輸出令(別表第1)と外為令(別表)の役割
貨物を規制する輸出令と技術を規制する外為令の分担を、別表の中欄と下欄の構造、貨物等省令への再委任とあわせて説明できるようになります。
この節で学ぶこと
- 貨物は輸出令、技術は外為令という政令2本の分担を説明できるようになります。
- 輸出令別表第1と外為令別表の、中欄と下欄の構造を読めるようになります。
- 別表から貨物等省令への再委任と、手続を定める省令の役割を説明できるようになります。
覚えること
- 輸出貿易管理令(以下、輸出令)は、外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)第48条第1項の委任を受けて、許可が必要な貨物と仕向地を定める政令です。
- 外国為替令(以下、外為令)は、外為法第25条第1項の委任を受けて、許可が必要な技術と提供先を定める政令です。
- 輸出令別表第1と外為令別表は、中欄に規制対象(貨物・技術)を、下欄に地域(仕向地・提供先の外国)を掲げます。
- 別表の各項の詳細な仕様は、貨物等省令が定めます。許可申請の手続は、輸出貿易管理規則(貨物)と貿易外省令(技術)が定めます。
1. 政令2本の分担
外為法の許可制は、貨物の輸出(第48条第1項)と技術の提供(第25条第1項)の2本柱です。この2本柱に対応して、細目を定める政令も2本に分かれています。
| 観点 | 輸出令 | 外為令 |
|---|---|---|
| 対象 | 貨物(モノの移動) | 技術(情報の移動) |
| 委任元の条文 | 外為法第48条第1項 | 外為法第25条第1項 |
| 規制の一覧 | 別表第1 | 別表 |
| 許可の名称 | 輸出許可 | 役務取引許可 |
| 手続を定める省令 | 輸出貿易管理規則 | 貿易外省令 |
「輸出令が貨物、外為令が技術」という分担は、この章で最も重要な対応関係です。名前が似ているため取り違えやすく、正誤問題の定番でもあります。
2. 別表の中欄と下欄の構造
輸出令第1条第1項は、外為法第48条第1項の「特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出」を、次のように具体化します。別表第1の中欄に掲げる貨物を、同表の下欄に掲げる地域を仕向地として輸出すること。
外為令第17条第1項も同じ構造です。別表の中欄に掲げる技術を、同表の下欄に掲げる外国で提供する取引、またはその外国の非居住者に提供する取引が、許可の対象になります。
| 欄 | 輸出令別表第1 | 外為令別表 |
|---|---|---|
| 中欄 | 規制対象の貨物 | 規制対象の技術 |
| 下欄 | 仕向地となる地域 | 提供先となる外国 |
該非判定で「何の項の中欄に当たるか」を特定するのは、この構造が理由です。規制の要否は、中欄の品目と下欄の地域の組み合わせで決まります。
3. 別表から貨物等省令への再委任
別表の中欄を読むと、「経済産業省令で定めるもの」という言葉が繰り返し現れます。別表は品目の枠を掲げるだけで、規制の線引きとなる性能や仕様の数値は、省令にゆだねているからです。
この委任を受けるのが貨物等省令です。輸出令別表第1の貨物と、外為令別表の技術の両方について、詳細な仕様を1本の省令が定めます。貨物等省令の中身は、次の節で扱います。
4. 外為令の技術は貨物のリストと対応する
外為令別表の中欄は、多くの項で「輸出貿易管理令別表第一の何の項の中欄に掲げる貨物の設計、製造又は使用に係る技術」という書き方をしています。技術の規制リストが、貨物の規制リストを参照して組み立てられているからです。
規制対象の貨物があれば、その設計・製造・使用の技術も対になって規制の対象になります。この対応があるため、貨物と技術は同じ項番号の体系(1から16までの項)で整理されています。
5. 輸出令には輸出承認という別の制度もある
輸出令が定めるのは、安全保障目的の輸出許可(第1条・別表第1)だけではありません。第2条は、別表第2に掲げる貨物などについて、経済産業大臣の承認を受ける義務を定めています。
承認の制度は、外為法第48条第3項に基づきます。同項が掲げる目的は、国際収支の均衡の維持、外国貿易及び国民経済の健全な発展、国際約束の誠実な履行、国際平和のための国際的な努力への寄与、閣議決定の実施の5つで、安全保障に限らない広がりを持ちます。安全保障輸出管理の学習の中心は第1条の許可ですが、輸出令を読むときは、許可(第1条)と承認(第2条)が別の制度だと区別しましょう。
6. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 「外為令が貨物の輸出を定める」という記述は誤りです。分担は、輸出令が貨物、外為令が技術です。
- 別表第1は輸出令の、別表(項番のみの表)は外為令の別表です。「外為令別表第1」という表記は正しくありません。
- 輸出の許可(第48条第1項)と輸出の承認(第48条第3項・輸出令第2条)は別の制度です。混同させる正誤問題に注意しましょう。
実務で気をつける点
- 貨物を輸出するときは、貨物の該非判定だけでは終わりません。取扱説明書や図面、据付けの技術指導が伴えば、外為令の技術規制の確認も必要になります。モノの輸出には技術の提供が付随しやすいからです。
7. 根拠法令
- 外為法第48条第1項(輸出の許可等)・第25条第1項(役務取引等)。政令2本への委任元です。
- 輸出令第1条(輸出の許可)。許可対象を「別表第1中欄に掲げる貨物の同表下欄に掲げる地域を仕向地とする輸出」と定めます。第2項が手続を経済産業省令(輸出貿易管理規則)にゆだねます。
- 外為令第17条(役務取引の許可等)。許可対象を「別表中欄に掲げる技術を同表下欄に掲げる外国において提供することを目的とする取引」などと定めます。第6項が手続を経済産業省令(貿易外省令)にゆだねます。
- 輸出令第2条(輸出の承認)・外為法第48条第3項。輸出許可とは別の、輸出承認の制度を定めます。
- 条文は、e-Gov 法令検索の各法令(frontmatter に記載の法令版ID・各施行時点)で確認しています。
8. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 輸出令別表第1は、中欄に規制対象の貨物を、下欄に仕向地となる地域を掲げている。
答え: 正しいです。輸出令第1条第1項が、中欄の貨物を下欄の地域へ輸出する行為を許可の対象と定めています。
問2 外為令別表の中欄に掲げる技術の多くは、輸出令別表第1の貨物の設計、製造又は使用に係る技術として定められている。
答え: 正しいです。技術の規制リストは貨物の規制リストと対応しており、同じ項番号の体系で整理されています。
問3 輸出令第2条の輸出の承認は、外為法第48条第1項の輸出の許可と同じ制度である。
答え: 誤りです。承認は外為法第48条第3項に基づく制度であり、安全保障目的の輸出許可(第48条第1項・輸出令第1条)とは別のものです。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 輸出令別表第1は品目の表であり、1から16までの項で整理される。解く
- 輸出令別表第1の1から15までの項の下欄は、全地域である。解く
- 輸出令別表第1の16の項の下欄は、全地域である。解く
- 輸出令別表第3は地域の表であり、輸出管理の整った27か国を掲げる。解く
- 輸出令別表第4は、輸出管理の整った国を掲げる表である。解く