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G検定(ジェネラリスト検定)

おんとりょじー

オントロジー

Ontology

オントロジーとは、ある対象について何があり、それらがどう関わり合うかというとらえ方(概念化)について、はっきりと書き出した仕様のことです。トーマス・R・グルーバー(Thomas R. Gruber)が1993年の論文で「概念化の明示的な仕様」と定義しました。

詳しい説明

概念化を明示的に書き出した仕様

この語の定義の出どころとして押さえておきたいのが、トーマス・R・グルーバー(Thomas R. Gruber)が1993年に学術誌Knowledge Acquisitionに発表した論文「A Translation Approach to Portable Ontology Specifications」の一文です。グルーバーはこの論文で、オントロジーを「概念化の明示的な仕様(an explicit specification of a conceptualization)」と定義しました。

この定義は2つの部分に分けて読むと分かりやすくなります。1つ目の「概念化」は、ある対象をどのような物事の集まりとしてとらえ、それらがどう関わり合っていると見るかという、ものの見方のことです。2つ目の「明示的な仕様」は、そのものの見方を頭の中やプログラムの奥に置いたままにせず、読める形ではっきりと書き出したもの、という意味です。つまりオントロジーは知識そのものではなく、知識を組み立てるときの前提になるものの見方を書き出した文書だと言えます。

哲学から借りてきた言葉

オントロジーはもともと人工知能の言葉ではありません。グルーバーの論文も、この語が哲学から借りてきたものであることを断っています。哲学では、オントロジーは存在についての体系的な説明を指し、日本語では存在論と訳されます。何が存在するのか、存在するものはどのような種類に分けられるのか、を問う分野です。

人工知能の分野では、この「何が存在するとみなすか」という問いが、特定のシステムや知識ベースの話に置き換えられます。世界全体について何が存在するかを論じるのではなく、あるシステムが扱う対象の範囲で、どんな物事があるとみなし、それらをどう関係づけるかを決めて書き出したものがオントロジーです。同じカタカナの語でも、哲学の文脈と人工知能の文脈では指している範囲が異なる点に注意が必要です。

どの知識ベースも何かの概念化に立っている

グルーバーの論文は、1つの前提から出発しています。知識ベース、知識ベースを使って動くシステム、知識のレベルで振る舞いを記述されるエージェントは、どれも何らかの概念化にコミットしている(その概念化を前提として引き受けている)という前提です。そのコミットは明示的なこともあれば、暗黙のこともあります。

たとえば、ある知識ベースが「顧客」と「注文」を区別して記録しているなら、その知識ベースは顧客と注文を別々の物事としてとらえるものの見方に立っています。このものの見方がどこにも書かれていなければ、コミットは暗黙です。作った人の頭の中やプログラムの作りにだけ残っているので、別の人や別のシステムがその知識ベースを使おうとしたとき、何を前提にしているのかを外から確かめにくくなります。オントロジーは、この暗黙の前提を明示的な仕様として書き出したものに当たります。

論文の題名が示す関心

論文の題名にある「Portable Ontology Specifications」は、持ち運べるオントロジーの仕様という意味です。題名が示すとおり、この論文の関心は、あるシステムのために書かれたオントロジーの仕様が別のシステムでも使えるようにすることにありました。概念化が暗黙のままでは、それを別のシステムへ持ち運ぶことはできません。明示的な仕様として書き出されていることが、持ち運ぶための前提になります。

誤解しやすい点

オントロジーは、個々の事実を大量に集めたデータそのものを指す語ではありません。グルーバーの定義に沿えば、オントロジーは事実を記録するときに前提とするものの見方の側を書き出したものです。個々の事実を収めた知識ベースは、そのものの見方にコミットする側に位置づけられます。

また、明示的な仕様が無いシステムには概念化が無い、というわけでもありません。グルーバーの前提では、知識ベースはどれも何らかの概念化に立っており、それが書き出されているかどうかが違うだけです。オントロジーを作るという作業は、新しいものの見方を一から発明することに限らず、すでに暗黙に使っているものの見方を明るみに出して書き留める作業でもあります。

試験で問われること

G検定

  • オントロジーは、トーマス・R・グルーバー(Thomas R. Gruber)が1993年の論文で示した「概念化の明示的な仕様」という定義で押さえます。対象について何があり、どう関わり合うかというとらえ方について、はっきり書き出したものです。
  • オントロジーという語は哲学から借りてきた言葉です。哲学では存在についての体系的な説明(存在論)を指し、人工知能の分野では特定のシステムが扱う範囲の概念化を書き出した仕様を指します。
  • 知識ベースや知識ベースを使うシステムは、明示的か暗黙かを問わず、何らかの概念化に立っているというのがグルーバーの前提です。オントロジーはその前提を書き出した側、知識ベースはそれにコミットする側にあたります。

最終更新日: 2026/09/23