減価償却と間接法
定額法と定率法で1年分の減価償却費を計算し、減価償却累計額を使う間接法で記帳できるようになります。期中取得の月割計算も扱います。
ねらい
建物や備品などの有形固定資産は、使っていくうちに古くなり、その価値が少しずつ減っていきます。 このレッスンでは、この価値の減少を、決算で費用として計上する減価償却(げんかしょうきゃく)を学びます。1年分の費用を定額法と定率法(ていりつほう)で計算し、減価償却累計額を使って記帳する間接法(かんせつほう)を身につけましょう。
ストーリー
文房具店が買った備品は、使い始めたその日から、少しずつすり減っていきます。 備品を買った年に取得原価のすべてを費用にしてしまうのは、実態に合いません。その備品は何年にもわたって事業に役立つからです。そこで、価値の減少を、使う年数に分けて少しずつ費用にしていきます。これが減価償却の考え方です。 1年分の費用の求め方には、毎年同じ金額ずつ価値が減っていくと考える定額法(ていがくほう)と、毎年同じ割合ずつ価値が減っていくと考える定率法(ていりつほう)があります。まず定額法を学び、そのあとで定率法を学びます。 記帳の仕方では、どちらの方法でも、固定資産そのものの金額は減らさず、価値の減少分を減価償却累計額(げんかしょうきゃくるいけいがく)という別の勘定に積み上げていく間接法を使います。
注意
定率法は、2027年度の出題区分表改定で2級から3級に移る論点です。2027年4月1日以降に施行される3級の試験から出題の対象となり、2026年度中に3級を受験する場合は3級では出題されません(現行の2022年度区分表では2級の論点です)。自分が受ける試験の年度に合わせて確認しましょう。
定額法の計算と間接法の仕訳
定額法では、1年分の減価償却費を次のように計算します。
ポイント
取得原価から残存価額(耐用年数が過ぎた後に残ると見込む価値)を引き、それを耐用年数で割ります。
「備品(取得原価300,000円、残存価額はゼロ、耐用年数5年)について、決算で定額法により減価償却を行う。記帳は間接法による」取引を考えてみましょう。 1年分の減価償却費は、300,000円からゼロを引いた金額を5年で割って、60,000円です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 60,000 | 備品減価償却累計額 | 60,000 |
減価償却費は費用にあたり、費用が発生したときは借方へ記入するので、減価償却費を借方に書きます。
注意
間接法では、備品そのものは減らしません。
価値の減少分を、備品減価償却累計額という評価勘定に積み上げます。この勘定は備品を間接的に減らす役割を持ち、残高は貸方に出ます。増えるときは貸方へ記入するので、備品減価償却累計額を貸方に書きます。 備品の取得原価300,000円はそのまま帳簿に残り、減価償却累計額が毎年60,000円ずつ増えていきます。取得原価から減価償却累計額を差し引いた金額が、その時点での帳簿価額(ちょうぼかがく)です。
残存価額がゼロでないときも、計算のやり方は同じです。「備品(取得原価500,000円、残存価額は取得原価の10%、耐用年数9年)について、決算で定額法により減価償却を行う」場合で確かめてみましょう。残存価額は500,000円の10%にあたる50,000円です。1年分の減価償却費は、取得原価500,000円から残存価額50,000円を引いた450,000円を、耐用年数9年で割って50,000円になります。
例題
それでは、建物の減価償却を自分で仕訳にしてみましょう。 「建物(取得原価1,000,000円、残存価額はゼロ、耐用年数20年)について、決算で定額法により減価償却を行う。記帳は間接法による」取引です。
解答は次のとおりです。 1年分の減価償却費は、1,000,000円を20年で割って50,000円です。 減価償却費は費用にあたり、費用が発生したときは借方へ記入するので、借方に書きます。 建物減価償却累計額は評価勘定で、増えるときは貸方へ記入するので、貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000 | 建物減価償却累計額 | 50,000 |
応用
最後に、期の途中で取得した固定資産の減価償却を見てみましょう。 固定資産を期の途中で取得したときは、使い始めてから決算までの月数に応じて、1年分の減価償却費を月割りで計算します。 「当期の10月1日に取得した備品(取得原価240,000円、残存価額はゼロ、耐用年数4年)について、決算(3月31日)で定額法により減価償却を行う。記帳は間接法による」取引です。
解答は次のとおりです。
まず、1年分の減価償却費を求めます。240,000円を4年で割って60,000円です。
次に、使った期間で月割りします。10月1日から3月31日までは6か月なので、1年分の60,000円に12か月のうち6か月分を掛けて、30,000円となります。
減価償却費は費用にあたり、費用が発生したときは借方へ記入するので、借方に書きます。 備品減価償却累計額は評価勘定で、増えるときは貸方へ記入するので、貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 30,000 | 備品減価償却累計額 | 30,000 |
動かして確かめる
