スケジュールとコストの管理
アローダイアグラムでクリティカルパスを見つけられるようになり、どの作業の遅れが全体に響くのかを判断できるようになります。
ねらい
日程と費用の管理を学びます。このレッスンを終えると、どの作業が遅れると全体が遅れるのかを図から見つけられるようになり、遅れへの手の打ち方を判断できるようになります。
日程は、作業の前後関係で決まります
作業には順序の制約があります。設計が終わらなければ製造に入れません。一方で、同時に進められる作業もあります。画面の設計と帳票の設計は、並行してできます。
この前後関係を図にしたものがアローダイアグラム(PERT図)です。矢印が作業、丸が作業の区切りを表します。
クリティカルパス — 全体の期間を決める道すじ
図の中には、始まりから終わりまでの経路が複数あります。所要日数を足し合わせると、経路ごとに長さが違います。
最も長い経路をクリティカルパスといい、これが全体の期間を決めます。短い経路がいくら早く終わっても、長い経路が終わらなければプロジェクトは終わりません。
ここから、実務上の判断が2つ出てきます。
- クリティカルパス上の作業が1日遅れると、全体が1日遅れます。だからこの経路の作業を重点的に見張ります。
- クリティカルパス以外の作業には、余裕(フロート)があります。多少遅れても全体には響きません。急ぐべきでない作業に人を張り付けるのは、無駄です。
ポイント
短縮したいときは、クリティカルパス上の作業を短くします。余裕のある経路の作業をいくら速く終えても、全体の期間は1日も縮みません。どこに手を打つかを間違えないための図です。
作業と担当と期間を横棒で表したガントチャートもよく使われます。進み具合を見るのはガントチャート、前後関係と余裕を見るのはアローダイアグラムと、目的で使い分けます。
費用の管理
費用の見積りには、大きく2つの向きがあります。
- 積み上げ… WBSの各作業の費用を見積もり、合計します。細かい代わりに、WBSができていないと使えません。
- 類推… 過去の似た案件から見当を付けます。早い段階でも出せますが、精度は落ちます。
管理では、計画に対して実際がどうかを、期間の途中で見ます。終わってから「予算を超えていた」と分かっても手を打てません。
進み具合と費用は、必ず一緒に見ます。費用が予定どおりでも、進みが半分なら遅れているうえに費用も超過する見込みです。片方だけを見ると、この状態を見逃します。
まとめ
日程は作業の前後関係で決まり、最も長い経路であるクリティカルパスが全体の期間を決めます。この経路上の遅れだけが全体に響くので、見張るのも短縮するのもここです。費用は計画と実際を途中で比べ、進み具合と一緒に見ます。
理解の確認
あるプロジェクトのアローダイアグラムで、始まりから終わりまでの経路が2つあり、経路Aは合計12日、経路Bは合計8日でした。経路B上の作業が2日遅れました。全体の完了予定はどうなるでしょうか。
答え: 全体の完了予定は変わりません(12日のまま)。全体の期間を決めるのは最も長い経路であるクリティカルパス、この場合は経路A(12日)です。経路Bは8日なので、経路Aが終わるまでに4日の余裕(フロート)があります。2日の遅れはこの余裕の範囲に収まるため、全体には響きません。ただし遅れが4日を超えると経路Bの合計が12日を上回り、今度は経路Bがクリティカルパスになって全体が遅れます。余裕がどれだけ残っているかは、引き続き見ておく必要があります。
分からなかった点・気になった点
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