決算整理 費用・収益の前払い・前受け・未払い・未収
決算で、費用・収益のうち当期に属さない分や、まだ記録していない当期分を、前払費用・前受収益・未払費用・未収収益で調整できるようになります。
ねらい
支払った費用や受け取った収益の中には、当期の分と次期の分が混ざっていることがあります。 このレッスンでは、これを当期の正しい金額に直す決算整理を学びます。前払い・前受け・未払い・未収の4つの調整を、経過勘定(けいかかんじょう)という勘定を使って処理できるようになりましょう。
ストーリー
文房具店では、火災保険の保険料を1年分まとめて前払いしています。 ところが、その1年分には、当期にまだ来ていない先の期間の分まで含まれていることがあります。前払いした保険料のうち、次の期に対応する分まで当期の費用にしてしまうと、当期の費用が多すぎることになります。 反対に、当期にすでに使ったのに、まだ支払っていない費用もあります。たとえば、借入金の利息で、支払いが次の期になるものです。これは、当期の費用としてまだ記録されていません。 決算では、こうした費用や収益のずれを当期の正しい金額に直します。
ポイント
前払い・前受けは次期の分を当期から取り除く調整、未払い・未収は当期の分を新たに加える調整です。
前払いと前受けの仕訳
まず、すでに支払ったり受け取ったりしたもののうち、次期に属する分を取り除く調整です。 「当期の12月1日に、向こう1年分の保険料12,000円を現金で支払い、全額を保険料として処理していた。決算は3月31日である」取引を考えてみましょう。 12月から3月までの4か月分が当期の費用で、4月以降の8か月分は次期の費用です。次期の分は、12,000円の8か月分にあたる8,000円です。この8,000円を、当期の費用から取り除き、前払保険料という資産として次期へ繰り越します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 前払保険料 | 8,000 | 保険料 | 8,000 |
次期の費用を当期から取り除くので、保険料を貸方に書いて減らします。 取り除いた分は、次期に費用となる権利として前払保険料に残します。前払保険料は資産にあたり、資産が増えたときは借方へ記入するので、借方に書きます。 収益を前受けしているときも同じ考え方で、次期分を収益から取り除き、前受収益として負債に振り替えます。
未払いと未収の仕訳
次は、当期に属するのにまだ記録していない分を、新たに加える調整です。 「借入金について、当期分の利息5,000円がまだ支払われていない。決算でこの当期分を計上する」取引です。 当期にすでに発生した費用なので、まだ支払っていなくても当期の費用に計上します。支払う義務は、未払利息という負債で記録します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 支払利息 | 5,000 | 未払利息 | 5,000 |
当期の費用を加えるので、支払利息を借方に書きます。 まだ支払っていない分は、後で支払う義務なので未払利息で記録します。未払利息は負債にあたり、負債が増えたときは貸方へ記入するので、貸方に書きます。 収益が未収のときも同じ考え方で、当期分の収益を加え、未収収益として資産に計上します。
例題
それでは、未収の収益を自分で仕訳にしてみましょう。 「貸付金について、当期分の利息3,000円がまだ受け取られていない。決算でこの当期分を計上する」取引です。
解答は次のとおりです。 当期にすでに発生した収益なので、まだ受け取っていなくても当期の収益に計上します。 受け取る権利は、未収利息という資産で記録します。未収利息は資産にあたり、資産が増えたときは借方へ記入するので、借方に書きます。 受取利息は収益にあたり、当期分を加えるので貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未収利息 | 3,000 | 受取利息 | 3,000 |
応用
最後に、収益を前受けしている場合を見てみましょう。 「当期の2月1日に、向こう半年分の家賃18,000円を現金で受け取り、全額を受取家賃として処理していた。決算は3月31日である」取引です。
解答は次のとおりです。 2月から3月までの2か月分が当期の収益で、4月以降の4か月分は次期の収益です。次期の分は、18,000円の4か月分にあたる12,000円です。 次期の収益を当期から取り除くので、受取家賃を借方に書いて減らします。 取り除いた分は、次期に収益となるまで預かっている義務として、前受家賃という負債に振り替えます。前受家賃は負債にあたり、負債が増えたときは貸方へ記入するので、貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 受取家賃 | 12,000 | 前受家賃 | 12,000 |
確認問題
学んだ内容を計算し、自分で仕訳にして確かめてみましょう。解答はそのすぐ後に示します。
問1. 決算で、当期分の支払家賃のうち、まだ支払っていない当期分6,000円を計上する。
解答1. 当期分の費用を加え、未払いの分を未払家賃(未払費用)で記録します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 6,000 | 未払家賃 | 6,000 |
問2. 当期の10月1日に向こう1年分の保険料24,000円を支払い、全額を保険料としていた。決算(3月31日)で次期分を繰り越す。
解答2. 10月から3月までの6か月分が当期、4月以降の6か月分が次期です。次期分は12,000円を前払保険料へ振り替えます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 前払保険料 | 12,000 | 保険料 | 12,000 |
分からなかった点・気になった点
読み込み中です。
この章の問題を解く
章のまとめへ- 翌期首に貯蔵品(収入印紙)を費用へ再振替するときの仕訳解く
- 翌期首に貯蔵品(郵便切手)を費用へ再振替するときの仕訳解く
- 翌期首に貯蔵品(収入印紙と郵便切手の両方)を費用へ再振替するときの仕訳解く
- 決算整理後残高試算表の作成解く
- 精算表の作成解く