技術開発戦略の立案と技術開発計画
どの技術にいつ投資するかを決める手順を知り、技術ロードマップの読み方と、特許や産学連携を使った技術の集め方を説明できるようになります。
ねらい
技術への投資を計画に落とす方法を学びます。このレッスンを終えると、技術ロードマップが何を示す図なのかを読み解き、技術を自社で育てるか外から得るかの選び方を説明できるようになります。
技術開発は、勘では回りません
技術の開発には時間とお金がかかり、結果が出るまで長いという性質があります。半年で終わる話ではありません。だからどの技術に、いつ、いくら投じるかをあらかじめ決めておきます。これが技術開発戦略です。
考える順番は、次のとおりです。
- 自社の技術の棚卸し… いま何ができて、何ができないかを確かめる。
- 市場と技術の予測… これから何が求められ、どの技術が実用になるかを見込む。
- 差の確認… 求められるものと、いまできることの差を出す。
- 埋め方の決定… 自社で開発するか、外から得るかを決める。
技術ロードマップ — 時間軸に技術を並べる
技術ロードマップは、横軸に時間を取り、市場の要求・投入する製品・必要な要素技術を上下に並べた図です。
読み方は上から下へ、逆算です。「3年後にこの製品を出す」と決めたら、「そのためにこの技術が2年後までに要る」と下へたどります。技術から製品を考えるのではなく、製品の予定から必要な技術と期限を割り出します。
将来を見込むための方法もあります。デルファイ法は、専門家に匿名で意見を聞き、集まった結果を見せてまた聞く、という手順を繰り返して見解をまとめる方法です。匿名にするのは、声の大きい人に引きずられないようにするためです。
技術をどこから得るか
差を埋める手段は、自社開発だけではありません。
- 自社開発… 中核となる技術は自社で持ちます。時間はかかりますが、他社に頼らずに済みます。
- 産学官連携… 大学や公的研究機関と組みます。基礎的な研究の力を借りられます。大学の研究成果を企業へ橋渡しする組織をTLO(技術移転機関)といいます。
- 技術の購入・提携… 他社の技術を、使用料を払って使わせてもらう(ライセンス)、あるいは共同で開発します。
- M&A… 技術を持つ会社ごと手に入れます。時間を買う方法です。
判断の軸は、その技術が自社の中核かどうかです。中核なら自社に置き、そうでなければ外から得るほうが速く安く済みます。
特許 — 守るのか、広めるのか
開発した技術は、特許で権利を守れます。ただし特許には2つの使い方があります。
- 囲い込む… 他社に使わせず、自社だけの強みにします。
- 広める… あえて他社にも使わせ、その技術を業界の標準にします。使う会社が増えるほど、部品も安くなり市場そのものが大きくなります。
どちらが得かは、市場が育っているかどうかで変わります。市場がまだ小さいうちは、囲い込むより広めて市場を大きくするほうが、結果として自社の取り分も増えることがあります。
複数の会社が持ち寄った特許をまとめて、一括で使えるようにする仕組みをパテントプールといいます。1社ずつ交渉する手間が省け、標準となる技術が広まりやすくなります。
まとめ
技術開発は時間がかかるため、計画で回します。技術ロードマップは、製品の予定から必要な技術と期限を逆算する図です。技術は自社で育てるだけでなく、産学官連携やライセンス、M&Aでも得られます。判断の軸は、その技術が自社の中核かどうかです。
理解の確認
技術ロードマップにおいて、「市場が求めるもの」「投入する製品」「必要な要素技術」の3つは、どのような順番でたどって作るのでしょうか。またその順番にする理由は何でしょうか。
答え: 上から下へ、逆算でたどります。まず市場が何を求めるかを置き、それに応える製品をいつ投入するかを決め、そこから「その製品を実現するにはどの技術がいつまでに要るか」を割り出します。技術から出発して「この技術で何が作れるか」と考えると、できあがった技術が市場の求めるものとずれるおそれがあります。技術開発は完成までに長い時間がかかるため、投入時期から逆算して期限を決めなければ、間に合ったかどうかを判断できません。
分からなかった点・気になった点
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