CVP分析(損益分岐点と利益計画)
貢献利益率をもとに、損益分岐点の売上高と販売量、目標利益を達成する売上高と販売量、安全余裕率を計算し、利益計画に役立てられるようになります。
ねらい
前のレッスンでは、原価を変動費と固定費に分けて損益を計算する直接原価計算を学びました。このレッスンでは、その分け方を利用して、利益の計画を立てる方法を学びます。
このレッスンを終えると、損益分岐点の売上高と販売量、目標利益を達成する売上高と販売量、そして安全余裕率を計算できるようになります。原価と営業量と利益の関係を分析するこの方法をCVP分析(シーブイピーぶんせき)といいます。CVP は、原価を表す Cost、営業量を表す Volume、利益を表す Profit の頭文字をとった言葉です。
ストーリー
お店を開いた人が「毎月いくら売れば赤字にならないのだろう」と考える場面を思い浮かべてみてください。売上がまったくなくても、家賃のような固定費は出ていきます。
売上が増えると、その一部が固定費の回収にまわります。売上高から変動費を差し引いた貢献利益が、ちょうど固定費と同じになったとき、利益も損失もゼロになります。 この点を手がかりにすると、目標とする利益に必要な売上高が計算できます。
貢献利益率
利益計画では、まず貢献利益率(こうけんりえきりつ)を求めます。貢献利益率とは、売上高に対する貢献利益の割合です。
例として、次の資料で考えてみましょう。
- 販売単価: 1個あたり ¥1,000
- 1個あたりの変動費: ¥600
- 固定費(月額): ¥240,000
まず、1個あたりの貢献利益を求めます。1個あたりの貢献利益は、販売単価 ¥1,000 から1個あたりの変動費 ¥600 を差し引いた ¥400 です。
貢献利益率は、1個あたりの貢献利益 ¥400 を販売単価 ¥1,000 で割った 0.4、すなわち 40% です。売上高が1円増えるごとに、そのうち 40銭 が貢献利益になるという意味です。
ポイント
貢献利益率は、貢献利益を売上高で割った割合です。売上高が増えたとき、その何割が貢献利益になるかを表します。
損益分岐点
損益分岐点(そんえきぶんきてん)とは、営業利益がちょうどゼロになる売上高や販売量のことです。 英語では break-even point(ブレーク・イーブン・ポイント)と表記します。
損益分岐点では、貢献利益と固定費が等しくなります。営業利益は貢献利益から固定費を差し引いた金額なので、貢献利益が固定費と同じなら営業利益はゼロになるからです。
損益分岐点の販売量は、固定費を1個あたりの貢献利益で割って求めます。1個あたりの貢献利益が固定費の回収に使われるので、固定費を回収しきる個数を計算するわけです。損益分岐点の販売量は、固定費 ¥240,000 を1個あたりの貢献利益 ¥400 で割った 600個 です。
損益分岐点の売上高は、固定費を貢献利益率で割って求めます。損益分岐点の売上高は、固定費 ¥240,000 を貢献利益率 0.4 で割った ¥600,000 です。この金額は、販売量 600個 に販売単価 ¥1,000 を掛けた金額とも一致します。
注意
固定費を「1個あたりの貢献利益」で割ると販売量が求められ、「貢献利益率」で割ると売上高が求められます。どちらで割るかを取り違えないようにしましょう。
目標利益を達成する売上高と販売量
損益分岐点は営業利益がゼロになる点でした。次は、目標とする営業利益を達成するために必要な売上高と販売量を求めます。
考え方は損益分岐点と同じです。目標利益を達成するとき、貢献利益は固定費に目標利益を加えた金額と等しくなります。そこで、固定費に目標利益を足した金額をもとに計算します。
先ほどの資料で、目標とする営業利益を ¥80,000 とします。
目標利益を達成する販売量は、固定費に目標利益を足した金額を1個あたりの貢献利益で割って求めます。固定費 ¥240,000 に目標利益 ¥80,000 を足すと ¥320,000 です。これを1個あたりの貢献利益 ¥400 で割ると、800個 になります。
目標利益を達成する売上高は、固定費に目標利益を足した金額を貢献利益率で割って求めます。¥320,000 を貢献利益率 0.4 で割ると、¥800,000 になります。この金額は、販売量 800個 に販売単価 ¥1,000 を掛けた金額とも一致します。
安全余裕率
安全余裕率(あんぜんよゆうりつ)とは、予想している売上高が、損益分岐点の売上高をどれだけ上回っているかを表す割合です。この割合が高いほど、売上が落ちても赤字になりにくいことを意味します。
安全余裕率は、予想売上高から損益分岐点の売上高を差し引き、その金額を予想売上高で割って求めます。
先ほどの資料で、予想している売上高が ¥1,000,000 であるとします。損益分岐点の売上高は ¥600,000 でした。
予想売上高 ¥1,000,000 から損益分岐点の売上高 ¥600,000 を差し引くと、¥400,000 です。これを予想売上高 ¥1,000,000 で割ると 0.4、すなわち 40% になります。この会社は、売上が 40% 落ちるまでは赤字にならないと読み取れます。
例題
次の資料から、損益分岐点の売上高と販売量を求めてみましょう。
- 販売単価: 1個あたり ¥2,000
- 1個あたりの変動費: ¥1,200
- 固定費(月額): ¥360,000
答え合わせ
損益分岐点の販売量は 450個、損益分岐点の売上高は ¥900,000 です。
まず、1個あたりの貢献利益を求めます。1個あたりの貢献利益は、販売単価 ¥2,000 から1個あたりの変動費 ¥1,200 を差し引いた ¥800 です。貢献利益率は、¥800 を ¥2,000 で割った 0.4、すなわち 40% です。
損益分岐点の販売量は、固定費を1個あたりの貢献利益で割って求めます。固定費 ¥360,000 を1個あたりの貢献利益 ¥800 で割ると、450個 になります。
損益分岐点の売上高は、固定費を貢献利益率で割って求めます。固定費 ¥360,000 を貢献利益率 0.4 で割ると、¥900,000 になります。販売量 450個 に販売単価 ¥2,000 を掛けた金額とも一致します。
応用
同じ会社について、目標とする営業利益 ¥120,000 を達成する販売量と、そのときの安全余裕率を求めてみましょう。予想している売上高は ¥1,200,000 です。
答え合わせ
目標利益を達成する販売量は 600個、安全余裕率は 25% です。
目標利益を達成する販売量は、固定費に目標利益を足した金額を1個あたりの貢献利益で割って求めます。固定費 ¥360,000 に目標利益 ¥120,000 を足すと ¥480,000 です。これを1個あたりの貢献利益 ¥800 で割ると、600個 になります。
安全余裕率は、予想売上高から損益分岐点の売上高を差し引き、その金額を予想売上高で割って求めます。損益分岐点の売上高は ¥900,000 でした。予想売上高 ¥1,200,000 から ¥900,000 を差し引くと ¥300,000 です。これを予想売上高 ¥1,200,000 で割ると 0.25、すなわち 25% になります。
分からなかった点・気になった点
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