取得月を動かすと、決算までの使用月数と、月割りした当期の減価償却費が変わります。まずは10月に合わせて、上の答えと同じになることを確かめてみましょう。
スタディード / 動く解説
期の途中で取得したら、使った月数だけ月割りする。
取得月を動かすと、決算(3月)までの使用月数と、月割りした当期の減価償却費が変わります。
備品(取得原価240,000円、残存価額ゼロ、耐用年数4年)を定額法で償却します。 1年分の減価償却費は、240,000円を4年で割って60,000円(年額)です。
定率法
ここまでの定額法は、毎年同じ金額ずつ価値が減っていくと考える方法でした。もう一つの方法である定率法(ていりつほう)は、毎年の期首時点の帳簿価額(取得原価から、それまでの減価償却累計額を差し引いた金額)に、一定の割合(償却率)をかけて、その年の減価償却費を計算します。
ポイント
定額法は「毎年同じ金額」、定率法は「毎年同じ割合」で価値の減少を計上します。定率法では帳簿価額が年々小さくなっていくため、減価償却費も年を追うごとに少なくなっていきます。
1年目は、まだ減価償却累計額がないので、期首の帳簿価額は取得原価とそのまま同じ金額になります。「備品(取得原価200,000円)を当期首に取得し、定率法(償却率0.4)により減価償却を行う。記帳は間接法による」取引を考えてみましょう。 期首の帳簿価額は取得原価と同じ200,000円なので、1年分の減価償却費は、200,000円に償却率0.4をかけて80,000円です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 80,000 | 備品減価償却累計額 | 80,000 |
2年目以降は、期首の帳簿価額が毎年変わるので、そのつど取得原価から減価償却累計額を差し引いて求めます。同じ備品について、翌期末の減価償却を考えてみましょう。 期首の帳簿価額は、取得原価200,000円から前期末の減価償却累計額80,000円を差し引いた120,000円です。これに償却率0.4をかけると、2年目の減価償却費は48,000円になります。1年目の80,000円より少なくなっている点に注目しましょう。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 48,000 | 備品減価償却累計額 | 48,000 |
問題では、取得原価と「これまでの減価償却累計額」が与えられることが多いので、まず帳簿価額(取得原価-減価償却累計額)を求めてから償却率をかける、という手順を覚えておきましょう。1年目だけは減価償却累計額がゼロなので、帳簿価額は取得原価と同じになります。
用語の確認
3級で学ぶ資産の評価勘定を、カードで確かめましょう。用語を見て意味を思い出し、カードを押して答え合わせをします。
表 貸倒引当金
確認問題
学んだ内容を計算して、自分で仕訳にして確かめてみましょう。解答はそのすぐ後に示します。
問1. 備品(取得原価500,000円、残存価額はゼロ、耐用年数10年)について、決算で定額法・間接法により減価償却を行う。
解答1. 1年分は500,000円を10年で割って50,000円です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000 | 備品減価償却累計額 | 50,000 |
問2. 当期の1月1日に取得した車両運搬具(取得原価720,000円、残存価額はゼロ、耐用年数6年)について、決算(3月31日)で定額法・間接法により減価償却を行う。
解答2. 1年分は720,000円を6年で割って120,000円。1月から3月までの3か月分なので、120,000円の3か月分で30,000円です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 30,000 | 車両運搬具減価償却累計額 | 30,000 |
問3. 車両運搬具(取得原価600,000円)を当期首に取得し、定率法(償却率0.25)・間接法により減価償却を行う。
解答3. 1年目なので、期首の帳簿価額は取得原価と同じ600,000円です。600,000円に償却率0.25をかけて150,000円です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 150,000 | 車両運搬具減価償却累計額 | 150,000 |
問4. 建物(取得原価2,000,000円)について、定率法(償却率0.1)・間接法により減価償却を行っている。前期末の建物減価償却累計額は380,000円である。当期末の減価償却を行う。
解答4. 期首の帳簿価額は、取得原価2,000,000円から前期末の減価償却累計額380,000円を差し引いた1,620,000円です。これに償却率0.1をかけて162,000円です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 162,000 | 建物減価償却累計額 | 162,000 |
分からなかった点・気になった点
読み込み中です。
この章の問題を解く
章のまとめへ- 付随費用を含めて建物を取得したときの仕訳解く
- 据付費を含めて備品を取得したときの仕訳解く
- 整地費用を含めて土地を取得したときの仕訳解く
- 決算で備品の減価償却を間接法で行うときの仕訳解く
- 残存価額のある建物の減価償却を間接法で行うときの仕訳解く