有形固定資産の売却
有形固定資産を売却したとき、帳簿価額と売却額の差から固定資産売却益・固定資産売却損を計上できるようになります。
ねらい
使ってきた有形固定資産を、途中で売ることがあります。 このレッスンでは、有形固定資産を売却したときの処理を学びます。間接法で記帳してきた取得原価と減価償却累計額を帳簿から取り除き、売った金額との差から、固定資産売却益または固定資産売却損を計上できるようになりましょう。
ストーリー
文房具店は、使っていた備品を買い替えることになり、古い備品を売ることにしました。 ここで考えたいのは、その備品が帳簿の上でいくらの価値として残っているか、という点です。間接法では、取得原価はそのまま残し、減価償却累計額を積み上げてきました。取得原価から減価償却累計額を差し引いた金額が、その備品のいまの帳簿価額です。 売却では、この帳簿価額と、実際に売れた金額をくらべます。
ポイント
売れた金額のほうが高ければ固定資産売却益、安ければ固定資産売却損が出ます。
注意
売却の仕訳では、その備品にかかわる取得原価と減価償却累計額を、どちらも帳簿から取り除きます。
売却益が出る場合の仕訳
まず、帳簿価額より高く売れる取引です。 「備品(取得原価300,000円、減価償却累計額180,000円)を150,000円で売却し、代金は現金で受け取った」取引を考えてみましょう。 帳簿価額は、取得原価300,000円から減価償却累計額180,000円を引いた120,000円です。これを150,000円で売ったので、差額の30,000円が固定資産売却益になります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 備品減価償却累計額 | 180,000 | 備品 | 300,000 |
| 現金 | 150,000 | 固定資産売却益 | 30,000 |
売却した備品を帳簿から取り除くため、取得原価300,000円を貸方に書いて消します。備品は資産にあたり、資産が減ったときは貸方へ記入するからです。 あわせて、その備品の減価償却累計額180,000円も取り除きます。減価償却累計額は残高が貸方に出る評価勘定なので、消すときは借方に書きます。 受け取った代金は現金なので、現金を借方に書きます。 帳簿価額より高く売れた差額30,000円は、固定資産売却益という収益です。収益が発生したときは貸方へ記入するので、貸方に書きます。
例題
それでは、売却損が出る取引を自分で仕訳にしてみましょう。 「備品(取得原価300,000円、減価償却累計額180,000円)を100,000円で売却し、代金は現金で受け取った」取引です。
解答は次のとおりです。 帳簿価額は、300,000円から180,000円を引いた120,000円です。これを100,000円で売ったので、差額の20,000円が固定資産売却損になります。 取得原価300,000円を貸方に書いて備品を消し、減価償却累計額180,000円を借方に書いて消します。 現金100,000円を借方に書きます。 帳簿価額より安く売れた差額20,000円は、固定資産売却損という費用です。費用が発生したときは借方へ記入するので、借方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 備品減価償却累計額 | 180,000 | 備品 | 300,000 |
| 現金 | 100,000 | ||
| 固定資産売却損 | 20,000 |
応用
最後に、代金を後で受け取る売却を見てみましょう。 「車両運搬具(取得原価800,000円、減価償却累計額500,000円)を350,000円で売却し、代金は月末に受け取ることにした」取引です。
解答は次のとおりです。 帳簿価額は、800,000円から500,000円を引いた300,000円です。これを350,000円で売ったので、差額の50,000円が固定資産売却益になります。 取得原価800,000円を貸方に書いて車両運搬具を消し、減価償却累計額500,000円を借方に書いて消します。 代金は後で受け取るので、商品以外の売却として未収入金で記録します。未収入金は資産にあたり、資産が増えたときは借方へ記入するので、借方に書きます。 差額50,000円は固定資産売却益なので、貸方に書きます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 車両運搬具減価償却累計額 | 500,000 | 車両運搬具 | 800,000 |
| 未収入金 | 350,000 | 固定資産売却益 | 50,000 |
確認問題
学んだ内容を計算して、自分で仕訳にして確かめてみましょう。解答はそのすぐ後に示します。
問1. 備品(取得原価400,000円、減価償却累計額250,000円)を180,000円で売却し、代金は現金で受け取った。
解答1. 帳簿価額は150,000円。180,000円で売れたので、売却益30,000円です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 備品減価償却累計額 | 250,000 | 備品 | 400,000 |
| 現金 | 180,000 | 固定資産売却益 | 30,000 |
問2. 備品(取得原価400,000円、減価償却累計額250,000円)を120,000円で売却し、代金は現金で受け取った。
解答2. 帳簿価額は150,000円。120,000円でしか売れなかったので、売却損30,000円です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 備品減価償却累計額 | 250,000 | 備品 | 400,000 |
| 現金 | 120,000 | ||
| 固定資産売却損 | 30,000 |
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 付随費用を含めて建物を取得したときの仕訳解く
- 据付費を含めて備品を取得したときの仕訳解く
- 整地費用を含めて土地を取得したときの仕訳解く
- 決算で備品の減価償却を間接法で行うときの仕訳解く
- 残存価額のある建物の減価償却を間接法で行うときの仕訳解く