不動産の証券化
不動産の証券化の仕組みとJ-REITの特徴、DCF法・NPV法・IRR法という投資判断の基礎を説明できるようになります。
ねらい
不動産を証券の形で持つ仕組みを学びます。このレッスンを終えると、証券化の考え方、J-REIT(上場不動産投資信託)の特徴、DCF法・NPV法・IRR法という投資判断の道具を説明できるようになります。第5章の最終レッスンです。
ストーリー
ここまで学んできた藤田さんは、「現物の不動産は金額が大きすぎる。もっと少額で不動産に投資できないか」と考えました。証券会社の口座で見つけたのがJ-REITです。数万円から買えて、証券取引所でいつでも売買できます。現物の大家業とはまるで違う、証券としての不動産投資を見てみましょう。
不動産の証券化
不動産の証券化は、不動産が生む賃料などの収益を裏付けに証券を発行し、多数の投資家から資金を集める仕組みです。大きな不動産を小口に分けることで、投資家は少額から参加でき、不動産を持つ側は資金調達の手段が広がります。仕組みの土台になる法律に、資産の流動化に関する法律や、投資信託及び投資法人に関する法律があります。
J-REIT(上場不動産投資信託)
J-REITは、投資法人が投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などの不動産を保有・運用し、賃料収入や売却益を投資家に分配する、会社型の投資信託です(第3章で学んだ分類の応用です)。特徴を現物投資と比べて整理します。
- 少額から投資でき、複数の物件に分散された不動産へ間接的に投資できます。
- 証券取引所に上場されており、上場株式と同じように時価でいつでも売買できます。現物の不動産に比べて換金性(流動性)が高いのが大きな利点です。
- 分配金は配当所得として課税されますが、上場株式の配当と異なり、配当控除の適用は受けられません。J-REITの利益は法人段階で実質的に課税されていないため、二重課税の調整が不要だからです。
注意
「上場株式とほぼ同じ扱い。ただし配当控除だけはない」という整理が、第3章・第4章の知識とつながる定番論点です。
投資判断の基礎(DCF法・NPV法・IRR法)
将来の収益をもとに投資の良し悪しを判定する道具です。共通の土台は、「将来のお金は、現在のお金より価値が低い」という考え方(割引現在価値)です。
| 手法 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| DCF法 | 将来の収益と売却価格を現在価値に割り引いて合計し、不動産の収益価格を求める | 収益還元法を精密にした計算方法 |
| NPV法(正味現在価値法) | 将来収益の現在価値の合計から投資額を差し引く | 正味現在価値がプラスなら投資に値する |
| IRR法(内部収益率法) | 正味現在価値がゼロになる割引率(内部収益率)を求める | 内部収益率が期待収益率(調達コスト)を上回れば投資に値する |
ポイント
3級では、それぞれの手法が「何を計算して、どうなれば投資してよいと判定するのか」の対応を押さえれば十分です。
例題
次の記述が適切か、不適切かを考えてみましょう。
J-REIT(上場不動産投資信託)の分配金は配当所得となり、上場株式の配当と同様に、総合課税を選択すれば配当控除の適用を受けることができる。
答え合わせ
不適切です。J-REITの分配金は配当所得ですが、配当控除の適用は受けられません。投資法人の段階で法人税が実質的に課されておらず、二重課税の調整が不要なためです。「上場株式と同じ扱い、ただし配当控除はない」という違いが問われます。
応用
投資判断の手法を使い分けてみましょう。
ある不動産投資について、将来収益の現在価値の合計が3,200万円、投資額が3,000万円と見積もられた。NPV法ではどう判定するか。
答え合わせ
正味現在価値は200万円のプラス(3,200万円−3,000万円)なので、NPV法ではこの投資は「投資に値する」と判定されます。同じ場面をIRR法で見るなら、内部収益率が自分の期待収益率を上回るかどうかで判定します。どちらも「将来のお金を現在の価値に割り引いて比べる」という共通の考え方の上に立っています。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- 賃貸不動産のローン元本返済と必要経費に関する正誤判定解く
- 消費税が課される不動産の貸付けの選択解く
- 相続税路線価の公示価格に対する水準の選択解く
- 不動産登記の公信力に関する正誤判定解く
- 長期譲渡所得となる所有期間の選択解く