原価予測(高低点法)
原価予測の意味をつかみ、高低点法によって原価を固定費と変動費に分け、変動費率と固定費を求めて将来の原価を見積もれるようになります。
ねらい
前のレッスンでは、原価を変動費と固定費に分けて利益計画を立てる方法を学びました。CVP分析を行うには、原価が固定費と変動費のどちらなのかが分かっていなければなりません。
このレッスンでは、原価を固定費と変動費に分けて将来の原価を見積もる、原価予測(げんかよそく)を学びます。とくに、高低点法(こうていてんほう)という計算方法を使えるようになります。
ストーリー
工場でかかる原価の中には、性質がはっきりしないものがあります。たとえば電力料は、契約している基本料金の部分と、使った量に応じて増える部分の両方からできています。
このような原価は、そのままでは固定費とも変動費とも決められません。利益計画に使うためには、原価を固定費の部分と変動費の部分に分けておく必要があります。 その分け方の代表が高低点法です。
原価予測とは
原価予測とは、過去の実績をもとに、これから操業度が変わったときに原価がいくらになるかを見積もることです。操業度とは、生産量や作業時間など、工場がどれだけ働いたかを表す量です。
固定費と変動費の両方の性質を持つ原価を準変動費(じゅんへんどうひ)といいます。先ほどの電力料のように、一定の基本部分に、操業度に応じて増える部分が加わる原価です。原価予測では、この準変動費を固定費の部分と変動費の部分に分けます。
費目別精査法
原価予測の方法のひとつに、費目別精査法(ひもくべつせいさほう)があります。これは、原価を費目ごとに1つずつ調べ、その性質から固定費か変動費かを判断する方法です。
たとえば、工場建物の減価償却費は操業度に関わらず一定なので固定費と判断します。直接材料費は生産量に比例するので変動費と判断します。費目別精査法は、担当者の経験と判断にたよる方法です。
高低点法
高低点法は、過去の操業度と原価の実績のうち、最高の操業度のときと最低の操業度のときの2つの点を使って、原価を固定費と変動費に分ける方法です。
例として、次の4か月の実績で考えてみましょう。原価は、生産量に応じて変わる部分を含む1つの原価です。
| 月 | 生産量 | 発生した原価 |
|---|---|---|
| 4月 | 800個 | 620,000 |
| 5月 | 1,200個 | 780,000 |
| 6月 | 1,000個 | 700,000 |
| 7月 | 600個 | 540,000 |
この表から、最高の操業度と最低の操業度の月を選びます。生産量が最も多いのは 5月 の 1,200個 で、そのときの原価は ¥780,000 です。生産量が最も少ないのは 7月 の 600個 で、そのときの原価は ¥540,000 です。4月 と 6月 は、2点の間に位置するので計算には使いません。
注意
高低点法で選ぶのは、原価の最高と最低ではなく、操業度の最高と最低です。原価の金額が大きい月を選ぶのではないことに気をつけましょう。
はじめに、変動費率を求めます。変動費率とは、操業度が1単位増えたときに増える原価のことです。変動費率は、2点の原価の差を2点の操業度の差で割って求めます。
原価の差は、最高点の ¥780,000 から最低点の ¥540,000 を差し引いた ¥240,000 です。操業度の差は、1,200個 から 600個 を差し引いた 600個 です。変動費率は、¥240,000 を 600個 で割った、1個あたり ¥400 です。
次に、固定費を求めます。固定費は、どちらか一方の点の原価から、変動費の部分を差し引いて求めます。 最高点で考えると、変動費の部分は、変動費率 ¥400 に生産量 1,200個 を掛けた ¥480,000 です。固定費は、最高点の原価 ¥780,000 から変動費の部分 ¥480,000 を差し引いた ¥300,000 です。
最低点で確かめても同じ結果になります。最低点の変動費の部分は、¥400 に 600個 を掛けた ¥240,000 です。固定費は、¥540,000 から ¥240,000 を差し引いた ¥300,000 で、最高点から求めた金額と一致します。
ポイント
高低点法では、まず2点の差から変動費率を求め、次にどちらかの点の原価から変動費の部分を差し引いて固定費を求めます。
こうして、この原価は「固定費 ¥300,000 に、1個あたり ¥400 の変動費を加えたもの」と分けられました。これを使えば、将来の生産量から原価を予測できます。たとえば生産量が 900個 のときの原価は、固定費 ¥300,000 に、変動費 ¥400 かける 900個 の ¥360,000 を足した ¥660,000 と見積もれます。
例題
次の2か月の実績から、高低点法によって変動費率と固定費を求めてみましょう。
- 5月: 作業時間 1,500時間、原価 ¥950,000
- 8月: 作業時間 900時間、原価 ¥680,000
答え合わせ
変動費率は1時間あたり ¥450、固定費は ¥275,000 です。
まず、変動費率を求めます。変動費率は、2点の原価の差を2点の操業度の差で割って求めます。原価の差は、¥950,000 から ¥680,000 を差し引いた ¥270,000 です。操業度の差は、1,500時間 から 900時間 を差し引いた 600時間 です。変動費率は、¥270,000 を 600時間 で割った、1時間あたり ¥450 です。
次に、固定費を求めます。固定費は、一方の点の原価から変動費の部分を差し引いて求めます。作業時間 1,500時間 の点で考えると、変動費の部分は、¥450 に 1,500時間 を掛けた ¥675,000 です。固定費は、原価 ¥950,000 から ¥675,000 を差し引いた ¥275,000 です。
応用
例題で求めた変動費率と固定費を使って、作業時間が 1,200時間 のときの原価を予測してみましょう。
答え合わせ
予測される原価は ¥815,000 です。
原価は、固定費に変動費の部分を加えて予測します。固定費は ¥275,000 でした。変動費の部分は、変動費率 ¥450 に作業時間 1,200時間 を掛けた ¥540,000 です。予測される原価は、固定費 ¥275,000 に変動費の部分 ¥540,000 を足した ¥815,000 です。
分からなかった点・気になった点
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