不動産の有効活用
不動産投資の表面利回りと実質利回りの違い、土地の有効活用6方式(等価交換・土地信託・定期借地権など)の特徴を説明できるようになります。
ねらい
土地を収益源に変える方法を学びます。このレッスンを終えると、不動産投資の採算を測る2つの利回りの違いと、有効活用の代表的な6方式について、資金負担と土地の権利がどうなるかを軸に説明できるようになります。
ストーリー
アパート経営を始めた藤田さんの叔父のもとに、今度は郊外の遊休地の活用話が持ち込まれました。デベロッパーの提案書には「等価交換方式」「事業受託方式」と並び、銀行からは「土地信託はどうか」という話も。自分でアパートを建てる以外にも、土地の生かし方はいくつもあります。
不動産投資の利回り
投資の採算は利回りで測ります。2つの利回りの違いが基本です。
- 表面利回り(グロス利回り)は、年間の収入合計を投資額(購入価格)で割ったものです。計算が簡単な反面、経費を無視しています。
- 実質利回り(NOI利回り・ネット利回り)は、年間収入から固定資産税や管理費などの諸経費を差し引いた純収益を投資額で割ったものです。
計算例で確かめましょう。購入価格3,000万円、年間家賃収入180万円、年間経費60万円の物件では、表面利回りは6%(180万÷3,000万)、実質利回りは4%(120万÷3,000万)です。経費を引く分、同じ物件なら実質利回りは表面利回りより必ず低くなります。
注意
広告の「高利回り」が表面利回りであることは多く、判断には実質利回りを使うのが基本です。
有効活用の6方式
土地の有効活用は、「お金を誰が出すか」「土地の権利はどうなるか」を軸に整理します。
| 方式 | 仕組み | 建設資金の負担 | 土地の権利 |
|---|---|---|---|
| 自己建設方式 | 土地所有者が自分で企画・発注して建てる | 土地所有者 | 全部残る |
| 事業受託方式 | デベロッパーに事業全体を任せる | 土地所有者 | 全部残る |
| 土地信託方式 | 信託銀行に土地を信託し、配当を受け取る。信託終了後は土地建物が戻る | 信託銀行が調達 | 信託期間中は信託銀行名義 |
| 等価交換方式 | 土地を提供し、デベロッパーが建物を建設。出資割合に応じて土地・建物の持分を取得する | デベロッパー | 一部を手放す |
| 建設協力金方式 | 入居予定のテナントから預かった建設協力金で建物を建てる | テナント(保証金) | 全部残る |
| 定期借地権方式 | 定期借地権を設定して土地を貸し、地代を受け取る | 借地人 | 全部残る(利用は制約) |
ポイント
覚え方の軸は2つです。自分でお金を出さずに建物の持分も得たいなら等価交換、建物を持たず安定した地代だけでよいなら定期借地権、というように、資金負担と収益・リスクは表裏の関係にあります。
等価交換方式では土地の持分の一部を手放すことが、他の方式との大きな違いです。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
不動産投資における実質利回りは、年間収入の合計額から諸経費を差し引いた純収益をもとに計算するため、同一の物件では表面利回りよりも低くなる。
答え合わせ
適切です。実質利回りは経費を差し引いた純収益で計算するため、経費がゼロでない限り表面利回りより低くなります。投資判断では、表面利回りの高さだけでなく実質利回りで採算を確かめることが大切です。
応用
方式を選んでみましょう。
叔父さんは、遊休地に自己資金を使わず、建物の一部(住戸)も取得したいと考えている。どの方式が適しているか。
答え合わせ
等価交換方式が適しています。土地を提供する代わりにデベロッパーが建設資金を負担し、出資割合に応じて建物の持分を取得できるため、自己資金なしで建物を得られます。ただし、土地の持分の一部をデベロッパーに渡すことになる点が引き換えの条件です。土地の権利をすべて残したいなら、資金負担のない定期借地権方式(収益は地代のみ)などとの比較になります。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
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- 消費税が課される不動産の貸付けの選択解く
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