輸出貿易管理規則 | 省令。申請手続の細目 |
| 貿易外省令 | 貿易関係貿易外取引等に関する省令 | 省令。役務取引の手続 |
輸出令と外為令は名前が似ていますが、輸出令は「輸出貿易」の管理、外為令は「外国為替」の政令であり、輸出管理の文脈では貨物と技術という対象の違いに対応します。
3. 正式名称の読みこなし方
長い正式名称は、「どの法令の委任を受けて」「何を定めるか」という2つの部分に分けて読みます。
貨物等省令を例にすると、前半の「輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき」が委任元を、後半の「貨物又は技術を定める」が対象を表します。名称を読むだけで、この省令が輸出令と外為令の両方の別表を受けて、貨物と技術の両方の仕様を定めることが分かります。
おそれ省令(大量破壊兵器)も同じ型で読めます。「輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合」という部分が、この省令の定める中身そのものです。キャッチオール規制で許可が必要になる「おそれ」の要件を定める省令だと、名称から読み取れます。
省令の名称に別の法令の名前が埋め込まれているときは、その法令が委任元です。委任の連鎖(法律から政令、政令から省令)は、名称の中に残ります。
4. 告示・通達の略称
告示と通達も、実務では略称で呼ばれます。次の略称は、役割とあわせて覚えます。
| 略称 | 役割 |
|---|---|
| 無償告示 | 無償特例の対象になる貨物を指定する |
| 運用通達 | 輸出令の解釈と運用の細目を定める |
| 役務通達 | 許可を要する技術提供の取引・行為の解釈と運用を定める |
| キャッチオール規制通達(補完規制通達) | 大量破壊兵器と通常兵器の補完的輸出規制の輸出手続を定める |
| 提出書類通達 | 許可申請で提出する書類と注意事項を定める |
| 包括許可取扱要領 | 包括許可の種類と取得・使用の手続を定める |
告示・通達は e-Gov 法令検索には載っていません。経済産業省の安全保障貿易管理のサイトで公表されており、改正も法令とは別に行われます。参照するときは、必ず最新の版を確かめます。
5. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 外為令の正式名称は「外国為替令」であり、「外国為替管理令」ではありません。また輸出令と外為令を取り違えさせる問題は頻出です。輸出令が貨物、外為令が技術という対応を軸に判断しましょう。
- 貨物等省令という略称から「貨物だけの省令」と誤解させる出題があります。正式名称に「貨物又は技術」とあるとおり、技術の仕様も定めています。
実務で気をつける点
- 社内規程や該非判定書で法令を引用するときは、どの版(施行時点)の条文かを添えます。略称は社内で通じても、監査や当局とのやり取りでは正式名称と条番号が基準です。
- 貿易外省令のように、略称から内容を想像しにくい法令があります。略称だけで判断せず、初めて出会う法令名は e-Gov で正式名称と目次を確かめる習慣をつけましょう。
6. 根拠法令
- 外国為替及び外国貿易法・輸出貿易管理令・外国為替令・貨物等省令。名称と条文は e-Gov 法令検索(frontmatter に記載の法令版ID・各施行時点)で確認しています。
- おそれ省令2本・輸出貿易管理規則・貿易外省令の正式名称は、出題範囲の法令接地(
04_Knowledge/10_資格/安全保障輸出管理実務能力認定試験/01_出題範囲の法令接地.md)の e-Gov 照合結果に一致させています。 - 告示・通達の正式名称は照合中のため、本文では略称と役割のみを記載しています。
7. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 外為法の正式名称は「外国為替及び外国貿易法」であり、輸出管理のほかに外国為替の管理も同じ法律が定めている。
答え: 正しいです。輸出管理は外為法の一部であり、外国為替や対内直接投資の管理と同じ法律に収められています。
問2 貨物等省令は、輸出貿易管理令別表第一の規定のみに基づいて貨物の仕様を定める省令である。
答え: 誤りです。正式名称のとおり、輸出令別表第1と外為令別表の両方の規定に基づき、貨物と技術の両方の仕様を定めています。
問3 運用通達や役務通達は e-Gov 法令検索で正式名称を確認できる。
答え: 誤りです。通達は法令ではないため e-Gov 法令検索には載っておらず、経済産業省の安全保障貿易管理のサイトで公表されています。
8. 用語の確認
この章の用語を、カードで確かめましょう。用語を見て意味を思い出し、カードを押して答え合わせをします。
表 外為法(外国為替及び外国貿易法)
分からなかった点・気になった点
読み込み中です。
この章の問題を解く
章のまとめへ- 輸出令別表第1は品目の表であり、1から16までの項で整理される。解く
- 輸出令別表第1の1から15までの項の下欄は、全地域である。解く
- 輸出令別表第1の16の項の下欄は、全地域である。解く
- 輸出令別表第3は地域の表であり、輸出管理の整った27か国を掲げる。解く
- 輸出令別表第4は、輸出管理の整った国を掲げる表である。解く