為替予約(振当処理)
為替予約を結んだ外貨建の債権・債務に、予約レートを振り当てる処理ができるようになります。
ねらい
為替相場の変動リスクを固定する為替予約の処理を学びます。このレッスンを終えると、振当処理によって外貨建の債権・債務に予約レートを振り当て、以後の換算替えを不要にできます。
ストーリー
あなたの会社は、アメリカの仕入先からの輸入で買掛金 4,000ドルを抱えています。取引日の相場1ドル ¥140 で換算した ¥560,000 で記帳済みです。支払いは3か月後です。
心配なのは、支払日までに円安が進むことです。1ドル ¥150 になれば、支払額は ¥600,000 に膨らんでしまいます。そこで銀行と「3か月後に1ドル ¥142 でドルを買う」という契約を結びました。この契約を「為替予約(かわせよやく)」といい、契約したレートを予約レートといいます。これで、相場がどれだけ動いても支払額は 4,000ドル かける ¥142 の ¥568,000 に確定します。
2級では、予約レートを債権・債務の帳簿価額にそのまま振り当てる「振当処理(ふりあてしょり)」を学びます。振り当てた差額は、当期の損益として一度に処理し、期間への配分はしません。
図解
為替予約の効果を整理します。
| 時点 | 相場 | 買掛金の帳簿価額 |
|---|---|---|
| 取引日 | 1ドル ¥140 | ¥560,000 |
| 為替予約の締結日 | 予約レート1ドル ¥142 | ¥568,000 に振り当てて確定 |
| 決算日・決済日 | 相場がいくらでも | ¥568,000 のまま(換算替え不要) |
仕訳と理由
取引の後に為替予約を結んだ日の仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 為替差損益 | 8,000 | 買掛金 | 8,000 |
買掛金の帳簿価額は、取引日レートの ¥560,000 から予約レートの ¥568,000 へ付け替えます。支払う義務が ¥8,000 増えるので、負債の増加として貸方に記入します。借方は為替差損益です。予約によって確定した差額は、振当処理では当期の損益として一度に計上し、2級では期間への配分をしません。
ポイント
予約後は、決算日が来ても換算替えをしません。支払額は予約レートで確定しているからです。
決済日に普通預金口座から支払ったときの仕訳は、次のようになります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 568,000 | 普通預金 | 568,000 |
決済日の実際の相場がいくらであっても、この金額は変わりません。為替予約の目的である「支払額の固定」が、仕訳の上でも実現されています。
なお、取引の発生と同時に為替予約を結んだ場合は、最初から予約レートで記帳します。その場合、振り当ての仕訳は不要で、為替差損益も生じません。
例題
次の取引を仕訳してみましょう。
輸出により生じていた売掛金 2,000ドル(取引日の相場1ドル ¥139 で換算した ¥278,000 で記帳)について、銀行との間で1ドル ¥137 の為替予約を締結し、振当処理を行った。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 為替差損益 | 4,000 | 売掛金 | 4,000 |
予約レートでの受取額は 2,000ドル かける ¥137 で ¥274,000 に確定します。売掛金を ¥4,000 減らし、確定した目減り分を為替差損益の借方に記入します。
応用
次の取引を仕訳してみましょう。
商品 3,000ドルを輸入して代金を掛けとした。同じ日に、この買掛金の全額について1ドル ¥141 の為替予約を締結し、振当処理を行った。なお、取引日の為替相場は1ドル ¥140 である。
答え合わせ
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 423,000 | 買掛金 | 423,000 |
取引と同時に為替予約を結んだ場合は、最初から予約レートで記帳します。3,000ドル かける ¥141 で ¥423,000 です。取引日の相場 ¥140 は使わず、為替差損益も生じません。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 外貨建の買掛金を決済したときの仕訳解く
- 決算日に外貨建の売掛金を換算替えしたときの仕訳解く
- 買掛金に為替予約を振り当てたときの仕訳解く
- 商品を輸出したときの仕訳解く
- 取引と同時に為替予約を結んだときの仕訳解く